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非現実的な人生  作者: ゆうさん
封印からの目覚め
38/69

第二十四章  封印されし精霊



――――サフェン地方・レンファート遺跡跡地――――



「ここがレンファート遺跡跡地……」


緑が生い茂る場所に建物があったと感じさせる煉瓦の破片が転がっている

もはや膝より高い障害物は無かったが一つだけ俺と同じくらいの身長の碑石みたいなものがあった。

アイシェス姫は寝心地の良さそうな場所に寝かせてきた

とうぶん起きそうも無いし……


「あれはなんだ?」


「そう。これのためにここに来たようなものじゃ」



……これのために?

どういう事だ?



「ブレイクはその剣に何かを宿しているのか?」


「え?(何で分かった?)」


(あなたは私の声が聞こえるのですか?)


「もちろんじゃとも。お主の声は聞こえとる」



なんかすげぇー

いろんな意味でシルクシャシャは凄いと思う



「俺が宿したわけじゃないんだ」


「そうなのか、では、お主自身が宿ったのか?」


(私はもともと宿っていました自分で宿ったわけではありません)



ふむふむと顎をなぞりながら考え込む

しばらく考え込んだあと、シルクシャシャは俺の方を見て

封印を解いてみないか?と言ってきた



「封印を解く?」


「そうじゃ、封印を解くことによって、この者を実体化出来るのだぞ?」



マジっ!

そんなことが出来るのか!?



「んでも、そんなことしたら剣による自己作用が無くなるんじゃ……」


(それは大丈夫です。剣を操作するのは宿っていなくても可能ですので)


「こんなことをするには私にとって、敵を増やすことにしかならないのじゃが……。

これからさき、こうしておくことによって、ブレイクも何かと楽になると思うんじゃ」


「楽になる?」


「そう、仲間を増やすことは重要な事じゃ。」



溜息を一つ

不満の方が上なのかあまり笑顔ではない



(ですが何故いきなりそんなことを?)


「近時、刺客が来のじゃ」



急に真剣な顔になり話し始める



「し、刺客!?」


「そのためにも、いろいろと対策を練らないといけないんじゃ」



俺の周りをくるくる歩きながら話す



「ミヴィが必要なのか?」


「まぁ、そうなんじゃよ。」


「ってか何でそんなこと知ってんだ?」


「風の便りじゃ」


空を見上げて風を感じるように目を閉じる



シルクシャシャは物真似…声真似は出来ないけど

そういうことしてそこら辺の街をうろうろしていれば

裏情報的なものも手に入るのか?

なんだかすごいスキルを持ったメンバーと行動してるよな~。

二重スパイ…とか言わないよな……。



「それより、その封印を解くにはどうしたらいいんだ?」


そういうとシルクシャシャは俺に向かって両手を前に広げた


「何だよ?……抱いてくれってか?」


「そもそも、その剣が無くては何もできないんじゃが?

ブレイクがよいと言うのであらば私の体はいつでも空いているぞ?」


「あぁ悪い悪い……ヴェーア!」



シュン!と音を立てながら現れた空中に浮かぶ剣を手に取りシルクシャシャに渡す



「ぶ、ブレイク、せめて鞘に剣を収めて渡してはくれぬか?」


結構びっくりしていたようだがこの剣にしまう鞘などそもそも無い

そう告げると恐る恐る剣を受け取り碑石の前で剣を振り上げる



「相変わらずだが、私の言ったことを軽く受け流すことは止めてくれぬか?精神的に痛い」



だったら言わなきゃいいだろうが!

などといったら立ち直れなくなりそうだからやめておいた。



「あぁ、あれは冗談だったのか?ならこれからもそう受け取るよ」


「な!なんじゃと!?じ、冗談ではなくてだなぁ……」



俺の返答に少しびっくりしていたようだが修正は不可能

これからはとことんつっこんでアイシェス姫には誤解を招かないようにしなくては



まぁそのごたごたは少ししたら落ち着いた

私だって構って欲しいのじゃ。とか言いながらまた剣を振り上げる



「我、碑石の力を借りこの剣に宿る精霊を解き放つ、精霊の力の源は風・水・聖となり。

今ここに姿を実体化させよ。」


目の前に広がる眩い光により視界が閉ざされた


「うっ!!」



その出来事は数秒により視界が開けた

そして目の前に立つ一風変わった服を身にまとう清楚な大人の女性が現れた。


「成功じゃな」


シルクシャシャは現れた女性が思わぬ綺麗さということで、成功したことの嬉しさより

そちらの方へと気持ちは傾いていた。


「ミヴィか?」


実体化されたミヴィは、俺と同じくらいの身長でストレートの金色の髪を腰まで伸ばしていた。

目の色はピンクで服はアラビアン的な服装と言えば分るだろうか?まぁそんな感じだった。


「はい、そうです」


相変わらず表情一つ変えないミヴィだがいつか笑ってくれる日が来るだろう


「んまぁこんなところじゃ。帰るかの?」



とりあえず俺とミヴィの関わりを最小限に抑えたかったシルクシャシャは早めに切り上げようとした。

もう、あまりの綺麗さに悔しさで涙が出てきそうになったほどだ



「そうだな。アイシェス姫もいつまでもあそこで寝かせっぱじゃ可哀そうだし」



俺がアイシェス姫へと向かおうとしたところシルクシャシャが立ちはだかり

目を閉じつま先立ちになる



「どうした?」


「お礼くらい良いじゃろ?」


確かにこの行動がどういう意味を表しているかなど人目瞭然

だが……


「よく頑張った!!シルクシャシャのおかげで助かったよ。ありがとな」


と髪をクシャクシャしてやった。


「な、なんてことない!こんなこと朝飯前じゃ!」



キスをしなかった事による不満さは少し見え隠れしたが

どうやらこれでも良かったらしい






――――ジェキア地方・ガルヘント城――――



最強集いしジェキア地方に建てられたガルヘント城

騎士や魔導師・武術などなどあらゆる人材が集められた姫様護衛隊

しかし、その姫はどこへ行ったのか分からず、現在は消息不明となっていた



「なぁ?セルウェンはどう思う?」



剣士として選ばれたハイシャル・イースタンスはたった6畳の狭い部屋に自分を含めた4人を入れ姫様について話していた。



セルウェン・フィードルト

地べたに寝転がりながら串刺し肉を上手そうに食べている黒髪黒服野郎に話しかける



「あぁ、姫様の事か?どうだかなぁ~。俺にもサッパリ……。カラゾネスはどうだ?」


「どうだ?と言われても……、予想が全く付きません」



カラゾネス・パルキリート

メガネをかけて背が高く一見頭が超良さそうに見えるが学力的には普通である

超頭が良さそうだとよく勘違いされることが悩みらしい



「私は、誰かいい男でも見つけたもんだから一緒にいる、なんてこと、あるんじゃないかな?」



何かとんでもない事を言い出したこいつはミャーゼル・セルターナ

魔導師として選ばれただけのことはあり、俺たちを遙かに上回るフォースを持っている

もちろん魔法の知識も抜群である。こればっかりは馬鹿に出来ない



「でもさぁ、そろそろ帰って来てくんないと俺たち姫様護衛隊はどうなる?」


ハイシャルが手を広げみんなに言う


「別に誰か違うやつがいるんだったらそいつに任せようぜ? ふぁ~あ……」


「相変わらずだなセルウェン。このまま姫が帰ってこなかったら俺たちの存在意義が無くなるだろ?」


セルウェンは串だけになった棒を外に投げると一言


「もしそうだとしたら休暇が増えるな」


真面目に結論を出すセルウェン


「増えるどころじゃないですよ!」


すかさずカラゾネスがつっこむ


「分かった分かった。探しに行きゃいいんだろ?」


「探しに行くんだったら私も行くぅー!」


ミャーゼルは身支度をし始めた


「そうと決まればすぐさま行こう。……ところで誰かエトロケスト(目標探査)使える人いないか?」


「あぁ、俺が使えるけど?」


「セルウェン。どういう時にそれを使うんだ?」


「好きな女の子の追っかけ」


「ほんとか!!?」


「嘘だよバーカ」


「え?えっ!?セルウェン好きな子いるの!?」


「いねーよ!ミャーゼルは黙ってろ!……はぁ。冗談でも言わなきゃ良かった」



こうしてガルヘント城の姫様護衛隊はシルクシャシャ姫を探しに旅立ったのであった。





―――――ガダルナ地方・ヴェセア城―――――



「…………………………」


「見つかったのか?」


「……いえ。どこにもいません」


「これがもし駆け落ちなどという事になったら……分かってるな?」


「はっ!はい!!分かっています!」



まぁ、ブレイクがそんなことをする人では無い、と言う事ぐらい分かっている

でも早急に連れ戻すためにもこう言っておくしかない

何故なら近時か刺客が来るという話が出ているからだ

このことについては話し合わないと城が大変なことになるかもしれない



「では、引き続き続行してくれ」


「早急に探し出してきます!」


「頼んだぞ」



急いで出て行ったクラスB隊員の背中を見た後、外窓を覗くと今日も快晴だった。



「さて、どんな奴が来るのやら……」

ギフェアはいろんな感情を感じながらブレイクの帰城を待った。



その後、数十分でブレイクたちが帰城し、ギフェアの部屋へ訪れたのだが、当然の如くギフェアは仰天した。ブレイクは旅先で一人の女を口説いて帰ってきたのか!?という疑問だ。当然首が270度捻るんじゃないかというくらいブンブン頭を振るブレイクだった。ミヴィの状況説明もありなんとか事態はややこしくならずに済んだ。このことばかりは正直に言ってくれて心の底から感謝した。もちろんシルクシャシャの長い暴走もあったがめんどくさいので省く。アイシェス姫も寝ていたため記憶が無いながらも一生懸命ブレイクのことについて話していた。



「ったく。困った姫じゃのぅ」


「あなたは黙っていてください!」


「お主が寝ていた間、私とブレイクの深い関係も知らずに良く言えたものじゃな」


「な!何ですかそれはっ!? ぶ、ブレイクさん?」


「別に何もなかったよ。こいつの話は信用しなくていいさ」


「そ、そうですよね。何もなかったですよね」



まだ、少しは疑っているのだろうか?

目だけをちょろってこちらに向けてくる。



「大丈夫だって、気にするなよ」


「そういえば、じゃ。アイシェスが寝ていた間にしたキスの感想、いたっ!痛い。何をするのじゃ!」


俺は剣の平たい部分をシルクシャシャの脳天に叩きつけた



「……キス?」



可愛らしく小首をかしげるアイシェス姫だったが目がマジだった


「こいつの嘘だぞ?信じるんじゃねぇぞ!」


「でも、あの時はキス……確かにしてましたよね?」



なっ!これを言われたら対抗する術が無い

時にアイシェス姫は恐ろしい……



「いや、あの時は事故だって言ったろ?今回もそうなんだって!」


「それはわかっています!わ、私が言いたいのは……」


「言いたいのはなんじゃ?」



気になってしょうがないシルクシャシャ。目を光らせて問う



「私が言いたいのは……」



何をそんなに躊躇しているのか……

なかなか話さない



「なんだ?」


「わっ!私にも同じことをしてほしいのです!!!」


「んなっ!?」



マジっすかー!?

なんだこの展開は!?

恋愛ゲームでもあるまいし、これはきっと、そうだ!これは夢だ!

夢を見ているに違いない!俺の人生こんなに上手くいくはずがないからだ

普通ならこのままメテオやら聖なるなんとかやらをぶつけてくるはずなのに……

こんな可愛らしい女の子がこんなことを言ってくるはずがない

俺のハッキリと覚えている学校での経験が教えてくれる……


「ブレイクさん?どうかしましたか?」


アイシェス姫の声にハッとした俺はしばらくぼーっとしていたことに気づく


「わりィわりィ……」


「あの?」


「なんだ?」


「先ほどのお話の返答は……」


頬を赤らめて言うアイシェス姫に改めて事の重大さを理解した


「あ、そ、そうだったな……。えっとだなぁ~」


「いつまでもそんな話してないで、本題に入るぞ!!」


ギフェアさん助かりました。

恩に着ます。


「ぎ、ギフェア。まだ、私は話して――」


「今はそんなことをしている暇は無いんです姫様!

どこからか刺客がこの城に攻め込んでくるのですから」


とたんにアイシェスは仰天した。


「ほ、本当ですか!?それは大変です。ただちに会議を」


その後、俺たちは騎士団全員を会議室に向かわせた





―――――ギフェア城・会議室―――――



「それでは、今回の事についてだが……」


ギフェアが話し始めた

緊張感漂う会議室にはギフェアさん、アイシェス姫、ミヴィ、シルクシャシャ姫(何故?)、マーシャ、ダロット、レクセル、ピロク、マールー、アイゼーン、ヴェスティ、キューラ、タミンと、結構な人数が集まっていた。



「おいおい、あいつ誰なんだ?」



ミヴィを見て当然のような反応をするダロット

とにかくデレデレし過ぎである。



「知らねぇよ。新入りか?」

と、マールーがめんどくさそうに答える


「なぁーんかあの態度ムカつくわよね」



会議にもかかわらず偉そうに腕組みをしているシルクシャシャを見て嫌悪するヴェスティ

まぁ、当然か……



そしてピロクはシルクシャシャに目を合わせられずにいた

ずぅ~とこちらを見られている気がしてしょうがない……



「ど、どどどどどうしよう……」



マーシャの事も気に掛けるレクセル


「表情1つ変えない彼女は一体……」


そして、騎士団にすくない女性が増えるんじゃないかとうきうきしているタミンとキューラ


「な、仲良くなれるかなぁ……。なんだか緊張する」


「そうね、なんか気難しそうだよね……」



一通り話し終わったギフェアが提案をする



「てなわけで、迎え撃つには、武器や薬品、食糧などが必要だ。手分けして集めてきてほしい」


と言いメンバーを指名した



「ブレイクと、ミヴィはオクマーサ・テゴレス錬金合成師の所へ向かってくれ。

薬品の調達を任せる。シルクシャシャ姫とアイシェス姫、キューラ、タミンはキャラルにあるウイゴの実とナーヴァの葉とエルスの肉を頼む。紙に書いといたから分からなくなったらそれを見てくれ。アイゼーン、レクセルは刺客への対応を考えてくれ。ダロット、ピロク、マールー、ヴェスティは武器やシオラ石をなるべく多く持ってきてくれ、金貨は後で渡す。以上だ。各自気をつけて行動してくれ」



「はっ!!」






―――――ヴェセア城・ブレイク部屋――――



「オクマーサ・テゴレス合成錬金師の場所はフェオルト地方にあると聞いたけど詳しい場所が特定できないんだが話かるか?」

特にどこにも座ろうとしないミヴィに話しかけた


「フェオルト地方には街が1つ・鉱山が4つなので、その街さえいけば見つかると思います」



あまり感情を表に出さないためほとんどの会話が無表情だ



「そうか、何でも分かってて凄いよな」


「いえいえ、長年生きていただけなのでその分物知りなだけです」


「そうだな。んじゃ行くか?」


「そうですね。移動にはクライムを利用するのがよろしいかと……」



クライムとは別名山駆ける狼と呼ばれているだけのことはあり

平面はもちろん急な山を登ることも簡単にやってのける陸上動物で唯一乗って移動できる動物だ



「そうか、それなら移動がずいぶん楽になりそうだ」



そうと決まればまずはクライムを借りにギルダンダに行かないとな

こうして薬品調達係のブレイク、ミヴィはギルダンダへと向かった。






―――――ヴェセア城・アイシェス姫部屋―――――



「……なぜじゃ」



何故このメンバーなのだろうか?

と考えざる負えないシルクシャシャであった。

よりによってアイシェスとやらと一緒になるなど考えていなかったからだ

一方、アイシェス姫も同じことを考えていた。

あの人と同じ役目を任されるとは思わなかった



「え~っと。あの~」


キューラ、タミンの2人は気まずい雰囲気に話しかけられずにいた


「どうしよ、タミン……」


「どうしようって言われても……」


と、その時


「まぁ、とにかくじゃ、集めてこない事には何も始まらん。

そこの2人は、買う食材の場所が分かるか?」


「あ、はい。案内します」



ギフェアがこのメンバーにした理由は、単純にシルクシャシャとアイシェス姫の和解とキューラとタミンに仲良くなってもらいたいという事だけで組まれたチーム

これから同行するにあたってどんなことが起こるのか。ギフェアは全く考えていなかった。



「私が、リストを持っているので何を買うのかは私が……」


「お主じゃ頼りないのじゃ」


といい取り上げられてしまった


「ひ、酷いです……」



「泣けばいいということではないんじゃ。

そんなことでブレイクが優しくしてくれるなんて思ってたらいつになっても先に進んぞ。

しまいには、私がブレイクの心を盗んでやろうか?」



急に顔を赤らめるアイシェス姫。

そしてその話を聞いてしまったキューラとタミン。



「そ、それは本当ですか!?」


「え~と、あの、その~」


「まだ、はっきり言えんのならそこまで好きじゃないという事じゃな」



愛情が足りんのじゃ、と言いながら頭をポンポンやってくる

私より少し背が高いからっていうこともあるがなんかムカついた……。



「はっきり言えます!!私はブレイクの事が大、大、大好きです!」



きゃー。という黄色い悲鳴が聞こえる

もちろんキューラとタミンの事である。



「そんな争いも今は一旦休戦じゃ。早く買ってこないと迷惑かけてしまうからな」


「そ、そうですね。とりあえず今は急ぎましょう」



女の子4人組は何とか出発することが出来た。

しかし、ブレイクの件の事についてはここだけでは収まらなかった……





―――――ヴェセア城・聖なる騎士部屋―――――


「俺と、マールーとヴェスティは手分けして武器を探して、ピロクは荷物持ちな」


「そ、そんなぁ~」


「弱音吐いてると……分かってるな?」


「はいぃ~」



気の弱いピロクを言葉+目力で言う事をきかせるダロット



「途中で荷物落としたら罰ゲームな」


と、マールー


「酷いですよー」


「なら、最後まで頑張ったらご褒美あげる」


「ほ!ほんとですかぁ!?」


「深い、ふかぁーい溺恋を味あわせてあ・げ・る」


「いや、遠慮しておきます……」



ヴェスティの深い恋とはほぼ強制的に脳裏の神経を弄り

勝手に誰かに恋をさせてしまうというもの。

しかもかなり重度なため、ちょっとやそっとじゃ忘れることなん出来ない

朝、昼、晩とその子の事で頭がいっぱいになってしまう

たとえ好きじゃない子であっても……



「うぅ~」


この先の事を考えると先が思いやられる……


「とりあえず、武器を売ってる場所でも探すか」


「完成度の高い武器ならキャラルに行けば……」



いや……。確かにキャラルに行けば結構上等な武器が手に入るかもしれない

しかし、皆があまり知らない店、尚且つ完成度の高い店の方が断然良い

何故かと言うと、そういう場合上等を上回る程の武器が手に入るからだ



「でも、リスタクスの方が良いんじゃない?また新たに腕の良い職人さんが店を開いたみたいだし」


ヴェスティの情報を聞いたダロットが考える。


「ジェキア地方の……。そうだな!リスタクスならいいかもしれない」


「んじゃ決まりだな! ピロク!遅れるんじゃねぇぞ!」


「ま!待って下さいよ。みなさーん」



後れを取りながらも必死に追いかけるピロク。

そしてピロクにとっては地獄のおつかいが始まった





―――――ヴェセア城・会議室―――――


「さて、俺たちは、刺客について調べるんだったな」


「そうですね。 と、言っても手がかりが何も……」



アイゼーンがそういった瞬間、ギフェアが良い情報がある、と

部屋を飛び出していった



「良い情報?」


当然、何が何だかわからない2人は顔を見合わせる


バタン!


「これだよ、これ!」


「刺客リスト?」



ギフェアが持ってきたものは少し埃のかぶった刺客リストという物だった。

いかにも怪しげなこの本は、開けるな危険と書いてあった



「勝手に開けてもいいのですか?」


もちろん確認を取るアイゼーン


「大丈夫だろ。城の危機も迫ってることだし」


平然としているギフェアになんともいえない気持ちを抱く二人であった



ガチっ!



頑丈にロックされた鍵を開け、中を見てみると刺客の数々が物凄く丁寧に書かれていた



「これは凄い……」



ぶっちゃけここまで凄い物は見たこと無かった

良い意味で期待を裏切ってくれた



「凄いですね。これで何か情報がつかめそうです」


「役に立てて良かったよ。

実際、俺もこの本がここまで良く作りこまれていたなんて思ってなかったしな」



そういって一言応援の言葉をくれると部屋から出て行った



「さて、我々も頑張りますか」


「そうですね。みんなが帰ってくるまでに少しでも多くの情報を伝えられるように頑張りましょう」



こうして4つに手分けして別れたチームは刺客に迎え撃つために必死に準備をし始めたのであった。





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