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非現実的な人生  作者: ゆうさん
危険度7の刺客
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第二十六章  バトルウィズアサシン



刺客リストによると、目標は、

こちらに向かっている情報を聞いた時から約5日でここにたどり着くようだ。


残り日数は2日

準備も着々と終えて、買い出しに行った人たちも次々と帰ってきたのだが……



「そういえば、ブレイクたちはどうした?」


「まだ、帰って来てないみてぇだな」



ギフェアの疑問にダロットが周りをきょろきょろしながら言う。

そして、その近くでシルクシャシャがニヤリとすると



「ブレイクめ、今頃ミヴィとやらとあんなことやこんなことをぉ~……」



演技を大げさに(主にアイシェス姫に)見せつける



「えぇ!!それ、どういうことですか!?」


「あぁ。なんと哀れなアイシェスなんじゃ……」



「シルクシャシャ姫、そういうのは止めて下さい。

アイシェス姫も簡単に乗らないで下さい」



キューラの言葉に「つまらんのぅ」とボソッと言う

「う、嘘だったんですか…」またしても怒りの炎をたぎらすアイシェス姫



「大人しくさせるのが大変です……」と、キューラとタミンは困るばかりである

城にたどり着く間もこんなことばかりで既に疲労困憊だった。



この姫たちの争いが起こる少し前の事、問題のブレイクたちはというと



「腹減ったぁ~」


「何か食べていきましょうか?」



少し遅れるが、許してくれるだろう。



「おぉ!? 此処であったが百年目!今日こそ勝負をつけるぞ!!」


何か聞えたけど、まぁいっか


「……さて、どこに食べに行こうか、ミヴィ?」


「この辺では、火山ラーメンが有名だとか…とても美味しいらしいです」


「んじゃそこの店に行ってみるか」


「って待て待て!!誰かを忘れてはいないか?」


「髭面ピエロかぁ。よく生きてたな」


「なんだとぉ!!このとおりまだ生きてるぞ!」



そういうことで、俺はこいつに絡まれてしまっていた……

でも、あの時いた大男がいないのだが(よくそんなこと覚えてたな、俺…)



「ん? それはだなぁ…聞いて驚くなよ?

……魔法で体格を変えていたのだっ。どうだ!驚いたろっ!!」



「わー、すごい。おどろいたなー(棒読み)」



ちなみに豪華な拍手付きである。褒め言葉と拍手のセットで銀貨10枚です。

あ~それにしても腹減った……



「な!なんだそのぽかぁんとした顔は!!今度こそギャフンと言わしてやる」


というと鞘から剣を抜き魔法を唱える


「どうだ!魔法剣だぞ!!まいったか。あーはっはっはー」



そうか、髭面ピエロは褒め言葉拍手セットの他にも何か欲しいのか。サイドメニューとか?

やべぇ~マック行きてぇ~。この世界にはファーストフード店なんて存在しないからなぁ



とりあえず俺は魔法剣改サイドメニューをやって見せた



「魔法剣改。よし、どこからでもかかってこい

……と言いたいのだが、腹減ったから戦えそうにないな。

だから降参だ。あんたの勝ちでいいから早く通してくれ。」



「魔法剣、か、改だとぉ!!?」



なんでそこだけにこんなにも大げさに驚いてくれるんだ。

サイドメニューだから高く付かないんだがな、精々銀貨5枚です。ってか?



「あ、兄貴!? 気絶しちまいました」


「な、何!? 気絶だと?」



2人の子分は髭面ピエロを抱えてこう言ってきた



「あ、兄貴は、お前の、そっその魔法剣のみすぼらしさに呆れて倒れたんだ。

つ、次こそ勝負をつける時だからな!覚悟しとけよ!!」



無理矢理なフォローだな

そういいながらふと思う。そろそろ魔法剣改より強力なのを作ろうかと

あいつに負けそうだからとかではなく、強化しておいて悪いことは無いと思ったからで



「ミヴィ、邪魔者も居なくなったことだし帰るか」

腹減ったって言ってもあいつらに時間とられたしどうすることも出来ないな……



「そうですね。それにしてもさっきの人……」


「さっきの奴は黒盗賊とか言う面倒な奴らだ。あんまり関わらない方がいいぞ」


「いえ、なんとなく私の剣の持ち主に似ていたもので……」と真面目な顔で言う。



……………え?



「えぇ~~~~!!」



まさかの発言だった。

俺はただ、髭面ピエロがミヴィの言うご本人ではないということを一生懸命祈り続けた。







―――――ギフェア城・会議室―――――



「まだ、帰ってこんのかー」


そろそろ我慢の限界のシルクシャシャ

姫と言ってもまだ16歳。駄々をこね、手足をバタバタさせる。


「そんなことをしても帰ってきませんよ。まだまだ幼いのですね。」


アイシェスがシルクシャシャに向かって言う。

その言葉にジタバタをピタリと止めたシルクシャシャ。



「確かに遅いですね。どうしたんでしょうか?」



クライムと話せるという驚愕な事実を知ってしまった悩み多きピロクが答える

その事実を知ったことと同時に自分にはクライムの血が巡っているのだろうかという

悩み事が増えてしまった。自分はクライムと同士ということなのだろうか……



「あら?アツアツカップルさんが帰ってきたみたいね。」



扉が開く音を聞いてヴェスティが言う

その言葉にまるで糸で引っ張られたかのようにクイッと扉の方を見る姫2人。



「すいません。遅れました!……って、あれ?」



シルクシャシャの目の色が真っ赤に燃えている?

……アイシェス姫も疑り深い目でジロジロ見てくるし

なんだ?空気が重い……



「いやいや、良いんだよ。それより頼んだものは作ってもらえたか?」



あのぅ。無理矢理笑顔とか作るの止めてもらえません?ギフェアさん。

どうせならこの状況を説明してほしいのですが。



「作ってもらっています。後で届けてくれるそうです。」


これまでの状況を話し、一息つくと同時に誰かに後ろから抱き着かれた



「し、心配したんですよ。あんまりにも帰ってくるのが遅かったのですから」

と、俺に対する疑いは晴れたのか既ににこやかであった。



「悪い悪い、心配かけたなぁ~よしよし」



優しく頭を撫でてやる

満面の笑みで気持ちよさそうにしているアイシェス姫を見ているとこっちまで笑顔になる



「ブーレーイークー!」



なにやら走ってきた赤い奴はとりあえずほっといて、これからどうするんだろうか



「んなっ!避けるとは何事じゃ!!」



両手を広げて同じく俺に抱きつこうとしたシルクシャシャを見事にかわした。


「それにしても、どうやって刺客を倒すんですか?」


「それなんだが、レクセルとアイゼーンに任せている」


「そうなんですか。それならよかった。安心です」



安堵している時に噂の2人が来た



「ぎ、ギフェアさん」


「おぉー。待ってたぞ!レクセル、アイゼーン。さあさっ、作戦を教えてくれ」


今か今かと待つギフェアにたいしてなにやら言い辛そうな2人


「そ、それなんですが……」


「どうした?早く結果を見せてくれ」


「刺客リストには詳細が書かれてなくて……」


「え?」


その場にいた全員の顔色が変わった


「なんだって?」


マールーが聞く


「だから、大事な情報が何一つ書いてなかったんだよ」



「まじかよ……」



今の季節は……って季節ってあるのかな?

とにかく暖房が欲しいくらい部屋が寒くなったような気がした

そして、凍ったように動かないみんなを見て慌てて話を続ける。



「で、ですが、まだ間に合いますよ」


「あと2日でどうしろというんだ!」



当然の如く怒られる2人



「二人で考えて来たんですが、刺客レベルの同じ相手と同じ対策をすればいいのではないかという結果が出たんですが大丈夫でしょうか?」



それはあまりに適当じゃないですか?

という言葉を控え、話を聞こうとしたところ



「なんとも大胆な行動じゃな」



シルクシャシャー!!

お前と言う奴は何という事を……



「まぁいい。それで刺客レベルはいくつなんだ?」


あれ?簡単に流された……



「7です」


「7!?……それと同じ相手はいたのか?」


「ちょっと待っててください……」


しばらくページをペラペラめくったレクセルは顔をパッと上げ


「こいつです。レベル7の刺客は」


「そいつだな?よし、それを参考に準備を始めるぞ」





そして刺客到来の日……



「各部隊は既定の位置につけ!」



ガシャガシャ!と音を立てながら進む騎士団は

支給された武器を持ち並び始める



相手は仲間を連れてくるとの噂だとシルクシャシャから聞いたので城にも部隊を配置した。城を出る前にずいぶんとシルクシャシャに時間を取られたが、アイシェス姫を守れるのはシルクシャシャだけだと肩を掴んで目をしっかり見て言ったら



「わ、私も姫じゃぞ!……ま、まぁ。しかしじゃな~……

仕方ないかのぅ……ブレイクがそこまで言うのなら……」



顔を真っ赤にしていたことは何故だか分からないが

しっかりやってくれそうで助かった。



時間を取られた訳とは、どうやらシルクシャシャも俺らと一緒に戦いたかったらしい。そのことで少し話し合いになっていた。竜に変身すれば刺客も驚いて帰っていくだろうという作戦だが、所詮、炎は吐けないし、空を飛ぶことも出来ないので、見破られるのは時間の問題、しかも、その程度で刺客をどうこうするなんて無理にも程がある。ということもありその案は却下された。



それでも、ブーブー言っていたのでさっき説明したように言い聞かせたというわけだ。



そして、城から出てゴーナ平原へと向かう。

どこから攻撃されてもいいように武器をしっかりと構えて



「そういえば、刺客ってどんな奴だ?」


武器を地面に置き片手を腰に当て大いに余裕を見せるダロット


「絵や写真が無かったから何も分からなかった」


残念そうにレクセルが言う。


「そうか、どうする?山ぐらいデカいの来たら?ほらヤマ〇カミとか」


「ちょっ、やめて下さいよぉ~」



なぜそのモンスター名を知っているのかがよく理解できなかったが

すでにちびってそうなピロクが弱々しく話す。

と、その時、地面から物凄い振動と音が聞こえてきた。



「とうとうお出ましか?」


白い歯を見せ武器を構えるダロット


「命だけは大事にな!!」



ギフェアの声が平原全体に響き渡る。

この凄い音の中でも言葉が伝わるってのも凄い話だが、



「しかし、この大きさはまずいのでは?」



現在約、1000mの範囲で地面が揺れている

北側に俺(ミヴィ付き)とギフェアさん、南側にマ-ルーヴェスティ、そして西側にピロク

最後に東側にレクセル、ダロットという感じになっていた


「へへっ、倒し甲斐があっていいじゃねぇか」


「そんなこと言っていますと踏みつぶされますよ」



徐々に大きくなる音に緊張や興奮、いろいろな感情を抱く


「く、くるぞ!!」



ドカーン!!

と地面を突き破り

で、でたー!!と言うはずだったのだが



「あれ?」


そこにいたのは俺らの背の半分しかない子供だった


「へ?」



当然驚くみんなだったが、その気の抜けた気持ちもすぐに引き締まる。

その少年はどこからか知らないが剣を5つ取出し構えだしたのだ

手に持ちきれない分は魔法か何かの力で浮かせていて

その姿はバリバリ戦闘モードだった。



「結構危ない奴だな…」


レクセルが顎に手を当てながら話す


「冷静に言っている場合じゃな――っ! うわっ!!」



まさにピロクが喋っている時に相手は戦闘を開始した

超ギリギリのところを奇跡的に回避したピロクは顔が真っ青だった。



その少年は魔法を使うしぐさを見せずに一気にスピードを上げてこんどはダロットに間を詰めてきた。


「うわっ!なんだこいつは!魔法唱えてねぇのにラファーガ並みの速さが出てんぞ!」



少し焦ったダロットも加速魔法を唱える。

その後、全員がシオラ石使用の同じ魔法を使い、なんとか速さでは同等にはなったが



「くっ!この隙の無さはなんなんだ!?」


現在一人で応戦中のダロットは相手の防御に隙が無いことに困っていた


「大剣の軽量化を最大限に生かしてもこれかよ……」



見た目、物凄く重そうに見える大剣は持っていればレイピア並みの軽さになるので、楽々振ることが出来るのだが、相手はちょっとも怯む様子を見せない



「すいません、待たせてしまって」


「ダロット一人じゃ無理そうねぇー」


戦いにレクセルとマールー、ヴェスティが加わった



相手はほぼ動いていなく武器だけを自在に操り攻撃をしている

味方が増えたからと言って隙は生まれなかった。というか対処が変わらない。

体力だって無限に続くわけでもないし、そう長くは戦えない



しばらく戦っても戦況が全然変わっていない

1人が4人になったっていうのにどういうことだ?



「ちっ!らちが明かねぇ。どうなってんだよ!!」



「ほんとですね。トラップは全て回避。攻撃は効かない。

ヴェスティの魔法も通用しない。どうしたらいいんでしょうか?」



「面倒な相手ね……。何か手段は無いの?」


少年も魔法を唱え始めた


「げっ!二重魔法かよ……」


ダロットがマジかよ的な顔をしながら間合いを開ける


「『アネモスコメット』(彗星の風)」


強烈な風が吹き付ける中、彗星が降りそそぐ



ヒュ~~~ドゴーン!!


シュシュシュシュバーン!!



なんとか全員がエナジーリフレクションを唱え身を守る


「これほど膨大なフォースを使ってもあの戦闘能力……」



レクセルが唖然とする

魔法使用中はさすがに剣の動きは止まっていたが疲れてる様子は一切見られなかった



「あの魔法に全てのフォースを注いでたら防御魔法なんて簡単に打ち破れるところだったな」


再び武器を構えたダロットが落ち着いて言う



武器を浮かす魔法を使っているのにもかかわらず新たに魔法を唱える高度な技術

そういえばあの黒い少女もそんなことしてたっけ?



まだたどり着かない俺とギフェアはなるべく急いでいた。


「ラファーガを使えば一気に行けますよ?」


「いや、シオラ石にも使用上限があるのは知ってるだろ?そう何度も無駄に使えない」



魔法も便利なものだと思っていたが使い慣れるといろいろと面倒な事もある

使えるのに使えないのはなんだかもどかしい。



数分という短さでたどり着いたが、戦っている者にとってはかなり長く感じていた


「すまない。遅れた……」



「あぁ、でもこいつは手ごわいぜ。物理、魔法攻撃は一切通用しないし、にしては攻撃はバンバンやってくるし、魔法は二重魔法普通に使ってやがるし」



地面に刺した剣に体全体の体重をかけ休むダロット

確かに、攻撃の通用しない相手と埒の明かない勝負を続けても意味が無い

だが、ここを突破されたら……。想像するだけでも恐ろしい

なんとか食い止めないと!



「ミヴィ?何か手は無いか?」


「そうですね。無敵なこの人には……ん?」


「どうしたんだ、ミヴィ?」


急に何かを探るように目を閉じた


「私と同じような力を感じる……」


「どういうことだ?」


ミヴィと同じ力を感じる?意味が分からん……


「この人、精霊を宿しています。」


はぁ?


「精霊を宿してる?」



「その様です。この驚異的なスピード、フォースの限界突破などあなたたち人間にはとても不可能な事をやってのけるわけはこういうわけだったんですね」



「なぁ?精霊に宿られた奴はどうなるんだ?」



「その人の性格や精霊の性格により片方が完全に眠らされたり、精霊の能力だけを利用する人間もいると思います。もちろん100%精霊に体を乗っ取られる場合もありますが……」



「ふぅ~ん。んであいつはどうなんだ?」


「えっと。人間:精霊とすると8:2ぐらいです」


ほとんど人間じゃねぇか!?


「しかし、精霊の力はほとんど借りて戦っているようです」


「っていうことは素の人間は強くないと?」


「そういうことになります」



ふぅーん。何があったか知らないけど

あいつに好き勝手はさせない!



「ミヴィ?俺に宿ることは出来るか?」


「えっ?」



さすがに俺の言葉には驚いたらしい

めったに表情を変えないミヴィが目を真ん丸にしていた



「そうすればあいつと対等に戦えるかもしれない、いや、それ以上も可能か?」


「でも、どうなるかわかりませんよ?」


「宿ることさえできればそれでいい。今はこの方法が最善策だ」


「そう…ですか……。では、いきますよ!」



そういうと俺に軽く抱き着くような感じでスゥっと入って行った

と、同時に意識が途切れた……







「うっ!……ここは?」


体の痛みで起き上がった俺は周りを見渡す


「おい!大丈夫か?」


この声はギフェアか?


「大丈夫みたいです。今の状況は?」


「まだ、仲間が戦っている。だが、そろそろ限界も近い……」と頭を抱えて悩みこむギフェア


「その心配はいりません。俺は今からあいつと一対一で戦います」



意味が理解しきれていないのかぽかーんとなるギフェア

しかし、すぐに我を取り戻し



「おいおい、命は大切に扱うもんだぞ!?それでも正気か?」


「はい。むしろ一人の方が戦いやすいかもしれないです」


「ブレイク、頭どこか強く打ったか?調子悪いとかないか?」


「ないです」



そうか。と一言いうと立ち上がり



「最後の切り札を使う時が来たか……」


そう告げて俺に頑張れと言って手を貸して立ち上げさせてくれた


「ありがとうございます。きっと、いや、絶対に勝ってきますんで」


「そうだな。期待してるよ」


それから、ギフェアさんには城の方を頼みますとお願いをしてそちらへ向かわせた


「さて、俺も戦うか……」


手や首、腕の骨を鳴らし武器を構えて戦場へと出向いた




「やべぇ。もう限界だ」


「マールー!まだまだこれからだろっ!?先にへたばってみろ。俺がブッ倒してやる!!」


「へへっ。怖い事言うなぁ……。そんなこと言われたら嫌でも戦うさ」




その時少し離れた場所でピロクは思う


「なんとかして力にならないと!今こそ頑張らないと!!」


口ではいろいろ言っているが体が動かない

そんなこんなで既に2時間が経っていて……


「駄目だ駄目だ……。僕には何も「出来るさ!!」へ?」


僕の隣にはなぜかクライムがいた。



「俺は人のフォースの力を感じることが出来る。

ピロクには少なくとも今まで乗らせてやってきた奴ら以上の力を持っている。

自分を信じろ!やれば出来るさ」



「そ、そんなこと言われてもなぁ……」


と、その時


刺客が唱えた魔法をダロットらが弾いた結果、クライムの連れてきた仲間に攻撃が当たりそうになった


「お前らっ!!?」


叫ぶクライムにピロクの目の色が変わる


「あれは水と闇と土の結合魔法。それなら!!『フェルドプラズマスヴェート』(炎光雷結合)」


相手の放った魔法とクライムの仲間の間にピロクの魔法が入り

ギリギリのところで魔法同士がぶつかり合い消滅した。


「助かったぜ。やれば出来るじゃねぇーかよ。その調子だ」


人外に褒められるのは不思議な感覚がしたが、自分の力に自信が持てた


「僕は、こんな凄い魔法が使えたんだっ!!」


この上なくすがすがしい気分になったピロクは敵に先制攻撃を仕掛ける


「『シュニーヴァッサーグルーベ』(氷水土結合)」



この魔法の相性の良さは抜群だという事をピロクは知っていた。

実をいうと、ピロクの本気はブレイクと同等だったりする

あくまで現在のブレイクに。だが……



「結合魔法か……ふっ。『S・マバリア』」



マバリアというレベル1魔法ガードでピロクの最強魔法を消し去った



「え……。なんで、レベル1魔法ガードで防がれたんだ!?」



ピロクは唖然とした。相手は一体何者なのか……


「あれは、精霊魔法の一種だ」


クライムがそういった。


「精霊魔法?」


「そうだ、『S』は精霊を表していると聞いた。」


「ってことは今戦っている相手は精霊!?」


「もちろん。そういうことになるな」


あっさりとした受け応えに言葉を返すことが出来ない


「……んじゃ、どうやって勝てばいいの?」



再び絶望するピロクであった。






「ミヴィ?聞こえるかー?」


(聞こえます。どうやら成功したみたいですね。相性はバッチリなようです)


「それは良かった。んでなんか変わったのか?」


(魔法が全て強化されます。体力、運動神経ともに著しく上昇するようです。)


「本当か!?すげぇな……精霊の力」



(でも、あまりこの状態を保ち続けると肉体的な、

なんらかの症状が起きてしまって酷い時には精神錯乱になります)



「そっか、短時間で決着をつけるのか……」


俺は敵と戦っているダロット、マールー、ヴェスティに話しかけた


「ダロット、マールー、ヴェスティは城の方を頼む。ここは俺一人で防ぐ」


「おい、本気か?俺たち3人がかりでも埒が明ねぇんだぞ、なら協力して―――」


「大丈夫だ。とにかくギフェアさんも向こうにいる。敵も多いみたいだからそっちを頼みたい」


「そ、そうか。ブレイクの凄さは知ってるが、無理はすんじゃねーぞ?」


「そうよ、あなたを私に惚れさせるんだから、それまで死んじゃ駄目だからね!」



どういう理由なんだ……



「分かった。死なずに戻ってくるよ」


3人はピロクも途中で拾いそれぞれ城へ戻って行った。


「さて、速攻で勝負をつけるか」


「貴様、精霊を宿しているな?」



顔に似合わず声帯が低い

これも精霊の力か?



「そうだ、この力を借りてお前を倒す!」


「そうか、それは面白い。『S・フレイム』(精霊炎)」



炎系魔法にしては音が違う。

ヴォオオとかゴォォでもなくフォオオオというおとなしい音



(精霊魔法と言う系列の違う魔法です。

この場合普通の魔法だと太刀打ちできません。

私たちも精霊魔法で対抗しましょう)



「了解!『S・ヘイル』(精霊氷)」



キラキラ、キンキンではなくどう表現したらいいか分からない神秘的な音を鳴らす

精霊と言うだけあって演出が凄い、迫力あって良いなぁ~



「ほう…。少しはやるようだな。」


そういうと剣を取り出す。その剣には魔法が宿っていた。



「魔法剣……改?」



「魔法剣改?……違うな。

魔法剣スピリトゥスというものだ。さて、貴様の腕前見せてもらおう」



そう言って駆け出してくる


(私たちも魔法剣を)


「わ、分かった。魔法剣改!」


ヴェーアを呼び寄せ炎剣に水を混ぜる


「フハッ!なんだその剣は?そんなお子様剣で俺に勝てると思ってるのか?」


(それより上の魔法剣は無いのですか?)


「これが限界だ。これ以上なんて……」


(そうですか、なら!)


ミヴィがそういうと剣に異変が起きる


「なんだ?」


(私が命名します。魔法剣スプライト)


その剣は今までの剣の作りとは全く違う物だった

刃の部分に赤い紋様が刻まれそれを氷が覆うようにコーティングし

持ち部分は金色に輝き、全体に雷を纏っている


「なんかすげぇ強そうなんだが……」


(戦ってみればその威力も分かります)


「そっか、楽しみだな『ラファーガ』(超加速)」


2人が高速でぶつかり合うと同時に剣を交える


ジュオン!!


ジリジリジリジリ!!


「音すげぇな。ス〇ーウ○ーズみたいな音だ……」


「何!?俺の剣より強いだと……」


「そうか、それは残念だな」


(その力の差は相性。今なら勝てる!)


「よし、乱斬りだ! おりゃぁああ!!!」


ヴォンヴァァン!


ジュオンジリジリ!!


「くっ!!『S・ブラスト』(精霊爆風)」


「っ! 『S・エレメントアブソーブ』(魔法吸収)」


あの少女の使った魔法を覚えといてよかった。

ってかよく覚えてたな……


(危なかったですね。よくその魔法をご存じで)


「あの少女と戦ったおかげで助かった『S・ダイヤモンドダスト』(超精霊細氷)」


空中に巨大な氷がいくつも出来て一斉に相手に向かって落ちる。


「ちっ、精霊の力を持ってしても駄目だったか……」


その言葉を最後にその刺客は姿を消した……




「さすが、魔法の演出が凄いなぁ……」


(まったく、あんな強力な魔法を使ってよく平然と立っていられますね)


「そういえばそうだな。俺、実は精霊だったり?」


(その可能性も十分ありえますね)


「えぇ!?」


(嘘ですよ)


なんか、ミヴィの性格が変わってきた様な気がする


「変な冗談はよせって……」



その後、俺とミヴィは今の状態を解除して城の方へと向かった。

みんなには追い払ったと伝え、びっくりされた(当たり前か…)

城にいた敵はそう強くも無かったらしく逆に退屈だったそうな……

シルクシャシャはアイシェス姫に俺の真似をさせて乙女同士の恋愛術とかを教えてたみたいだが、相手はシルクシャシャだからな。どんなことを吹き込んでいるか分からないから困ったもんだ。アイシェス姫が変な行動したらすぐに止めさせないとな……



「ブレイク、今回の刺客の戦いぶりを見ていたわけでは無いが、君に魔法の講師を頼みたいんだ。」



いきなりギフェアがそう言ってきた。

いくらなんでも急ではなかろうか……



「ちなみにいつを予定して……?」


「明日だ」



睡眠不足で過労死っていう可能性が十分出てきたな

明日当りが俺の命日か……



そして、とギフェアが続ける



「その子たちはブレイク直属の部下と言う事にもなるぞ」



お!なんとも頼もしい味方が……

俺は寝不足のせいか頭の中で考えることは、どうやってこき使ってやろうか?

とか、寝る時間を確保するにはどうしたらいいか?とか。

そんなことばかりであった。



「そうですか。分かりました。」


「よし、そういうことだ。頼んだぞ?」


「分かりやすいように頑張りますよ」



俺はそう答えて速攻自分の部屋へ戻った。

この時ばかしはどんな相手に邪魔されようが寝ようと思った。


そして深夜……


「ん?なんじゃ?鍵が開かないぞ?」


だが、俺も馬鹿じゃない。同じ過ちは何度も起こさない。

魔法で鍵を完璧ロック状態にしておき、シルクシャシャによる不法侵入という危険性は防いだ。



「ふぬぬぅ~~!はぁ、はぁ…。なぜじゃ!なぜ開かないのじゃ!」



しばらく窓相手に奮闘するシルクシャシャであった。


ちなみにミヴィはブレイクの隣の空き部屋に住むことになりすやすやと眠っていた。











「なあなあ、アイシェス? 少しだけ私に付き合ってはくれぬか?」

「えっと……、大丈夫ですけど、どんな用事ですか?」



「なんじゃ!?何事じゃ!!ってお主らは!」

「はい。やっと見つけましたよ。シルク姫」



「君がブレイク君だね」

「あなたは?」



「長年の調査の結果、魔人に勝てる方法が見つかった。

と言われたら聞きたいかね?」



次回『開校!ブレイク魔法授業』




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