「銅線、触るな!」日当二万円、機能が停止した雨水ポンプ施設の改修解体現場の廃品回収です。
ポンプ場の銅線泥棒の闇バイトに巻き込まれた主人公そこでとんでも無いものを目にする。
暴力、残酷な表現あり。
作者の性癖が発症しました。
やばいと思ったらブラウザバック。
全て架空の世界です。
⚠️ですが、一人でも多く身近な水辺の銅線インフラに興味を持てますように。
二江上川
『日当2万。日雇い。ドライな人間関係で一度きり。
ポンプ場の改修工事で、解体したケーブルなどの廃品をトラックに詰め込む仕事です。
交通の多い道のため、夜勤になります。』
それを信じて、アルバイトのリーダーの車に乗ったら、支給された作業服に着替えて、ついた先が実家が近くにある二江上川の治水ポンプ場。子供時ここにある祠に行って、警備員のおじさんに酷く叱られた。
誰かと一緒だった記憶はあるけど、思い出せない。
地元の子だったかな。
冷たい蛍光灯に照らされたコンクリートの床。
ついた先の現場で、床に倒れている人間を見つけた。
ブルーシートがかけられている。
バイトのリーダーは、この人は改修作業中に、倒れて頭を打って休憩しているだけの人だと説明した。
でも、この人知ってる。
(河中のおじさん、なんで。ここは機能が停止したポンプ場じゃない)
あざだらけで床に倒れて口から血を垂らす男、ここの警備員の河中にちかづく。
何か小声でぶつぶつ言ってる。
「ニ、.,.ダ...ヒ……ロスナ」
ちぎれた廃材が転がる現場。
車の中で作業の邪魔になるからと奪われたスマホ。
これ闇バイトじゃないかと気づく。
「おい新人、そんなグズに構うな。『工事』が遅れるぞ!」
リーダーから雷のような怒号の指示が来る。
けど、目の前のポンプにつながっていたちぎれた配線を触ったら、いけない気がした。
触ったらいけない。触ったら戻れない。
「やめろ!それに触るな!かえせ!この川のものだぞ」
床で倒れていたおじさんがつよく叫ぶ。
室内のはずなのに強い突風がふく。
風がブルーシートをまくり吹き飛ばす。
赤い透明なよだれがおじさんの口から灰色のコンクリートの垂れる。
「てめぇ、まだ喋るのか。手足潰したはずなのに!黙れ!」
おじさんの床に広がる手足は不自然な形だ。
関節でないところが折れていた。
警備員の服は頭から垂れた血で血だらけ。
リーダーやその仲間が俺とおじさんを取り込む。
リーダーがレンチを振り上げる。
「おじさん、危ない」
俺はレンチが振り下ろされる前に、腕でおじさんを庇う。
どんと、鈍い痛みが走る。
左腕の二の腕が関節でないところで折れた。
痛みでうずくまる。
「新入、てめぇ、俺たちを裏切るのか」
もう一度、リーダーがレンチを今度は俺に振り下ろそうとした。
更なる痛みに備えて、目を瞑る。
「ヴッ」
リーダーと他にもいた仲間が突然苦しみ出す。
リーダーのレンチを持った腕が、まるでレンチと一体化するようにひしゃげる。雑巾縛りみたいに掴んでいるレンチも捻れる。
「ニエ、やめて、人殺しにならないでくれ。もう十分だから」
おじさんが誰かに強くお願いする。
縋るようなあやすような感じだ。
天井の蛍光灯が点滅する。
暗闇とまぶしい白灯の光の世界を行き来する。
「溺れる。助けてくれ」
「陸はどこだ。誰か助けて」
「苦しい」
リーダー以外の仲間が次々と苦しみもがき出す。
陸であるはずなのにまるで水の中で溺れてもがき苦しむようだ。
「君、お願いだ。早く救急と警察を呼んでくれ。彼らをここから一刻も早く連れ出せ。」
おじさんは懇願するような目で俺をみる。
おじさんの手はたぶんリーダーたちのせいでありえない方向につぶれていた。
「はい!」
俺は仲間のうちの一人が持っていた奪われたスマホを取り返す。
「救急ですか。場所は二江上川上流の」
と救急に連絡している間、おじさんはひたすら何かに懇願していた。
「ニエ、もう大丈夫だからお願い。やめてください。ニエガミさま」
いつのまにかひしゃげた手足は治り、おじさんは誰もいない空間に向かって土下座し始めた。
ありえない。
おじさんの折れた骨や打撲の跡が早回しで、治っていくのを目の前で見せつけられる。
ふと、折れて痛む左腕をまるでスライムが巻き付いたように感じる。痛みが引く。
「彼は、やめてください。浮気ですか?!」
おじさんが立ち上がり、焦ったような様子で俺の腕をさする。
「君次は警察!はやく。他にも見張とかいるでしょう。」
「はい?!」
おじさんに気圧されて、警察にも電話をかける。
「救急ですか。場所は二江上川上流の」
と警察に説明している間にも、おじさんは顔を青くしたり、赤くしたりしてる。
警察と電話を繋ぎつつおじさんを観察する。
訳のわからん現状が恐怖通り越して悪夢の中にいるような気分で帰って落ち着いてきた。
「だって、ニエガミ様が出てきたら五体満足で返せないでしょう。今みたいに。私が人間のルールに則って彼らをなんとかしようとしたのに」
部屋の蛍光灯が真っ暗になる。
『人間のルールを守らん化け物に、人間の容赦はいるか?その化け物たちにひどく傷つけられたお前が可哀想だ。』
低い頭に響くような声がした。
ここで話せるのは俺とおじさんだけ。
誰の声だ。
これ。
『小僧と大きくなったな。私の宝を守ってくれてありがとう。奴らの仲間だったら同じ目に合わせていたが、どうやら騙されて連れてこられただけのようだな。見逃してやろう。』
体全体が粘着質な見えない何かで包まれた感覚がした。
「浮気しないでニエガミ様!」
おじさんが血の気の引いた顔で俺をみる。
思い出した。
この土地に来た時、まだ転校したてで友達がいなかった僕は学校帰りに、近所のこのポンプ場の警備をしていたおじさんとニエくんとの会話を楽しんでいたんだ。
『大丈夫。宝がそこらへんの捨て犬、捨て猫拾って傷治すのと同じだからついで、へんに絡まった悪縁も切っておいたから』
宝っておじさんのことか。
というか、俺は犬猫感覚かよ。
「前と同じで記憶いい感じに改変して、彼を元の人の世界に返してくださいよ。」
『わかった。その前に前払い。前とおんなじことしないとやらない』
「え、ここで前とおんなじこと仕方ないな」
おじさんが何も無い空間を抱きしめる。
そして、口を開く。
白い蛍光灯の光がおじさんの口の中を照らす。
おじさんの舌が動く、いや、動かされていた。
押しつぶされるような絡みつかれるような動きをして、おじさんの頬が見えないなにかの形を見せている。
「はあ、はぁ、やったぞニエガミ様。やれ」
おじさんは息切れしながら、ニエにお願いをした。
『はーい、さらばだ。僕たちの友』
視界が真っ白になった。
目が覚めると俺は病院にいた。
二江上川のポンプ場の銅線泥棒を見つけて、止めようとして、泥棒のグループに見つかって攻撃されて、死にかけていたところを、警備員のおじさんが助けてくれたそうだ。
なんで、夜中に川沿いなんていたんだろう。




