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非現実的な人生  作者: ゆうさん
封印からの目覚め
37/69

サンツエルク大図書館―入口付近本棚―

ご入館ありがとうございます。


ここはサンツエルク大聖堂の中にある図書館でございます。


館内は大変広いため目的の本が見つけづらいかもしれませんがご了承ください。


たくさんの本の中には、もしかしたら、驚きの発見があるかもしれません


当然、物語の進行は全くないので、暇でしたらということで。


それではこちらから入場して下さい。


 ――――――――

 ・調合レシピ1・

 ――――――――


薬草の作り方


癒しの葉+魔力+(天然水)


補足

天然水を入れることによって

飲みやすさが格段に変わる。

天然水を使わない場合、正露丸の糖衣無しを水無しで飲む感じ

天然水を使った場合、糖衣有りを水と一緒に飲むと言えば分るだろうか?

簡単に言えば天然水は入れないと3日間は苦さが残るらしい……





 ――――――――――――――――

 ・劣黄血の少女―上巻―(長編)・

 ――――――――――――――――


今から70年前。黄絹帝国と言われる所にたった一つの命令の為に感情無しに動き続ける女狂騎士がいた。


そこで暮らす人々は皆血の色が赤ではなく黄色であった


別に血の色が黄色だから狂騎士だということではない


しかし守らなくてはいけない決まりという掟が定められておいそれを破ってしまうと体内の血が異常反応を起こし人格が豹変してしまう


そんな恐ろしい掟も守ることは簡単だった。だから破る者なんていなかった。

あんなことさえ無ければ……


そこで私が悲しき少女の話を書き留めておきたいと思う

古い友人から聞いたことだから記憶も薄れてしまっているが思い出しながら書く為、間違っている部分などは承知の上、よろしく願いたい



「お姉ちゃーん!」


「なーに?」


私の可愛い妹が何かを手で持ってこちらに走ってきた


「はい。これあげる!」


それはお花でできた冠だった。

綺麗に彩られていて配置もよく考えられている。


「ありがとうね」


私が受け取ると可愛い笑みをして隣に座った。

しばらくお話をしていると次に弟が走ってきた。


「みてみて蝶だよ。綺麗でしょ?」


「珍しい蝶ね。どこで取ってきたの?」


「倉庫の近くで飛んでたから取ってきたんだ」


倉庫?小さいころお父様に絶対に入ってはいけない場所だから近づかないでと言われたところ

いつもいつも何かを運んできては倉庫に持ち込んでいた。


「まさか、入ってないわよね?」


「うん!入ってないよ」


ほっと一息。お父様は旅に出てしまって顔もあまり覚えていないけれど

優しかったような気がする。よく遊んでくれた気もする。


「ねぇねぇ。昨日のお話の続きをして」


私が昔の思い出に浸っていると妹が話しかけてきた。


「うん?緑眼の少年少女…だっけ?」


「それそれ!」


こんな難しい話、なんで好きなんでしょう?

子どもというのは、童謡やおとぎ話なんかを好むのに……

そんな楽しくも小さな疑問も抱きながら一日が経った。


そんないつまでも続くだろう幸せな日もそう長くは続かなかった。


「おはようございます。お母様」


「あら、今日は早いのね」


小さいころはいろいろなお話を聞かせてもらって、私も今となってはあの子たちに教える身。

恩返しをしようにもたくさんありすぎてどうしたら良いのか分からなかった。


しかし、お母様はただ一緒にいてくれるだけでいいのよ。としか言ってくれなかった。


「お母様。何か、貰うと嬉しい物とかありませんか?」


「そうねぇ。無い…かな?」


「そうですか……」


「そんな無理にしなくてもあなたがいてくれれば嬉しいのよ」


そう言ってベッドから立とうとした瞬間。膝から崩れ落ちるように地面にへたりこんだ。


「お、お母様!?」


「大丈夫。大丈夫よ。」


そんなことを言って立とうとしているがどうやら立てないらしい……


「お医者さんを呼んできます。」


「少し休めば大丈夫よ」


「嘘!少しの変化だったけど、最近のお母様は何か様子がおかしかった」


「あら、気づかれていたのね」


扉を壊す勢いで飛び出た私は男子に勝るほどの速さでお医者さんを連れてきた。

別に運動が得意というわけでは無かったけど、お母様のために何かをできると思えば疲れを感じなかった。

「お母様!連れてきました」


早速診断を初めて私は付きっ切りでずぅーとそばにいた。

妹弟も私が帰ってきたときにはすでにお母様のところにいた。


「う~ん……」


何をそんなに悩んでいるのか、そんなに重い病気じゃなければいいけど……


「あの…。お母様はどのような症状で?」


「このことについてはこちらで」


お医者さんは私一人を違う部屋に連れて行きこれから精神的に辛い話をするかもしれないけどいいかい?

と言われた。


「え…?あ、はい……」


お母様がなんだっていうの?


「急性足骨収縮病。この病気は歳を取るにつれて足の骨が弱っていき、しだいにいろいろな部分で炎症を起こしそこから出来てしまった。新たな菌が体全体をむしばんで死に至るというものです。」


「死に至る……」


その言葉が何度も何度も私の頭の中でぐるぐるぐるぐる回った。


「その治療法のことですが……」


「なっ直せるのですか!?」


「治療に使う材料なんですが、こちらのものをそろえてもらえれば」


そういって差し出されたものは見たことも無いような材料ばっかり並んでいた。


「こ、こんなもの……」


と、頭に倉庫という言葉が思い浮かぶ

思ってきたときにはすでに走り出していた。


「お父様!ごめんなさい!!」


がらっ!と開けた先には棚の上に様々な形をした瓶がずらりと置いてあった。

片っ端から調べていって頼まれたものと置いてあるものを見比べてみた


「あった!!これも!これも!!やったぁ!これでお母様の病気を治せる。」


お父様に大変なことをしてしまったと思いながらも感謝の気持ちをいますぐにでも伝えたいと思った。


しかし


「カイフェニアの花?カイフェニアカイフェニア……無い?」


急に冷や汗が出てきた。


「無い!?無い!無い無い無い無い無い!!どこにも無い!」


すでに安心しきっていた先ほどの自分は消え去っていた。


「なんで!なんで無いの!!」


走り回っていると机の上の古びた本に目が留まった。


「カイフェニアの花の育つ場所!?」


これだ!!と中を開くと地図が出てきた。

私は見つけた材料をすべてお医者さんに渡して妹弟たちにすぐに帰るわと伝え

飛び出ていった。


「なんて珍しい材料を持っているんだ!あの娘は一体……」


場所はそう遠くはなかった。

なぜお父様が持ち帰ってこなかったのか不思議だった。


「はぁはぁ……ここね。」


地図には森の奥の泉と書かれていた。


そこから数時間探したが見つからなかった。


「なぜ?なんで見つからないの!?」


だんだん日が落ちていき探すのはもう無理だと判断した私は家に戻った。


「お姉ちゃん!」


私を心配して外に出ていた二人は抱きついてきた。


「ごめんね遅くなって。心配かけてごめんね」


「うん。でもお母様が」


「お母様がどうしたの?」


「ベッドに横たわったまま目を覚まさないんだ」


え?


「お母様!?―――あれ?お医者さんは?」


「用事があるから待っててって」


「用事?こんなに遅くなっても戻ってこないなんて……」


「それは君が騙されたからだよ」


「だ、誰!?」


後ろを振り返ると見たことの無い服を身にまとった背の高い男性がいた。


「お母様を助けたいんだね?」


「はい。でも、もう……」


「そうか、魔人の契約って知ってるかい?」


そういわれた瞬間背筋が凍った


「お姉ちゃん……」


私の裾をぎゅっと掴んで後ろに隠れている二人に大丈夫よと声をかけ再びその男に振り返る。

この人は魔人だ。


「魔人の契約さえ交わせば君のお母様は助かるよ」


「お母様を助けられる……」


「そうだ。君の願いはそうなんじゃないのか?」


これが悪魔の契約だということは分かってる。だけどっ!

お母様の命は私が必ず!


「ほうほう。魔人とまともに話すとは……。君はもう後戻りはできない」


そう。この黄絹帝国での掟。それは魔人と話すこと、話さなければ掟は破られないし、魔人も下手には手を出せない。ようは自分自信が決めること。それは今私自信に起きていること、そしてその掟を破ってしまった。


「劣化した血は狂騎士へと変貌させる……。狂騎士になってしまえば何もかもを忘れて戦いを好む機会になっていくだろう。しかし、私と契約を交わせばまだ、どうなるかはわからない。どうだ?覚悟は出来たか?」


「魔人の契約。お願いします。」


「フフ…フハハハハッ!良いだろう。ではこれを」


手の平の上に出てきた器に何かが注がれる


「これを飲めば、契約は成立する」


「お姉ちゃん?」


「大丈夫だから。お母様は必ず助けるからね」


そんなに量は多くなかった。しかし鋭い何かで体を引っかかれるような痛さを感じた


「痛いっ!!」


「そうか、痛いか?その痛みを乗り越えれば君の言うお母様が助けれる。そう思えばそんな痛みも痛くはないだろう?」


「はぁはぁ……」


「契約完了。これからは私の言うことをちゃんと聞くんだぞ?」


「はい」


それでお母様が助けられるというならば……





 ―――――――――――――

 ・大魔術師の血筋―1巻―・

 ―――――――――――――


『そう。テベスは、シナハの子』


これは、偉大なる魔術師誕生の苦労と喜びの物語である。


偉大なるラックポート家は次々と大魔術師を作り上げていった


しかしある時ラックポート家の血を受け継いでいるはずなのに魔法が使えない子がいた


魔法を使うことに恐怖を感じているらしい


我々は丁寧に優しく教えていった


初級魔法は普通に使えた出来栄えは完璧だった。


他の子らと比べても各段に違かった


この子を育て上げたら今までにいない最強の魔術師が誕生する!


はずだった……


魔法のレベルは中級までは非の打ち所が無い完璧な魔法だった


しかし上級となると成長はピタリと止まり上達は全くといってしなかった


我々は考えた。

後もう少しで偉大なる魔術師が誕生しようというのにここで諦めて良いものか……


そして。昔に何か恐怖感抱いているのでは?と思いその子に訊いてみた。


だが、その子は首を横に振るだけで何も言わなかった……


いくどもいくども優しく訊いたのだが心を許していないのか

話すことは無かった


そんなある日、とうとうしびれを切らした私はその子に怒ってしまった


もちろんすぐに誤った。こんなことで怒るなんて私はどうかしている……。


その直後、その子は叫びだし体中が青く光り出した




 ――――――――――――

 ・少年少女緑眼狩り事件・

 ――――――――――――


私の可愛い子供たちは男女合わせて26人

綺麗な緑色の瞳をしている

しかし緑眼狩りという残酷な事件により数は減りつつある


なぜ幼い子供たちだけを狙い殺す必要があるのか……


そんなこと死体をみれば解ってしまうことだが、その取り除いた物の利用法が私には理解できない


ある調合レシピを見ると書いてあるのだが禁断のレシピとして危険と判断し燃したはずだった


しかしそれには既にコピーされた全く同じレシピが存在した


だからこのような事件が起きてしまった


私は守らなくてはならない


後日、その子たちをあちこちの地方に住まわせあいつらに気づかせないようにした


私にもあの子たちの居場所は分からなくなってしまったが、生きていてくれればそれでいいと思う


あの子たちに神の御加護を





 ――――――――

 ・調合レシピ2・

 ――――――――


緑シオラ石:上位編


下位緑シオラ石+緑色の瞳+生きた赤い糸


まず下位緑シオラ石を置き赤い糸で結びます。

緑色の瞳の核を取り出しシオラ石の上に置きます。

水魔法で赤い糸と化学反応を起こし下位シオラ石は上位のシオラ石へと変わります。


補足

緑色の瞳、生きた赤い糸。ともにとても入手困難なため発掘で入手するほうが安全である。

この本の制作者の私もこの場では書くことは出来ない。その気になれば書こうと思うのだが……





 ――――――――

 ・時巡る神秘説・

 ――――――――


昔、ある時、ある場所で、とある少年少女が木陰で話をしていた


「ねぇねぇ!この世界は私たちの知らないところがまだまだたくさんあるのよね?」


「うん。そう聞いたけど………」


「んじゃ、私たちがもう少し大きくなったら一緒に旅に出てみない?」


「えっ!そんなの無理だよ。親にも怒られる…」


「そんな弱気になってちゃ~、この広い世界を旅した時痛い目に合うわよ?」


「そんなこと言われても~」


「だって、あの時私に言ったじゃない。君を一生守って見せるって」


「あ、あれは……」


「もしかしてぇ。嘘だった……なんてこと無いでしょうね?」


「違う違う!嘘なんかじゃないよ」


「んじゃ、約束ね♪」


しかしある時その少年は遠くに引っ越さなければならなくなってしまった。

どうやら親の仕事関係らしい。私にはどうすることも出来なかった。


「な!なに泣いてるのよ!この弱虫!」


「き、君だって泣いてるじゃないか!」


「ぐす……泣いてなんかないわよ!か、必ず戻ってきなさいよ!」


さよならとは言えなかった、だけどまた会いに来れる保証も無かった。

それほど遠い場所。一生のうちに一度も行くことの無いだろうところへ


「うわぁぁぁぁぁぁ!!」


だから何も言えなかった。ただ大声で叫び泣くことしかできなかった。

僕を弟のように優しくしてくれたその少女との別れは胸が張り裂けそうなくらい辛かった。


それからその少年とは一度たりとも会う事は無かった。

でも、あの時交わした約束は一度たりとも忘れなかった。


そしてその少女は少年に会うために旅に出ることに決めた。

1人での旅は辛く悲しく寂しく……。

でもやっとの思いでその少年の家についた。


やっと会える。何年振りだろうか……

当時8,9歳という二人が今では立派な大人へと成長しつつあった

私を覚えているのか?という不安はもの凄くあったが、そんなことよりすぐにでも会いたかった。一目見たかった。


だが、その家には少年はいなかった。

その少年のお父さんやお母さんすらいなかった。

埃もかぶっていてとても人が住める場所では無かった。


何があったのか?

その謎が知りたくてその少女は再び旅を始めたのであった。



まだまだこの図書館の100分の1も見ていませんよ?


後日来れば増えているかもしれませんね。


この図書館は本減ることなき増え続ける場所ですから


また、場所を移動すれば新たな発見があるかもしれませんよ


場所の移動はどうすればいいかって?


それは時の流れに任せるものですよ


それでは、またご入館ください。私はいつでも待っていますので。



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