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非現実的な人生  作者: ゆうさん
深まる謎
31/69

EXⅥ    追憶


今回は少し長めのEXです。





―――――魔王城・王室―――――




「今日は特に仕事が無い」



「そのようですがどうかなされましたか?」



こんなことを言うギーヴァ様を疑問に思ったエルウェール



「今日は休暇にする」



「本当ですか?ギーヴァ様?」



ツァツェが嬉しそうにつっこんでくる



ギーヴァ心

確かにここ最近調べごとが多いとかで忙しい毎日だったから

こいつらにも少し休みが必要だろう……



「しかし、本当に休日でよろしいのですか?」



休日だからと言ってもあのバカ(ツァツェ)とは違い、いろいろ心配になる



「あいつらには刺客を向かわせた。心配する必要は無い」



「そうですか。それなら安心です」



「……どうした」



その場から動かないエルウェールが気になり声をかける



「あのぅ……。ギーヴァ様もご一緒にどこかに行きませんか?」



期待した眼差しでギーヴァを見つめる



「いや、俺はいい」



少しでも期待した私が駄目だった

ギーヴァ様は昔からこういう付き合いは苦手だった。

しかし、絶対に来てくれないというわけでもなかった

少なくとも、あんなことさえなければ…………









★★★★★魔王城・庭★★★★★




「ギーヴァ様!どこかお出かけに行きませんか?」



「俺はどこにも行かない。賑やかな場所やら女と2人きりなど、もってのほか」



ちなみに今は、私とギーヴァ様で二人きりのはずだが

私と二人きりになっても平気らしい………



「昔はよく一緒に出掛けましたけどね……」



「今と昔じゃあ違う……」



魔王城・庭の噴水近くで話す若い魔人が2人



「こういう場所なら平気なんですか?」



「人目につかない場所が一番落ち着く。

ガイヤス大魔王様も、外には出るなと言われている」



「そんなこと言ってないで一度くらいいいでしょ?」



「よくない……」



「それなら、賑やかじゃない場所で、トルマッセも連れて行くのはどうですか?」



ギーヴァ様の一番仲のいいトルマッセを同行させれば、絶対に行くはず!



「………………」



「行きましょうよ!」



「…………そんなに行きたいのか?」



「もちろんです。城の外は空気が違う感じがしますよ」



「そうか……。それなら気分転換に一度行ってみるか」



「本当ですか!?やったぁ!!(この機を逃さずにプレゼント、渡さないとっ!)」



「うるさいぞ、エルウェール。鼓膜が破れる……」



「あ!すいません。ギーヴァ様」



エルウェールがギーヴァにプレゼントを渡すには理由がある

今日が誕生日だからだ。心からのお祝いをしようと前々から考えていたのだ

この日を利用しなければと、作戦を練っていた



「別に平気だ。トルマッサを連れてくる」



「私がもう呼んでいます!」



そう言って指差した方向にはトルマッサが歩いてきたところだ

あいかわらず頭にはあほ毛が2本ユラユラしている

背もギーヴァ様と同じくらいで目の色は銀色

髪には徹底的にこだわるらしく短髪より長髪派だという

周りの女性からの好感度はかなり高いらしく、プレゼントなどしょっちゅうのことらしい



「今日はどんな御用で?」



「俺には分かるぞ、詳細はエルウェールから全て聞いてるんじゃないのか?」



とうに見破られていたことに苦笑するトルマッサ



「さすがですね。では行きますか」









――――???地方・サートルクの森――――



「どうです?ギーヴァ様。とても静かで落ち着くところではないですか?

(どのタイミングで渡そうかなぁ……)」



「……そうだな、たまにはこういうところもいいな、トルマッサはどう思う?」



「とても良い所ですね。私も初めて来ましたが、

こんなにのどかだと大の字で寝ていたいものです」



と、いいながら早速大の字になって寝た



「まったく、外は危険だと聞いているのによくそんな無防備なことが出来るな」



「ははっ。こういう風に心から体を休めることもたまには必要なものです」



「そういうものか……。まぁ俺は遠慮しておくがな」



「そんなことは分かっていますよ」



トルマッサは微笑む。

と、その時



「……それがさぁ、ここを見回りしないと仕事が切り上げられないんだよ」



「――――!?誰か来る!」



とっさに身を隠した……



「人間か?」



「そのようですね……」



2名の若騎士団を見ながら

少し緊張ばしった声で話すエルウェール

なんて間の悪い時に来てしまったのだろう。

人間には近づくなと大王に言われていたのに……



「大王が人間が俺たちに危害を加えるようなら容赦なく殺せと言っていた」



「まぁ、今のところそのような様子は全く見られそうにないですけど……」



こちらは少しの焦りもない冷静な判断を下すトルマッセ



「あっ!?」



コトッ!



騎士たちに気を取られていたエルウェールはプレゼントを落としてしまった。

普通なら気づくことの無い音でも、この静寂の中でそれは、それはとても大きな音だった



「おい!……誰かいるぞ…………」



「動物かなんかじゃないか?」



「そうだといいんだがな……。

ここら辺には魔人の目撃情報も出ているから用心が必要だ」



「そ、そうなのか!?それってかなり危険じゃないか?

……その音。どこから聞こえてきた?」



「…………大体、あの辺りだな……」



必死に身を隠すエルウェール



「お前のせいで大変なことになったな……」



「すいませんっ。ギーヴァ様。私の不注意で……」



「まぁ、この失態はかなりの重荷になるがしょうがない、

トルマッセ、何とかできないか?」



「そうですね……。私が、魔法で援護しますのでみなさ―――――――!!??」



ドサッ!!



トルマッセの言葉が途中で切れたことに疑問を抱いたギーヴァがそちらを向く



「どうした?トルマ……。おい!どうした?背中に矢が……」




「隊長!魔人を射抜きました!」



「作戦は成功だな。生死の確認は?」



「はっ。よくは確認していませんが、

さっきの当たり具合だと死んではいなくても致命傷にはなったはずです」



「お前は、命中力が高いからな。

武器さえ改造してあればどんなに遠くでも目標物を捉えられる」



「ありがとうございます」



エルウェールは相手が情報伝達機器で違う相手と連絡を取り合っている光景を確認した



「ギーヴァ様、相手は違う相手と連絡を取り合っています」



「…………ギ……ヴァ……」



「喋るな!安静にしてろ。背中からの出血が思った以上に多いな……」



「ギーヴァ様。

相手が連絡を取り「分かっている!先制攻撃を仕掛けてきた事、後悔させてやる!」そうですね」



カサカサ……



「てめぇら、俺の仲間になんてことをしてくれた……」



「まじかよ……魔人は1体だけじゃなかったのか」



唖然とする騎士団達……

しかし、相手も一人と言う事で再び戦意を取り戻す



「俺の大事な仲間を傷つけたことがどんなに恐ろしいことになるか覚悟しろっ!」



「みんな!構えろ!」



全部で5人か……

物足りないくらいだ…………



「『モトバリヂラヂ』(T結合炎・氷・雷)」



たったの数秒で結合魔法を完成させ相手に放つ

そのスピードは魔人の中でもトップクラスを誇るほど……



「『ソーサリーフレクト』(魔法反射)」



対して5人全員が魔法反射を唱える



「俺の攻撃魔法の前ではそんな防御魔法、無いも同然だ!!」



まるで、もともとそこには何もなかったかのように簡単に5つの魔法反射を打ち破り

あっという間に騎士団5人の息の根を止めた……



「……くっ。本気を出すまでもない相手なんかに!」



ギーヴァはすぐにトルマッセの所まで戻った。



「ギーヴァ様。トルマッセの状態が!」



「ん!?どうした!」



トルマッセの場所まで駆け寄ると、明らかに先ほどの顔色より悪いことが分かった。



「出血はもう止まっている。なぜだ……。毒か?毒が回っているのか?」



「これは、毒のようですが、普通の毒ではなく…………。

魔人殺しの矢というものをまともに受けたからだと思います」



「魔人殺しの矢?それにあたるとどうなる」



俺は、既に嫌な予感しかしなかった



「まともに受ければ助かる確率は……ほぼ0ということに……」



「人間ごときが道具だけはまともに使いやがって」



「ギ……ヴァ………………俺に……心配は……いらないから……」



「お前が死んだら、俺はこれからどうしたらいい?」



「ギ……ヴァ…………の……思いの……まま……に……………………」



すぅっと力が抜け頭がガクリと垂れる……



「おいっ!トルマッサ!!死ぬなっ!!

あんな奴らなんかの攻撃なんかで死ぬような奴じゃないだろ?」



いくらギーヴァが叫んでも声は返ってこなかった……



「クソォォォォォ!!!!」


俺は城まで全速力で走った。親友を助けたい一心で頭がいっぱいだった…………

急いで城へと運んで行ったが専門の魔法医師に既に手遅れだと言われた。

それでも、まだ間に合うと思った。いや、思い続けた。

思い続ければ生き返ると思った。しかし、現実はそんなに甘くは無かった。

俺は悔しかった。俺にとって一番の親友が、人間なんかに殺された。

俺らは何もしていないのに……

そして心に誓った、人間という動物は我らの敵だと。

ガイヤス大魔王様が言っていた通りだった。少しでも疑った俺が悪かった……



この機を境にギーヴァの人間に対する心は深く、固く閉ざされたのであった……






そして、この大事な日が、ギーヴァ様の誕生日が、最悪な日になってしまった












★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★






「どうした?」



「あ!いえ……なにも」



昔のことを考えていたらぼーっとしてしまった



「そうか……。とりあえず今日ぐらいはゆっくり休めよ」



「分かりました。」



その優しさと微笑みが微かではあったがかつての少年ギーヴァ様と一致した……














今回はギーヴァの過去について話しました。

長く生きる魔人にはいろんな過去があります。

エルウェール。ツァツェもまたいろいろな過去を思い出として

心に残していることでしょう



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