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ゼロの輝き  作者: 遼明
第Ⅰ章 変わる世界
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第2話 ドラゴン狩り

「前方、敵の数、大型が1、小型が20です!!」

「住民の退避はまだかっ!?」

「早く『マテリアル』のチャージを開始しろ攻撃が間に合わない!!」


 城内では、いろんな声が響く、そこにいる者全員が必死になってそれぞれの役割を果たそうとしていた。


「お父様!! これでは住民の避難が間に合いません!! 私に時間稼ぎをさせて下さい!!」


 鎧を着た少女がエドワードに話しかける。


「駄目だ・・・間に合わぬなら仕方がない。お前の隊の総員にも砲撃準備をするように命令しろ」

「お父様、住民を見殺しにするのですか!?」

「フィオーネ・・・お前も上の立場になれば分かる。一人の命を救うことで、ここにいる全員が危険にさらされる事になる。それでもいいのか?」

「・・・しかし」

「お前がどうであろうと、これはこの国の王である私が命令している・・・従え」

「くっ・・・・・・・・はい」


 フィオーネは納得がいかないがここは素直に引き下がるのだった。一礼をしてエドワードから離れたフィオーネは自分の隊に命令をするために走っていくのだった。

 フィオーネは自分の隊が活動している場所に着き指示を出す。


「総員、城に退避!! のち砲撃準備に掛かれ!!」


 フィオーネの指示を聞き、住民を連れて退避して行く自分の隊を確認した後にフィオーネは城の方向とは逆に行こうとしたが1人の老人に呼び止められる。


「姫様は何処に行かれますのじゃ」

「ご老人心配されるな、私は遣り残した事をしにいくだけだ」


 フィオーネは笑みを浮かべながら答えて、走って行ったのだった。




「皆さん急いで下さい!!」


 フィオーネは逃げ遅れている人々に喝を入れるが一向に進まない。敵はもう目視で確認できる位置まで来といた。


(まずい・・・もう翼竜が来る)


 どんどん近付いてくる翼竜を見て、逃げるのを諦め掛けていたその時だった。

 大型の翼竜は痛みを訴えるかのように叫びを上げて落下していく。


「一体・・何が・・・」





 少し遡る。

 俊秀と健は突風を巻き起こしながら飛ぶドラゴンをどう倒すか頭をひねっていた。


「ケンさん、持っている武器で有効なのはあるか?」

「あるけど・・・・この突風の中では奴に弾が当たらないと思う。・・・・・神武は使わないのか?」

「神武か? ・・・あれは五歳の時から呼びかけているが全く反応がない・・・。何が神が創りし武器だよ!!」


 前世、俊秀は世界の命運を賭けた戦いを勝つ為に神武を手に入れた。そこで無理やり魂の契約を交わされた。その契約の内容は簡単に要約すると神武がいつでもどこでも肉体が変わっても使えると言う事だったが、全く反応がない。


「ケンさん、使えないものはしょうがない・・・・そこで俺に良い案があるんだが?」

「ほう? 何かな」

「ケンさんが超巨大な大剣もしくは長剣になる。その武器を持って俺がドラゴンまで跳躍で接近、とりあえず翼をぶった切る!! どうだ完璧だろ?」


 俊秀はどや顔で決めるが健は剣になりたくなくて反論する。


「いやいや・・・いくら俊秀でも跳躍している時に突風受けたら吹っ飛ばされるでしょ?」

「そんなもん気合で何とかなるっ!! それにここは俺のことわりと相性がいいのか、いつも以上に動けるぜ」

「・・・・確かに波導を感じるが・・・(あんなドラゴンに向かっていったら、俺が)危険過ぎる!!」


 理とは、仙術使い『術師』の属性である。

 術師は理を原則として一つしか持つ事が出来ないが、それを利用した強力な技を習得する事が可能となる。

 健は変化の理によって変化と無効化を可能とし、俊秀は万物がもつ命の息吹、波導の理を利用した究極の肉体コントロールと氣の操作をより完璧なものとした。

 そして、この理が最も生きるとされるのがその場に漂う氣の量にあった。

 この世界には多少にかかわらず、氣が存在しそれを利用する事でより強力な技を繰り出す事を可能とした。

 しかし、それは己が持つ理に変換する作業が入ってしまい、僅かに手間が掛かってしまう。だが、この場の氣は何故か氣が変換された状態で漂っている場所なのだ。故に属性適正者ならば、この場所では変換などせず、そのまま使用する事が可能なのだ。

 一応多少ではあるが属性混じりの氣は存在する。だが、本来は命の息吹は簡単には感知は出来るものではない、それが属性適正者以外の者であるならばなおさらだ。しかし、それが理が違っても分かるほど、この地には命の息吹が漂っている・・・・・のだ。

 つまり今の俊秀は属性補正を受けいつも以上に強くなっている。それを察した健は何とか逃げようとするが・・・・。


「ふふふふふ・・・・ケンさん、逃げようとしているなら諦めろ。お前には拒否権は無いのだから!!」

「や・・・止めるんだ!! は・・・・早まるんじゃない!! ・・・・ギャーーーーー!!」


 健の抵抗もむなしく、あっさりと超大型の大剣となる。


「さぁ、一狩り行こうか・・・!!」


 あの会話の間ずっと走っていた俊秀は健を・・・いや、大剣を持ち、ドラゴンの翼を目掛けて跳躍する。

 跳躍中も突風が起こるが、属性補正により身体能力が通常よりも3倍以上に跳ね上がっている為、風の影響を全く受けずにそのまま突っ切る。どんどんドラゴンに接近して行く俊秀はいつでも切れるように構える。


「どりゃーーーーーーーーーー!!」


 大きな掛け声と共に俊秀は大剣を振り下ろし、翼を切り捨てる。ドラゴンは痛みを訴えるかのように叫びを上げて落下していく。


「とりあえず、上手く行ったな・・・・・・。ところでケンさんよ」


 俊秀は見事に着地を決め、ドラゴンを見据えながら言う。


「ドラゴンの肉って旨いかな?」

「分からん・・・分からんが・・・・擬似世界の肉よりかは断然旨いだろう・・・・味するし」


 健の回答を聞き、だよなぁ・・・・そうだよなぁと俊秀は何度も呟いている。

 そして、青年達の思いは1つになる。


「ここで狩らせて貰うぜ!!」


 食に餓えた青年達と大型ドラゴンの戦いが始まるのであった。

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