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ゼロの輝き  作者: 遼明
第Ⅰ章 変わる世界
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第1話 飯を求めて

 俊秀と健は導きの井戸に入って、十数年が経った・・・。





「見ろ!! ケンさん・・・・光だ!? ・・・・・・光が見えるぞ!?」

「おお!! ホントだ・・・・。やっとここから出られるのか」


 青年になった彼らは洞窟の中を泣きながら走っていた。


「やっとだ・・・・。やっと、本物の肉が食える・・・。擬似世界の肉じゃなくて本物の肉がっ!!」

「牛丼だ・・・・・・。牛丼が食いてーーーーーー!! ここまで肉が食いたくなったのは始めてじゃーーーーーーーーーーーー!!」


 彼等の魂からの叫び声が洞窟内に響く、その時の顔は子供に見せたら確実に泣くであろうオーラが漂っていた。


「そうだ、ケンさん!! ここ出たら適当に動物を狩って、焼肉にしようぜ!!」

「それいいな!! よし俊秀、さっさとここから出るぞ!!」


 彼等は必死に洞窟の中を駆けた。

 全ては飯の為に・・・・。


「よー---し!! 出たぞーーーーー!!」

「まさか、狩りの都合が良さそうな場所ジャングルに来るとはな!!」


 俊秀と健が出て来た場所は草木が生茂っている場所だった。しかし、それだけで生き物の気配が全くなかった。


「ここは・・・・ジャングルなのか?」


 少し不安になるが、健は冷静に呟く。


「む!? 塩の匂いがする・・・・海が近いぞ!?」

「この際、海の幸でも全然オッケーだ!! 行くぞ!!」


 彼等は匂いがする方へ走って行くが、直に海の見える場所があった。そこで俊秀と健は立ち止まり海を見る。


「凄い・・・水平線の向こうまで見えているぜ」

「相当、高度が高い山なのか?」


 健は海の上に浮かぶ雲を見て言う。明らかに彼等は雲を見下ろしているのだった。俊秀は回りを見て、ある事に気付く。


「いや違うぜ、ケンさん・・・・・・・ここ、空に浮いている島だーーーーーーーーーーーーー!!」

「何ーーーー!? マジか!?」

「ああ・・・そこ見ろよ、不自然に穴が開いているだろ」


 俊秀は指を指して、その場所を示す。


「・・・確かに大きな穴があるな」


 健はその穴を恐る恐る覗く。穴の底は青い海と緑の大地が見える。


「嘘だろーーーーーーーー!!」


 健の叫びが木霊し、ガックリと気落ちするが・・・・・。


「はぁっ!! ケンさん!! 今、吹いた風に飯の匂いがっ!! ここからそう遠くじゃないぞ!!」

「俊秀!! 俺も今、気付いた!!この島?には人が住んでいるようだな!!」


 俊秀と健は疾風の如く、匂いのする方へと駆けて行った。










 俊秀と健は匂いを頼りにして走っていると辺りが暗くなっている事に気付く。


「ん? 雲より高い所なのに何故暗く?」


 空を見上げるが、ここは密林、草や木、ツタ等が視界の邪魔をし、空が全く見えない。


「確かに気になるが、あの坂を上りきらねば・・・」


 俊秀は目の前にある坂を見て言う。かなり急で上るのが嫌になりそうだったが、飯のため、さっさと駆け上る事にした。





 やっとの事で坂を上りきった俊秀と健の目の前には町が広がっていた。


「おお!! 結構でかい町だな」

「美味い飯が食えそうな予感だぜ!!」


 テンションが上がる2人だが、周りがだんだん暗くなっていくのに気付く。


「ん? まだ昼くらいだよな? 何でさっきから暗くなる・・・?」

「わからん。何でだろう?」


 何気なく空を見上げる。その空は大きな翼らしきものを持った生物が飛んでいた。


「は?」


 その生物は町の方へ飛んでいく。

 俊秀と健はその生物が飛ぶために巻き起こした突風に耐えながら飛んでいる生物を確認する。

 力強い翼、口らしき場所には鋭いキバ、薙ぎ払う為に付いていると思われる爪、この世界には元々存在しなかった生物が目の前に飛んでいた。


「嘘だろ!? あれってドラゴンか!?」

「分からん!! 分からんが・・・・・分かる事は1つだけある」


 健は突風に耐えながら必死に言う。


「俺達の昼飯が危ないと言うことだ・・・・!!」

「行くぞ!! ケンさん!!」


 先ほど走っていた速度より速く走って行って町に急いだ。







 俊秀たちが目指している町では、緊張が走っていた。


「やはり今日も来たか・・・・」


 その町の中でも一番大きい建物の高い場所で外を双眼鏡で覗いていた男が呟く。

 すると、その場所に武装した男が入ってくる。


「エドワード様!! 奴らが来ました!!」

「ああ、今私も確認した」


 エドワードと呼ばれた男は双眼鏡を近くにあった机の上に置く、そして、入ってきた男に指示を出す。


「住民を全員ここに退避させろ、間に合わない時は『マテリアル』の使用許可を認める。以上だ」


 武装した男は指示を伝える為、急いで出て行く。エドワードは外を見ながら願うように呟いた。


「間に合ってくれ・・・・・・」

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