第十七章 ガルヘント城のお姫様
個性的なキャラが次々と……
現実にはこんなわかりやすいほどタイプが違うなんてことありませんよね
――――ガダルナ地方・ハゼール樹林――――
「それにしても、遠いですね……」
アルタンテ地方から現在いる場所まで、約2時間ほどかかった
ワープ用のシオラ石は使えず。シーズゥーもシオラ石の関係で使えず……
正直な話。丸一日は寝ていない。そろそろ体の限界が近づいている
あぁ~早くベッドに入りたい。
「そうだな。ハゼール樹林を抜ければヴェセア城は見えてくるはずだが」
そう言って歩いていくと木に異様にでかい実が生っていた
なんか美味そうに見えたのだが
「ギフェアさん。これはかなりおおきいのでは?」
「確かに、なんという実だろうな」
その時、その実がガサゴソと動き出した
「うわっ!なんか動き出しましたよ」
「気味が悪いな……採るのはやめておこう」
俺たちはそのままその実の生った木を素通りしようとした
「こ、この私を無視するつもりかっ!!」
実が喋ったーーーー!!
「すいません。あなたは?」
ギフェアが申し訳なさそうに話しかける
てか、なにかと問題ありありな奴と話なんかすると、厄介事が……
「私の名はシルクシャシャ・ユイナーレ。ガルヘント城の姫じゃ」
ガルヘント城?どこだかさっぱりだな……
って!姫様!?厄介事の塊だぁ……
だいたい姫様が木に引っ掛かってること自体がおかしい。
そしてギフェアさんは何に反応したのか謝りだした。
「申し訳ございませんでしたっ!私はヴェセア城のギフェアと申しますアイシェス・ティーナ姫、側近の者です。」
と言い。即、引っかかっていた姫を降ろした
その姫は真っ赤なドレスを着ていて
髪まで赤色だったため何かの実と勘違いしていた
背の高さとかアイシェス姫くらいかな……
偉そうに胸とか張ってるけど本当に関わってよかったのかどうなのか
なんかめんどうなことになりそうだ
こうして俺の睡眠時間は無くなっていくんだなぁ……
「ギフェアさん、そこまでしなくても?」
「姫様とあれば、これくら礼儀だろ?」
そうか、まぁ、確かにそうだよな
「すいません、俺はブレイ「ちょっとまってくれないか!!」……へ?」
さっきまで胸を張っていた姫は俺の顔をまじまじと見つめながら目を見開く
「黒い目を持つお主は、ブレイクという者か?」
「はぁ、俺は確かにブレイクですが……」
そういうといきなり駆け寄ってきた
「話は聞いておる。う~む……思ったよりかっこいいではないか」
話は聞いている?
誰から……?
「誰から俺について話を?」
話を聞くと、どうやらシルクシャシャ・ユイナーレ姫は(名前長ぇ~)ガダルナ地方の中で位置的にこことは反対側のウィーオという町で迷子になっている所を、買い物中のミーレが助けてくれたらしく、その後、ミーレの家でご飯をご馳走してもらったところ、俺についての話題になり(なぜ?)、あとであった時に自分一人でもわかるようにと特徴やらなんやら聞いたらしい……
「ミーレのやつか……」
家に帰ったらまずは、お説教だな
「とにかくお主の強さは凄いということだと聞いたのじゃ」
そして姫様が手を差し伸べてきた。
握手か……と手を握ると
「うわっ!?」
思いっきり手を掴んだまま引っ張ってきて姫様との距離は拳1個分くらい
「そ、そのだな……私と、つ、付き合ってはくれないか?」
い、いいいいきなりッスか!!??
そして、俺の後ろで殺気立った物凄いオーラを発している人物がいる……
「分かってるな?ブレイク……」
は、はい、もちろんですとも
「なぜ、そんなにも逃げようとするのじゃ?照れているのか?私だってかなり恥ずかしいんじゃぞ」
わずかだが頬を染めて顔をそむけている
しかしだ……
こんなに手が細くか弱そうなのに
……手が離れない。 なんていう力だ……
とても女の子の力とは思えない……
「いい男が居た時、逃げられないようにと父から剛腕の腕輪をもらっておいてよかった」
おぉー。なんと恐ろしい……
その腕輪を腕を掴む以外の目的で利用してきたら、もはや女だからなぁ~。とかで、喧嘩とか手加減できねぇ……
「ではでは、付き合うのが駄目なら……け、結婚でどうだ?」
え~っと。それ、付き合う事よりレベルが高いですよ~?
どこをどう考え直せばそんな結果に辿り着くんだし……
「無理ですって!そんなことしたらアイシェス姫になんて言われるか……」
俺は必死に否定した。
「……んなっ!そんな姫なんぞにお主を渡さぬからなっ!」
意味わかんねぇよ!
「渡さぬからなって、どの立場からその言葉を――――っ!?」
「姫だからじゃ」
その言葉の先は離せなかった。口がふさがれたからだ……
口が……口で…………口?………………口でっ!?!?
ま、まさかファーストキスがな……。あはははぁ~
乾いた笑い声しかでない
「ブレイク!そんなところを姫様なんかに見られていたとしたら……」
フラグ。スタンドアップ!!
もはや嫌な予感しかしない……
ゴトっ!………………
「ブ、ブレイクさん?」
そこには持っていたリンゴを落とすアイシェス姫がいた……
ほらね。こうなるんだよ……あはははは。 はぁ~。マジないわぁ……
どうしよ、この修羅場……
次回、アイシェス姫がキレます。(笑)