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非現実的な人生  作者: ゆうさん
深まる謎
32/69

第二十章   漆黒を好む少女



またしてもブレイクのピンチ!?

必死に頑張るブレイクの運命は……







――――サフェン地方・ドルヴェーナ――――




魔物がよく入り込むことで有名な街、ドルヴェーナ

しかしその街はなぜかたくさんの人であふれている

そんな風に聞かされていたのでこの現状を見ると何とも……




「……誰も人が居ない」




周りを見渡しながらギフェアが言う

どの店にも店員は居ないし街全体が廃墟のようになっていた




「ここで…戦ったんですかね…?」




か細い声でピロクが話す姿をシルクシャシャが見て、シャキッとしなさい!男でしょ?

とか何とか言われてしょんぼりしていた




「その様だな、地面がえぐれて木々には痛々しい跡がつけられている」




こんな攻撃を受けたらどうなることやら……。考えたくもない

綺麗な噴水もこんな悲惨な場所と一緒にされたら迷惑だろう

ん? なぜ噴水だけ無傷なんだ?




「そうなんですが、何故噴水には傷1つ付いていないんですかね……」



「そうなんだよな……。

噴水の周りがこんなにぐちゃぐちゃになっているのに、まるで何かに守られたように……」




考え込むギフェア。

それはそれとして今は……




「う~ん、それにしても、どこに連れて行かれたのか全く分かりませんね、ギフェアさん」



「そうだな。手がかりが分からなければどうすることもできない」



「手がかりが欲しいのなら私が教えてあげてもいいわよ?」




聞いたことの無い上品のある声に反応すると空中に少女が浮いていた

腰まで伸ばしてある黒髪、ドレスみたいな黒服、黒いバラのついた靴、黒いリボンのついた帽子。黒と言っても漆黒という部類に入る色だ。

しっかし、黒好きだなぁ~




「そこの君!私の美貌に見惚れちゃった?」




クスクス笑いながらその少女は言う、しかし、俺の顔を見て、何かに気付いたのかその笑顔はすぐに消えた。




「んなわけなかろう!!しかもなんじゃ、その黒、黒、黒……。とにかく黒ばっかりじゃ」



「私の好きなファッションよ?黒が大好きなの♪」



対抗心を燃やすシルクシャシャにその少女は静かに笑う




しかし、この容姿もアイシェス姫と比べてしまえば霞んで見えるだろう

まぁ、一般にはかわいい部類に入るとは思うが……




「どこに連れて行ったのか分かるのか?」



「分かるけど教えなーい」




あっかんべーしながら地面に降り立つ、その態度に、この無礼者めー!とか例の姫が後ろで言っている。ピロクは相変わらず、ビクビクしているがその少女は背中に取り付けてあった杖を取り出すと一言




「私に勝ったら教えてあげてもいいけどね」




そういい、杖で空中に何かを書き始めた。その瞬間、目の前の建物が歪んだ





「え!?」





というより、この街全体が歪んだ。その少女の笑顔は歪みとともに消えてしまい

みるみるうちにあたりは変貌していき見知らぬ境地へと飛ばされてしまった

完璧に場所が変わった後、あたりを見回すと俺一人だった




「……誰もいない」



「私がいるけどぉ?」




そう耳元で猫なで声で言われ、とっさに反応し抜剣する




「あらあら、そんなに敏感に反応されたら可愛がってあげたくなっちゃうんだけどなぁ……」




よいしょっと、といいながら自分の背丈と同じくらいの杖を構える

見事に杖まで真っ黒……




「殺さない程度に痛めつけて私のおもちゃにしようかなぁ~」




身の毛もよだつようなセリフを言われ顔をしかめる

しかし相手が喋り終わった時には既に呪文は完成していた




「『カリエンテヴァッサー』(沸騰温度の熱湯)」



先制攻撃を仕掛けてきた少女は、蒸気がモクモクと出まくる球体状の水をこちらに飛ばしてきた。

その時、俺は疑問に思った。なぜシオラ石無しで呪文が使えるのかと……

もちろん俺もシオラ石は持って無かったがその魔法はエナジーリフレクションで跳ね返すことが出来た。しかし理屈が分からない……




「なかなかやるわね、意外に楽しめるかも♪……あ!あとねぇ、この空間は私の理想とした空間で作られているから魔法なんて簡単に出せるわよ」




そんなのありかよっ!!

ボス並みのずるさだな…………

あ、でも、そのおかげで俺も魔法は使えるのか




「『 シュトゥルムインパルス』(電撃の嵐)」




バチバチと鳴る雷が相手へと向かう

手始めに中級程度の魔法を使った




「『エレメントアブソーブ』(魔法吸収)」




だが、俺の放った魔法は相手の目の前寸前で消えた……。いや、吸収された




「うんうん。いいねぇ~フォースの消費はこれで防ぐとして、次は……」




杖を華麗に回転させ地面に刺す




「『クラックボルケーノ』(地割れ噴火)」





ドゴンッドゴンッドゴン!!!





固い地面を突き破りながらマグマを散らす




「ちっ!『エナジー(待って!!)どうしたミヴィ?」




(すぐにツァオベライドレイジャーを!!)




「『ツァオベライドレイジャー』(魔法抹消)」




意味も分からずとっさに唱えた。

虹色の壁が自分の周りのみ魔法を無効化した




(さっきの魔法はエナジーリフレクションの1つ上の魔法だから覚えておいてください)



「あなた何者?さっきの攻撃をかすり傷1つつけずに立ってるなんて、でもやっぱり私の――。」




「何者って言われても、俺は、ただの騎士なんだが……」




口を動かしながら同時に手も動かす

「『ライニング』(電撃砲)」




威力は低いが当れば麻痺るし連続撃ちが可能なゆえ隙を作るには丁度いい

でも、こんな下級魔法程度で手こずるわけもないか……




「『アンチサンダー』(雷無効化)これで大丈夫♪」




魔法の防御は完璧ってわけだな……

雷魔法は使用したとたん時空に吸い込まれるように消える

ってことは雷属性は使い物にならないから魔法剣改を……と



手を剣にかざし剣の柄から剣先まで赤く染めた後

一振りすると水がはじけた。これは、能力テストで使ったものと変わらない




「私も本気を出さないと危ないわね。『ブラストフロンド』(爆風岩石飛ばし)」




ダッ!と駆け出し飛んでくる岩を真っ二つに斬る

魔法剣にした場合、剣を振るだけで魔法も飛ばすこともできるため遠距離攻撃も可能ってのが良いよな。

でも、先ほどからの岩に魔法を撃ってみたがどうやら無力化されてしまうようだ




だったら、物理攻撃で突破すればいいことだ




「ほんとに気を抜いたら駄目なようね『スパーク』(電磁波)」





っ!?






「『ベレニガン』(走行バリア)」



あっぶねぇ……


レベルの低いおかげか走っている最中にも使えるバリア魔法で普通に凌げた



(そのベレニガンも重要な魔法なので忘れないようにして下さい)




「『ラジングルマ』(稲妻の散弾撃ち)」



雷魔法を二つ組み合わせた!?


それで魔力を強めたか……




「『アダマントエピタフ』(比類なく硬き石版)」




何本もの極太な稲妻が襲いかかってきたが

こちらも土魔法を二つ組み合わせ上手く対応する



しかし、同時に魔法を使うとは厄介だな……

ミヴィの知識が無かったらどうなっていたことやら

電磁波は広範囲に広がる魔法。当ればしばらく体が思うように動かなくなるらしい

さすがに俺でも電磁波の中では上手く動き回れないし、攻撃もままならない




「よし!このまま突破だ『ラファーガ』(超加速)」




さすがにこの魔法のコンボを打ち破られるとは思っていなかったのか驚愕の表情をしている

魔術師にとって近距離戦に持ち込まれるのは大いに不利な状況になる

俺は驚異的な速さで剣を相手の後ろに回り込みながら水平になぎった

勝負あったな……











しかしっ!






キィイイーン!!






「っ!?」





相手が剣を鞘から抜くと同時に攻撃を防がれた

加速魔法を使った攻撃を普通に防御された上にあの平然とした顔……




「ごめんね、私、剣の方が専門だから近距離は得意なんだよね~」




なに!? 魔術師に加えて剣士でもあったのか

しかも二刀流だ。

剣先の細い長剣をもう一本とりだした少女は抜剣すると同時に斬ってきた




ガギンっ!!!




「ぅぐっ!?」




剣を何とか振り払い、相手の振り払う剣を受け止めると、とてつもない重力が襲いかかってきた

あんな細身な剣で手がしびれるほどの重さをくらった。

そして、風を切る音を聞きながら地面と平行に約100mは吹っ飛んだ

なんつー馬鹿力なんだよ……

助かったのは、この空間には建物など、障害物が一切ないため追加ダメージは無かった事




「いくらなんでも、あんな剣じゃまともに戦えないな……」




(自分の剣も改良しましょう。グラヴィティフォーカルで同等に戦えるはずです)




「同等に戦えるのか?分かった、『グラヴィティフォーカル』(重力集点)」




ん~。……特に変わった様子は無いけど

適当に剣を振りながらどこが変わったのか確かめた




(自分は影響を受けないから分からないと思うけど交えた時に実感があるはずです)




「へぇ~。ってかこんな魔法使ったら普通の奴にはかなり有利に戦えるんじゃないか?」




(それはあなたの判断で行って下さい、人の性格というものが出るかもしれませんね)



そうか……。

まぁ、どちらにせよ。今はこれであいつと同等になったわけだ!




「そっちがこないなら私からいくからね!」




あの少女もまた加速系の魔法を唱えているのだろう

高速で向かってくる少女の剣技を受け止める




キィイイン!




「あはっ♪、その剣の準備のために来なかったのね」




普通に戦って少し驚く様子を見せたが軽く笑みをこぼした

その後、10合・20合・30合と剣を交える

2人とも加速系の魔法を使っているので普段と変わらないバトルだったが

他の人が居たら残像のみしか確認できないであろう




キンッ!キュイン!!




「『アグニ』(速攻炎)」


「『アイシクル』(速攻氷)」




バーン!! と、2人の高速魔法がぶつかり合う




「なかなかやるわね」




「俺もここまで戦えるなんて正直驚いた」




「戦うのが初めてじゃないんでしょう?」




「まぁね、でも、ここまで瞬時の判断を迫られる戦いは初めてかな」




「へぇーそうなんだ。んでも、そろそろ終わりにしましょうか」




うふふ。と笑いながら剣を二本交えるように地面に刺し、その手前で杖を構えた




「私のもとに集結しなさいエターナルセブンソード」




突如空中に現れた7本の剣が少女のもとに舞い降りる

九刀流なんて見たことねぇぞ……




空中に浮く7本の剣が俺に向かってきた





キンキンキュインカキン!



「くっ!!」



「休む暇なんて無いわよ?」



キン!キンカキンキュイン!!



次々に襲いかかる剣と相手し続けるにはもはや時間の問題だ……

力が尽きて隙が出来れば俺の負け、という事になる

こんなチートみたいな攻撃を受け続けたらそりゃー負けるわな




俺は後ろに飛び去り剣を地面に刺す




「ん?何が来るのかしら?」




「俺の負けだ。いさぎよく散ろうと思う」




内心、誰かが助けてくれるんじゃないかと思っていたが

その願いも通じることも無く……




「そう……。あなたは、いや、ブレイクはそんな人だったの……」






っ!! 何故?何故俺の名前を知っているんだ!?






「なぜ俺の名前を知っている!?」






「死を覚悟した人に教えることなど何もないわ」










上から迫る剣を最後に俺は死んだ…………

































はずだったが痛みが無い……







閉じきった目を徐々に開けると、そこにいたのは……

双剣を華麗に使いこなし相手の攻撃を防いでいた少女がいた









「う…… 嘘…だろ?」















なんでここにいるんだ!!??















「アイシェス姫!!」
















ついに隠れた能力発揮か!?

次回、いろいろな意味で驚きます。

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