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非現実的な人生  作者: ゆうさん
封印からの目覚め
34/69

第二十二章  寝る子は育つ





★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★




「え~っと、授業を始める前に今日は転校生が来たのでみんなに紹介しようと思う」



きゃーーーー。という女子の黄色い悲鳴が聞こえる。



「※※※※君だ。みんな優しくな。席はあの髪の長い子の隣の席に座ってくれ」



俺はなぜこんなところにいる?

昔の記憶が思い出せない。思い出そうとすると真っ黒な空間しか出てこない



「よろしくね」



微笑みかけてくれるその女の子に俺も「よろしく」と返事を返した。

それからのこと、その女の子には良く会う。



「また会ったね。何かの縁かな?」



いつも笑顔を絶やさないその女の子を見ているとなんだか心が落ち着いた。



「確かに良く会うね。君はここで何をしてたの?」



「空を見てた。この世界には私の知らないところがまだまだたくさんあるんだなぁ~ってね」



その時、一瞬だけだが昔の記憶、真っ黒な空間に人影が出来た

あれ?昔こんなこと言われたような………。

だが、それ以上思い出すことは出来なかった。

一体誰だったんだろう……。





★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★








「兄貴………そろそろ宿で泊まりましょうよ」



「いや、あいつに会うまではどこにも泊まる気は無い」



「マジですか!?」




そう話すのは黒盗賊一行

存在を忘れている方はいませんか?

髭面ピエロと聞いても分からない方は第一章を読んでみましょう。

現在位置はフェオルト地方のバザック山のふもと

金だけはある黒盗賊はガダルナ地方からクライムという別名、山駆ける狼を借りて

わざわざ遠いところまでブレイクを探しに来たというわけだ

ちなみにクライムは一匹レンタルで銀貨1枚。日本円で千円

ついでだが、赤貨は1枚十円。銅貨は1枚百円。金貨は1枚一万円となっている。




「こんなところにあいつは居るんですかねぇ……?」




周りに山ばかり広がるこの地域には絶対にいないという確信があったのだが

すべては兄貴に委ねられている




「なぁ?ウデラは正しいと思うか?」



「え?いや、俺はよく分かりません。兄貴が頼りですから」



「そうです。俺もそう思います」



「エデルもそう思うのか……」



「あたりまえですよ。兄貴の勘は正しいですから」



「まぁその勘……。今まで一度も当ったこと無いけどな」



「そうでしたね……」



その言葉に皆が固まる……



「んまぁな!大丈夫だ。心配することはねぇよ、奴はここに絶対に来る。」





その予想は実際に当たることになるのだがそれはもう少し先の話になる……








――――ガダルナ地方・ヴェセア城・ブレイク部屋――――





「さて、久しぶりにゆっくり休めるぞー」



先ほど騎士団達との会議が終わったばかりだ。

そして今日は、最近、ほとんど休みの無い俺にとって最高の昼寝デーだった。



「んじゃ、昼寝でもするか」



小さい頃、母に言われたことがある。

寝る子は育つと。その言葉にこれほど共感したのは初めてだった。

俺が小学生の時寝ている時間が勿体ないと昼寝なんてしたことなかった

もちろん、中学も、高校でも……

だが今は違う!今こそ昼寝をする時だ!!

そう決めて自室に向かうと目の前からとんでもない人が歩ってきた



「ブレイク。これからどこへ行くのじゃ?」



「どうして、お前がいるんだよ」



「暇だからじゃ」



暇って……。ってか毎日のように見かけるけど

城の方は大丈夫なのか?



「なんじゃ?私の体をジロジロと……。もしや私の美貌に釘づけか?」



どうやらセクシーポーズをとっているらしい

シルクシャシャなりに得意げな顔をしているがなんというかこう体にメリハリが無いというか

細身の体系だからだろう、色気は無いな。



「なぁ?シルクシャシャ、俺はこれから昼寝するってことで話は後でな」



「な!なんじゃ。私の話は完全無視で昼寝をするというのか?」



「そうだ。とりあえず俺は寝る」



「そうか……。んじゃまた後で……じゃな」




微かにだが口の端が吊り上った気がした。……気のせいか?

しかし、もう自室は目の前だ。やっと寝れる。

と、ドアノブに手をかけた瞬間声がかかる。




「あの?ブレイクさん?」


こうも思い通りにいかないとは……

声の主はアイシェス姫だった

さすがにアイシェス姫だから平気だが他の奴だったら何をしていたか……



「しばらくお姿を確認することが無いと思っていたのですが何処に言っていたのですか?」



「あぁ。魔人の基地に行ってたんだ」



「魔人!?お、お怪我はありませんか!!」



急に俺の体のあちこちをぺたぺたと触ってくる



「かすり傷1つないって。大丈夫」



「そう、ですか。ならよかったです」



「えっとさ……。なんか言い辛いんだけど……」




俺の遠慮がちな言葉にすぐ反応するアイシェス姫


「いえいえ。何でも言って下さい!」




そんな笑顔で見られても困るんだが……



「まぁ、そのだな……。結構な長旅でかなり疲れてるんだよな……」



「はい、旅のお疲れなら私がマッサージでも?」




正直かなり嬉しいんだが、とにかく寝たい気持ちの方が上だった。




「いや、今はとにかく寝たいんだ。いいか?」




アイシェス姫は少ししょんぼりした表情を見せた。

そしてそのあと何かひらめいたようにパッと顔を上げる




「そ、添い寝してもいいですか!!?」



「そっ!そそそ添い寝!!?」




彼女いない歴17年の俺にとってはかなりの攻撃力だった

そんなことされたら眠れないっての!





「………………」



断りづらい……





「いい……ですか?」



「え~っと、その~」




その期待に満ちた目で見られても困る

でも悲しい顔は見たく無い……



そうだ!と、俺はひらめく

アイシェス姫を先に眠らせてから部屋に運びそれから一人でゆっくり寝よう

結構名案だと思った




「そうだな。アイシェス姫がそうしたいなら」



「はい!」





その会話のやり取りを聞くシルクシャシャ


「うぬぬぬぅ~~! あの小娘がぁぁ! フハハハ見ておれぇ、必ず私と寝てもらうからな」







――――ブレイクの部屋――――



「飾り、何もないですね……」



アイシェス姫が俺の部屋を見渡して一言

確かに、飾りとかそういうのは何も買ってないしそんな暇も無かったし




「あの、よかったら私が飾りを手伝いましょうか?」



「いやいや、アイシェス姫にはそんなことさせられないって」



「そうですか……」




深い溜息を吐くアイシェス姫。飾りたかったのか?




「でもやりたかったらやってくれると嬉しいかな」



「ほんとですか!」




両手を絡め合わせて目を輝かせる

ほんと分かりやすいというかなんというか

思わず笑ってしまう




「なにが可笑しいのですか?」



「いや、別に。アイシェス姫はなんか分かりやすいなぁ~ってね」



「私は分かりやすいのですか?」



「だからこそいいのかな?」




なんだか理解できなかったアイシェス姫だが

とりあえず嬉しかった。




「明日なんですが、どこかへ行きませんか?」



「明日かぁ~。(確か明日も仕事は無かったっけか……)大丈夫かな」



「ではでは!ウェイルバザールにでも行きましょう」




「ウェイルバザール?」


話には聞いたことあるが行ったことが無い




「どんなところだ?」




「毎回がお祭りのように賑わう商店街です。

わ、私たちの……、あ、あの、で、デートには丁度いいかと思いまして……」




「へぇ~。んじゃ行ってみるか?」



「やった!明日が楽しみで眠れそうにありません!」



「そっか、でもなぁ、ちゃんと寝ないと明日楽しめないぞ?」



「でも楽しみで楽しみで……」




目を閉じて明日の事でも考えているのだろうか?

ほのかに頬を赤らめとても満足そうだった。



「んじゃ、そろそろ寝るな」



そういってベッドに入るとすかさず潜り込んでくるアイシェス姫。



「ブレイクさん、あったかいですね」



「んぁ~、そ、そうかぁ?」




あまり触らないでほしいんだけどな……

俺の胸に頭をうずめるアイシェス姫の顔はとても満足そうだった




その後当然ながら眠れない俺はしばらくしてアイシェス姫の肩をたたいた




「アイシェス姫?―――アイシェス姫……?」




よし、反応なし。俺はアイシェス姫を抱えて姫部屋へ運んで行った。



「おやすみな」





時刻はすでに深夜2時を過ぎていた体も言う事を利かなくなってきたし

やっとの思いで自室に戻った俺はベッドに倒れこむのと同時に意識が飛んだ……。





「うふふ、これで邪魔者も居なくなったようじゃな」







そして次の日……


「あ~~よく寝た」




寝返りを打つと何かが体に触れる。

体の大きさ的にアイシェス姫かと思ったが、

アイシェス姫は一度寝ると時間までは起きない体質だからありえない。


だとすると……


おそるおそる布団の下をのぞく



「むにゃむにゃ……」



気持ちよさそうに眠るシルクシャシャを発見した



「だろうと思ったよ……って!」



しばらくの間、目を盗まれた。

なんだこの服装は!?



下着が見えるほど薄々な絹のパジャマを着て胸元が大きく開いた……


「って胸、そんなにないから心配ないな」


と、その瞬間ものすごい勢いでキックを腹に叩き込まれた

寝ていてもまるでさっきの言葉を聞いていたかのように……


「うっ!」


しかしさっき動いたせいで服がはだけてきている

まずい。この服装はとても危険だ……。


その後、絶対にシルクシャシャを起こさないように自室を出た。

もし起きたら何されるか分からないからな……

シルクシャシャの事だからマジで危ない




ガチャ




「今日もいい天気だなぁ」



などといかにも呑気な事を言ってみる


大きく伸びをし両道を見ると左からとてとてとアイシェス姫が走ってきた




「どうして一緒に寝てくれなかったのですかぁ?」



「いや、俺は一緒に寝てたんだけどなぁ……」



「では、誰が?」



「う~ん分からない」



とぼけたがバレずに済んだ

ちょっと悔しそうな顔をしたアイシェス姫だがこんなことを言ってきた





「今日も……いい……ですか?」





その言葉の答えにまたしても悩む俺であった……。








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