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ゼロの輝き  作者: 遼明
第Ⅰ章 変わる世界
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第3話 さらば、健

 俊秀と健が行った擬似世界とは酷い所だった。

 そこに生息している生物の数々は凶暴かつ強敵であった。最初に入った頃は夜もおちおち寝れやしなかった。

 そのせいでストレスは溜まって行く一方、せめてでも旨い飯を食って英気を養おうとした。しかし、初めて口に入れた食べ物は全く味がしなかった。彼等は色々と大変だったので疲れてるんではないかと思い大して気にしなかった。だが、ここの生活がなれてきた頃に気付く。


「あれ? これ、味しない・・・・・・」


 それ以降、味する食べ物を探して擬似世界を旅したが何も無かった。調味料を作ろうと考えたが砂糖や塩も、この世界ではただ水に溶ける砂なので無駄だった。

 ただ水自体には味がしたのだが、味が問題だった。

 彼等曰く「毒の沼または、飲んだら最後、死ぬしかないような液体」だった。

 人は水分を取らなければ、直に死んでしまうので水を飲む事は避けられなかった。

 ちなみに最初の頃は水を飲んだ瞬間、3日間気絶していた。

 長年そんな環境に置かれた彼等は一体どうなるだろうか・・・・・・・・?














「どっっっっせい!!」


 俊秀はドラゴンのバランスを崩す為にまずは尻尾を狙っていた。

 ドラゴンも俊秀の狙いが分かっているか尻尾に近付けさせて貰えなかった。

 先ほどからドラゴンの爪と俊秀の大剣が鍔迫り合いが続いるのだが、俊秀が押している様だった。


「しぶといなぁーーー!? 大人しく食われろや!!」

「俊秀!! 俺を乱暴に扱うなぁーーーー!!」


 俊秀はドラゴンの爪を力で弾き飛ばして再び切りかかる。

 ドラゴンの爪と大剣が交わる度に火花が飛び散る。その為、健の方は心が折れそうだった。

 ドラゴンは巨体で体重がある上に力もある。俊秀は馬鹿力と属性補正により大剣を振り下ろす。その攻撃はドラゴンを超えるほどになっているが大剣となっている健には大きく負担が掛かる。今にも折れそうな程に。それを健は精神力だけで何とか耐えている。

 俊秀はもう一度ドラゴンの爪を力で弾き飛ばして再び切りかかるろうとするがドラゴンは炎の息を吐いてきた。俊秀は瞬時に近付く事ができないと判断し距離を取る。


「チッ!! これではきりが無い・・・・・・・・・・・」

「どうするよ? ・・・・・・俊秀?」


 健は俊秀の雰囲気が一瞬別人に見えたのだ。


「ん? どうした?」

「いや・・・・・アイツどうやって倒す?」

「そうだな・・・一撃必殺を狙うか?」

「・・・・一体何をするつもりだ?」


 健は俊秀の目が笑っているのを見て嫌な予感がした。


「そうだな・・・まずある程度距離を取る。助走をしてから大剣を投げ、心臓を貫通!! 簡単だろう?」

「はぁ!? 駄目だそんなの!!」


 健は全力で阻止しようとするが今は大剣であるため抵抗ができなかった。


「心配するな!! 前世では超強肩外野手として高校野球界を震撼させたんだから狙いは外さないぜ!!」

「そんな事は知っている!! てかお前はどこのポジションも守っていただろう!! 俺が心配しているのは、投げられた俺はどうなんだよ!?」

「心配するな。運が悪ければ池ポチャですむ」

「下、海だよ!! 日本海溝まっしぐらだぜ!?」

「大丈夫だ。恐らく下は日本海溝ではない」

「そんな事は聞いてなーーーーーーーい!!」

「それにな・・・ケンさん、お前には拒否権などない!!」

「いーーーーやーーーーーーだーーーーーー!!」


 健は元に戻ろうとするが俊秀の氣によって捻じ伏せられている。俊秀は大剣が折れないように氣を纏わせていたのだが今は健が元に戻るのを妨害していたのだった。


「しかし、ここでは位置が悪い少し移動するか」


 俊秀は距離を取る為に走っていく、全てはドラゴンを一撃で仕留め、町の飯を守るために・・・。











(あそこで一体何が起こっているんだ・・・・?)


 フィオーネは先ほど懐かせた小型の飛竜に乗って移動していた。

 轟音と共に落ちていった飛竜はその場で暴れているように見えた。何者かが飛竜を足止めしているのではないかと思ったフィオーネは大型の飛竜にギリギリまで近付こうとしていた。


「ん? 誰かが走ってくる」


 フィオーネは前方から特大の大剣持って走ってくる男を発見した。

 その方向から声がする。


「とっ・・・俊秀!! 早まるんじゃない!! 君の罪はまだやり直せるっ!!」

「ふっふっふっ・・・お前の運命はもう決まっている!! あきらめな!!」


 ちょうどフィオーネの50メートル前で止まった俊秀は振り返る。


「ここで確実に仕留めるッ!!」


 俊秀は剣に氣を纏わせる。その後に波導を纏わせる。大剣は青白い輝きを放ち、光のせいで形が槍の様に見えた。

 フィオーネは飛竜から降りて俊秀に近付こうとするが凄い威圧感で近付けない。

 俊秀は野球で言う外野手のバックホーム態勢に入る。


「ドラゴン・・・・これでも喰らいやがれッ!!」


 助走してから一気に送球モーションに入る。


「どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「Noーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


 俊秀と健の雄叫び(健の場合は悲鳴の方が正しい)と共に投げられた大剣は飛竜を貫き仕留める事に成功する。

 轟音と共に倒れる飛竜を見てからフィオーネは俊秀に近付く。


「あなたは一体?」

「ん? 俺? それよりこの町で一番旨い飯や知らない?」


 飛竜を倒した俊秀の頭には健のことは忘れられ、飯の事しかなかった。

誤字があったら、報告お願いします。

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