表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非現実的な人生  作者: ゆうさん
深まる謎
33/69

第二十一章  ものまね得意のお姫様




――――幻想の世界――――





「遅くなりました。ブレイク。いやいや、ブレイクさん」



相手の剣を双剣で受け止めて吹っ飛ばしたところを見た。

そこに居たのはアイシェス姫で――――んっ!?



アイシェス姫っ!!



にしては声に少し違和感を感じる、他の人に似ているような……


しかも、つい最近聞いた気がする…………



「ん?なんじゃ私に何か付いておるのか?……いやついているのですか?」



うん、シルクシャシャだな。

物真似はほぼ100%完璧なのだが(黙っていればな)

言葉を巧みに扱えないところが、かなりの欠点だな……



「なぁ? シルクシャシャだろ?」



「うぬっ!?何故分かった?」



しかしこの物真似どうやら一番の得意分野だとか……

言葉の真似も完璧にしてから言えってんだ



「そんな変わった口調はシルクシャシャぐらいしかいないって」



「なんと、私の声を覚えてくれていたとは……。

いやいや、将来お嫁になる者の声は鮮明に覚えていて当然か?」



「だから、んなもん勝手に決めるなよ、ってかどうやってここに来た?」



「ギフェアからシオラ石という物の力を使ってここまで来たんじゃ」



シオラ石?

あぁ!あの時のたくさんあった石の1つか!

まさかこんなことまで出来るとは……



「んでこれからどうすんだ?」



「そうじゃのぅ……。尋問でもするか?」



そういうと少女の近くまで近寄り拘束魔法を唱えた



「魔力の流れを感じたが、やはりそうじゃったな」



どうやらシルクシャシャには魔法が使えることは分かっていたらしい

まぁ、そんなこんなで少女は身動き1つとれなくなった



「なぜブレイクを襲ったのじゃ?」



「……あなたに答えることは何も無い」



「『タイテンス』(締め上げる)」



シルクシャシャの詠唱により

体を締められる少女はうめき声をあげる



「どうじゃ?答える気になったか?」



「……だから……あなたに……答えることは……無い」




……そうか。とただ呟いたシルクシャシャは再び詠唱する



ギュゥウウ……



「どうじゃ?」



「何回言っても同じこと……」



「ふぅ~ん……『タイテ「やめろ!」なんじゃ?」




さすがに耐え切れなくなった俺はその少女をかばった




「それくらいにしとけって」



「ブレイクがそういうんじゃったらしょうがない」




俺はその子に駆け寄った




「…………大丈夫か?」



「やっぱり覚えていないんだね……」



「えっ?」




その言葉の意味を理解できなかった

一度もあったことの無いのにこんなこと言われても……




「人違いじゃないのか?」



ぶんぶん首を振り手を握ってきた




「覚えてないのブレイク?」




この子はなぜ俺の名前を知っているのか

この世界に来てこの子に会ったことなんて無いのに

しかも殺されそうになったんだぞ?




「覚えてない…………かな」



「そう……なんだ…………やっぱりそうだよね」



「なんじゃなんじゃ?私にはまったく理解できないんじゃが?」



「いや、俺にもさっぱり……」



「だけどこれだけは!あの時の事は決して忘れないからね!!」




急に驚くほどの大声を出すので振り返ると既にその子は居なくなっていた




「あの時の事?」



「知らないところで何かしていたのか? そうか、なら浮気じゃな?」



「いやいや、まだ何も言ってないから!ってか何で付き合ってること前提で話進めてんだよ!」



「とりあえずあの子も危険人物としてメモっておこう」




…………どんなことメモってんだよ



「さて戻るかの……『エスケープ』(脱出)」



その後、幻想で作られた世界は打ち砕かれた









「お! ブレイク無事だったか!!」



ギフェアがこちらに来る間にポケットに何か入ってることに気づく

ん?と思いながら取り出すと赤い星形の宝石を見つけた



「それは記録星」



「記録星?」



「自分が残したいものを記録するものなんだ。

その用件を聞くと壊れて消えるようになっている」



そんな便利なものがあるんだぁと俺は少し感心した。

とりあえずその記録星という物を地面に落とすと効果が発動するようで、

早速やってみると地面寸前で止まり、さっきの女の子が出てきた。

光で出来ているその少女はとても精密に出来上がっていた。



(これを聞いてるってことは私に勝ったのかな?場所を教えるって言ったけど、もう城に戻ってると思うのよね。そういえば、あの噴水見た?全く傷がついてない不思議な噴水。その能力を改造すれば少しは楽しいことが出来るかも。楽しみにしていてよね。上手く成功させることが出来ればあの時のこと、思い出してくれるかな……。んじゃまたね)



「思い出す…………?」



「何をじゃ?」



俺は何かを忘れているのか?

それを思い出させるために能力改造をするのか?

謎は深まるばかりであった



とにかく騎士団員が全員無事でよかった。










―――――ララズルト地方―――――




「上手く気持ちが伝えられないなぁ~」



先ほどまでクライムに乗っていた少女は動物禁止区域で降り、日の落ちた道を一人で歩ていた



「しまいには殺しちゃうところだったし……」



深く重い溜息を吐きながら店の角を曲がる



「ところであの女の子は誰なんだろう……も、もしかして、彼女さん!?」



そう考えるとあっという間に顔が火照ってしまった。



「ほんとに誰なんだろ? また話せるかな。でも、嫌われちゃったかなぁ」



いまさら自分がしたことを後悔する少女はある店にたどり着く



「よぉ! ずいぶん遅かったじゃねぇか」



近くの工場で機会をいじくっていた一人の男が話しかけてきた



「まぁね、いろいろとあったのよ……」



「それより、聖なる噴水見たか?」



機械をいじくる手は止めずに話してくる



「そうね、見たわよ。分かったことは2つ」



「なんだ?」



「1つはビックリするほど強力な魔法がかけられていたのよ」



「そんな強力な魔法が?」



急に手を止め聞いてくる



「そうそう。それで、もう1つはその噴水に転移の力があるみたい」



「転移の力? どういうことだ?」



「どういうことかは分からないけど、転移先は私も分からないし、どうすれば転移するのかも分からない。でもセル騎士団の何人かが巻き込まれたみたい」



「セル騎士団か、そもそもその街にはアズラが出たらしいじゃないか。」



「そうなのよね、たぶん、そいつを転移させようとしたのよね。」



「噴水には精霊が宿ると聞いたがそいつがやったことか?」



「精霊かぁ…。

見たこと無いけどそうかもね。

精霊は住んでいる街を守る守護神みたいなものだから、きっとそうよ」



精霊には転移させる能力を持つ精霊や武器に宿る精霊や人に宿る精霊がいるって聞いたけど……

本当にそんなのいるのかなぁ?



人に宿る精霊とか何なの?って感じだし、不死身になったりとか?



「まだまだ分からないことが沢山あるなぁ~。

でもブレイクには昔のブレイクに戻ってほしいな。

そのためには噴水の力を利用して……」




その少女はブレイクを昔のブレイクに戻すべく作戦を練ることにした














★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★





『・・・時巡る神秘説・・・』




昔、ある時、ある場所で、とある少年少女が木陰で話をしていた




「ねぇねぇ!この世界は私たちの知らないところがまだまだたくさんあるのよね?」


「うん。そう聞いたけど………」


「んじゃ、私たちがもう少し大きくなったら一緒に旅に出てみない?」


「えっ!そんなの無理だよ。親にも怒られる…」


「そんな弱気になってちゃ~、この広い世界を旅した時痛い目に合うわよ?」


「そんなこと言われても~」


「だって、あの時私に言ったじゃない。君を一生守って見せるって」


「あ、あれは……」


「もしかしてぇ。嘘だった……なんてこと無いでしょうね?」


「違う違う!嘘なんかじゃないよ」


「んじゃ、約束ね♪」



しかしある時その少年は遠くに引っ越さなければならなくなってしまった。

どうやら親の仕事関係らしい。私にはどうすることも出来なかった。



「な!なに泣いてるのよ!この弱虫!」


「き、君だって泣いてるじゃないか!」


「ぐす……泣いてなんかないわよ!か、必ず戻ってきなさいよ!」



さよならとは言えなかった、だけどまた会いに来れる保証も無かった。

それほど遠い場所。一生のうちに一度も行くことの無いだろうところへ



「うわぁぁぁぁぁぁ!!」



だから何も言えなかった。ただ大声で叫び泣くことしかできなかった。

僕を弟のように優しくしてくれたその少女との別れは胸が張り裂けそうなくらい辛かった。






それからその少年とは一度たりとも会う事は無かった。

でも、あの時交わした約束は一度たりとも忘れなかった。





そしてその少女は少年に会うために旅に出ることに決めた。

1人での旅は辛く悲しく寂しく……。

でもやっとの思いでその少年の家についた。





やっと会える。何年振りだろうか……

当時8,9歳という二人が今では立派な大人へと成長しつつあった

私を覚えているのか?という不安はもの凄くあったが、そんなことよりすぐにでも会いたかった。一目見たかった。





だが、その家には少年はいなかった。

その少年のお父さんやお母さんすらいなかった。

埃もかぶっていてとても人が住める場所では無かった。





何があったのか?

その謎が知りたくてその少女は再び旅を始めたのであった。





★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★











能力改造とはいったい何なのか?


無傷の噴水の持つ力とは?


次回はブレイクの過去の話とほのぼのストーリーになると思います。



ちなみに『時巡る神秘説』はサンツエルク大聖堂という大図書館にある本です。


*地域不明



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ