第十九章 チーム結成
少しずつ動き出す世界……
「よし。作戦は順調だ」
ここはキュリオテテス国のアムスタル地方……
仲間のサインを受け取りホッとする闇に潜む人影が1つ、アムスタル地方とマロハス地方を繋ぐ関門への突破を試みていた。現在、見張り兵は2人程確認済み。アイツらの始末はユーマとロッチェに任せればいいとして、問題はその後だ、こちらに見張り兵がいるように向こう側にも、もちろん兵は居るはずだ、当然策はあるのだが、上手くいかなければ大変なことになる。不法侵入による行為で処刑されるだろう、しかし処刑と言うのはキュリオテテス国でのルール。他の国のことは知らんが上手くいけばどうでもいい。俺たちがこんなことをするにはもちろん理由がある、こんな地方にいつまでも居たらアイツの思うつぼだ。人々の金を奪いに奪ってギャンブルを楽しんでる野郎なんかに渡す金はねぇんだよっていう理由だ。
「アラス。本当に上手くいくんでしょうね?」
俺の後ろにいるユユンが話しかけてきた
もちろん100%上手くいく保証は無いが、失敗より成功する確率の方がよっぽど高いと俺は思う
「あぁ。大丈夫だ」
「信じるわよ?」
「信じられないんだったら帰ってもいいぞ?」
「そ、そんなことないわよ。もしものことよ。
もしも、失敗したらどうするのかなぁ~って思ってね」
「捕まったら捕まったで、そん時考える」
「はぁ?本気で言ってるの?
なんでこいつなんかに付いて来ちゃったんだろ。はぁ~~あ」
盛大に溜息を吐く
「ちっ。うるせぇな。上手くいけばいいんだよ。上手くいけば。
ってそんなこと言ってる間に突入準備の合図だぞ!」
「ほんとに!?」
ユーマとロッチェのシオラ石の合図により俺たちはマロハス地方突入作戦を開始した。
――――ガダルナ地方・ミーレ家――――
あのホラ吹き姫の忍び込み事件から2日ほど経った今日、
俺は久しぶりにミーレの家に戻った。
まぁ~。ミーレにはいろいろ言わなきゃならないこともあるしな。
あの姫の事とかあの姫の事とかあの姫の事とか……
「お~い。ミーレいるかぁ~」
「あ!ブレイク。あの能力テストの日から、もう2週間経ってるよ?
帰ってこないからずいぶん大変な事してるんだろうなぁーって思ってさ。
体とか大丈夫?」
「ん?あぁ……大丈夫。
それよりさ「それでそれで!テスト結果どうだった?」
「テスト結果か……SSSだったな」
「嘘っ!?凄いじゃん!それじゃあ今日は美味しい物を作らないと!」
「それは嬉しいな。んでさ「ちょっと料理の材料を買ってこないと!」……ミーレ?」
バタバタと扉に向かっていこうとしたので呼び止めた
俺の少し低い声にびくぅ!?となりながらガチガチとこちらを向く
「ん?……ど、どうかした?」
「数日前くらいにこのくらいの姫様が来なかったか?」
このくらいと言いながら、大体、俺の肩より気持ち下ぐらいを手で表した
「姫様なんかがこんなボロっちぃ家なんかに来ないでしょ?」
といいながら壁についた埃を手に取ってパンパンッとはたく
すでに、やべっ…。みたいな表情を隠してるのがバレバレなのだが、あえて知らないふり
「たとえ、その姫様が迷子になっていたとしても?」
「うぐっ……。いや……それは、ね。迷子になってる子は助けてあげないと」
「その心優しいミーレさんにご質問!
俺のことについて話しましたね?はい、かYesでお答えください」
「どっ!ど、どっちも同じじゃない!!」
「その感情の昂りようは図星かな?」
「なっ!」
言葉に詰まったということは、本当そうだな……
もちろん最初から分かってたことだけど
「ったくミーレは……」
「だってね。姫様がどうしてもいい男を紹介してほしいっていうから
とりあえず身近な人をってね……」
「とりあえずって……」
そんな風に思われてたんだ……
「いやいや!私の仲の良い友達って言ったらブレイクしかいないでしょ?」
手をぶんぶん振って必死に否定する様子がなんとも怪しいな……
「いないでしょ?って、俺に聞かれても困るんだが……」
「私は、神に誓って嘘はついてません!」
「ほんとかよ……。
ミーレなんて絶対に『神』とか信じなさそうなのにな」
俺は、わざと超疑り深い目でミーレを見る
「な!なによ!こんな私でも神様くらい少しは信じてるわよ」
「……少しは?」
気づいた言葉の過ちは必ず拾う主義だ
「んもう!!超、超、ちょ~~~う信じてるんだからっ!」
「あ~はいはい分かりました。」
とりあえず適当に返事だけは返した。
「そういうブレイクはどうなのよー」
「信じてない」
「っ!即答!?……はぁ~。ブレイクには何の幸運も巡ってこないわよ?」
そんな幸運があるなら俺は死んでねぇって
それにその神?いや、女神か……。
ってか本当に女神かどうかも分かんねぇし。
とにかく会って話して仲良くなっちゃった仲だしなぁ~
そんなことを考えたらなんだか笑えてきた
「何1人で笑ってるの?気持ち悪いわよ?」
「悪いな。俺には神様がいたからこそミーレたちに会えたのかもな……」
「……それってどういう意味?」
首をかしげるミーレに
そんなに気にすることじゃねぇーよ、と一言言いまた旅に出る準備をした
それから俺はヴェセア城に向かったのだが、
なんだか落ち着かないのか石像の周りをグルグル回っているギフェアがそこに居た
「どうしたんですか?」
そう声をかけた俺はギフェアに見られるなり
そうだっ!などと何かに閃きダッシュで近づいてきた
「俺たちでチームを組むぞ!」
なぜに?そもそも騎士団主要メンバーという、もはやチームを組んでるようなもんじゃないですか?
「あの9人がチームなのでは?」
「いや、それなんだがなぁ~仲間が激減した」
腕を組みながら深刻そうな顔をしているギフェア
「何言ってるかサッパリなんですけど……」
「どうやらストライキを起こしたらしい」
えぇ~~!
「との偽情報が出回っているようなんだ」
「あ、偽情報ですか……」
びっくりしたぁー。ほんとだったらヤバかったろ……。
しかし、とギフェアが話を続ける
「事態は急を要しているかもしれない」
「急を?何かあったんですか?」
「数日前、指令が出されたろ?
その時、あいつらにはSランク相当のハドルドゥの討伐を任された筈だったんだが
実際、そこに居たのはSSSランクのアズラだったそうだ」
「アズラって!
6本の大剣を6本の剛腕で持ちマジックリフレクションの強化のせいで
魔法攻撃が一切効かないという最強の敵ですよね!?」
でもアズラは古代の魔物。今に生きている筈がない……
ギフェアの考えは正しかった、しかし、記憶の中では例外があった
「召喚……」
召喚なら古代の魔物も呼び寄せることが出来るかもしれない。
少なくても不可能ではないはずだ。
召喚者のフォースがどれほどあるかは知れないが、
魔術のみを得意とする奴でさえ、簡単な事ではない。では一体召喚者は誰なのか……
「召喚?」
ブレイクも召喚と言う言葉は知っている。
RPGのゲームなどでは当たり前に出てくる言語である。
……が、本物を見たことなど一度も無い。当然のことだが……
「この世界には召喚が使える者も少なからずいると思っていた方がいい。
しかし、アズラともなると何人のフォースを供給し合ったのか……」
眉間にしわを寄せしばらく考える……
「まぁ、騎士団主要メンバーが全員消えたわけじゃない」
「ほ、ほんとですか!」
よし、これなら仲間助けも少しは楽になるかもしれない
マールーとか、ダロットとか、ルイセスあたりがいれば最高だな……
「その残った仲間だが………。ピロクのみだ。以上!」
ぴ、ピロク……? え~っと確か……。騎士団紹介の時にいた……?
「おい、こっちにこい」
ギフェアにそう言われテトテト歩ってきたのが……
「ぴ、ピロクです。 ピロク・ラックポート……です」
前髪のせいで顔が見れない。顔を下げていることもありなおさらだ。
ハッキリ言って考えにもなかった人物だった……
「よろしく」
「よ、よろしくお願いしますっ」
と、さらに深く頭を下げ挨拶を終えた
「んじゃ、とりあえず一通り挨拶も済んだことだし、あと一人だな……」
ん?あと一人?騎士団メンバーでもない他の奴がいるのか?
「久しぶりじゃの~。ブレイク」
側近の者たちが江戸時代の駕籠みたいなものを背負って来た
隣を通る直前にクセのある口調で話されたら
……誰?なんて思えない
「よぉ、シルクシャシャー―っ! ……おいおいなんだよこれ!?」
シルクシャシャに声をかけた直後、4人に槍で首を切り落とされそうになった
もちろん無礼なのは俺だが、こいつには訳があっての現状だ
「イスラ、ワァンツ、ナージャ、エフォラ
そいつはもともとそういう性格なゆえ、私は平気じゃ。
……とりあえず槍は降ろして構わぬ」
そういうと大人しく槍を下げる。……が、まだいつでも俺を捕えられる状態だ。
ってか、もともとそういう性格って……悪いのはお前だっつーのに
「まぁ、そんなわけじゃ、私も同行を願う」
しょうがないか。断ったら……
いや、断った瞬間に却下されるだろうな、当たり前だけど
面倒なことにならないようにここは普通に
「あぁ、よろしく頼む」
「ん?ブレイクの事なら断りそうな気がしたんじゃが……」
「そりゃー、今は、仲間のピンチだし、少しでも戦力のある奴がいた方がいいだろ?」
「確かに正論じゃな。そういう冷静なブレイクも好きじゃぞ」
調子に乗るな
ウインクとかはやめろって……
結局は同じような結果になるのかなぁ?
ロードゲームが出来るのなら、あの時のシルクシャシャの選択肢を変えて進めてみたいものだ……
「これで、メンバーは揃ったな。えぇ~っと、
一時的な臨時のチーム。…………【ギフェア団】は……。ギフェア団でいいよな?」
とりあえずチーム名を決めたギフェアだったが不安があったのか確認してきた。
とりあえず俺は首を縦に振っておいたが
「【シルクシャシャの夫はブレイク団】。と言うのはどうじゃ?」
「ギフェアさん。続けて下さい」
「……まぁこのギフェア団は、今回の作戦までのものとし、終わり次第解散する」
「な、なぜに私の提案を無視するのじゃ!」
「俺はお前の夫じゃないし、意味の分からない名前つけてんなよ」
「ん、ではでは…、【シルクシャシャの彼氏は「いい加減終わりにしないか?」つまらんのぅ~」
物足りなそうにがっかりするシルクシャシャを横目でみならがら
溜息を吐く俺。
「そろそろ茶番は終わりにして行くとするか」
「ちゃ!茶番とは何事じゃ!!なぁーブレイク? って!私を置いてくな!」
隣を見た瞬間そこにはブレイクの姿は無く、既にギフェアとずいぶん先を歩いているところだった
「置いてくぞー、シルクシャシャ」
「まてまて、さっきまで私が必要とかなんとか言っていたではないか」
「来る気が無いやつに無理に頼むのもなんだろ?」
「行く行く行く行く!行くに決まっておるじゃろ!」
そう言って小走りで追いかけてくるガルヘント城の姫様
はたしてこのアンバランスなチームはどうなっていくのでしょうか……
「あれ?僕の出番は……?」
特に会話に混ざっていなかったピロクであった
次回はEXです。
ギーヴァの過去がわかります。