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非現実的な人生  作者: ゆうさん
魔法破壊計画
23/69

第十四章   魔法破壊計画の阻止 前篇

少しシリアスな部分があります

少しどころじゃないかな?


――――魔人基地――――



今現在、魔人基地への侵入を果たし周りを捜索中である……

煉瓦で作られたこの道は入り口から比べると随分綺麗になってきた



「……静かだ」

いつでも敵が出てきても対応できるように、武器を取り出したゼナスが言う



「そうだな。この静寂は少し怪しいな」

ドンハスも先程からよく周りを見ながら先ほどから歩っている



「そういえば、魔人たちの計画はスペルの概念を消す……とか言ってましたけど、どんな目的があっての行動なのでしょうか?」



「それは俺たちにも分からないな。本人に聞いてみないと」



少し眉をしかめて話すルイセス



「う~ん、しかしどこにも人影が見当たりませんね……」



トルツがそこかしこと見回していたががっくりとうなだれた

あんなに大きな扉を開けて堂々と侵入したが敵の気配がまったくない



「ひっひっひ……。こんにちはみなさん」



その声にとっさに反応する騎士団達

気配に気づかなかっただと……?



「見かけない顔ですねぇ……イヒヒッ!」



何が可笑しいのかずっと顔がにやけている

身長はさほど高くは無いが髪の色は白、目の色は白?

さすがは魔人……。でもこの人数なら倒すには足りている



「そういうお前は魔人か?」



テペバロクが武器を構えながら問う



「そうです、私が魔人ですとも、イヒヒ……。階級は……言っても分かるはずないですね。ひひっ!」



酒かなんかで酔ってんのかと思ってもしょうがないほどの顔の赤さ

とにかく先制攻撃、全員が魔法を唱えた



炎属性・水属性・雷属性・風属性・光属性

などいろいろな魔法を当てて弱点を探ろうとしたが全て魔人の前で消え去った」

その間、魔人は一歩も動こうとはしなかったもちろんにやけたまま



「イヒッ!イヒヒヒヒっ面白いですねぇみなさん。ひひっ」



「なぜ魔法が効かない!?」



「僕は君たちとは違ってMFの体質が強いんでねぇ~。いひひひひ!」



「MF?マジックリフレクションか!」



「もちろんですとも、魔人相手に並みの魔法じゃかすり傷1つ与えられませんよ。イヒヒ」



「くっ……」

歯を食いしばるテペバロク



「あぁ~面白い。まぁ、私はあなたたちを殺すようなことはしませんが」



「何ふざけたこと言ってんだ!」



ドンハスが怒りを込めて前へ出る



「少なくとも私は……ですよ?他の連中はどうするか分からない。気性の荒い物もいれば私と同じような奴もいるってことです。イヒヒヒヒッ」



そう言葉を残し跡形もなく消え去った



「ったくなんだったんだぁ?あいつは……」



既に戦意消失のテペバロクの声が聞こえる



「しかし、感覚が敏感になっている時に気配に気づかず背後に回られるのは一体どういうことですかね」



トルツの言葉には皆に考えさせられた



「ん~。困ったな……。ここにいるのは危険か」



「しかし、阻止するためには中心部に行かなくてはなりませんが……」



ゼナスの言い分にルイセスが賛成する



「そうだなこの基地もそう大きくないはずだからどうにかたどり着きそうだな……」



再び歩き始めた一行。両サイドの壁には今にも消えそうなランプの火が灯っている

その微妙な明るさが恐怖感をそそる

入り口とは違って、魔人の気配は無いが雑魚的の姿をよく見るようになった



「おりゃっ!  俺らの城にこんな奴らがいたら最悪だぜ」



テペバロクの一振りで粉砕されていく魔物……

この魔物も中級者にとっては強敵なのだが、今となってはもはやいてもいなくても同じぐらいのレベルだった



「お~。ここが中心部か?」



周りの暗さであまりよく見えなかったが大きな扉が出てきた

血のように赤い中心部への入り口は入る者の勇気を削ぐように見えた



「んじゃ、早速開けて入るぞ」



ガチャ……



その先に見えたものは自分の身長の5倍くらいはある巨大な機械だった



ゴォォォォォ……



「なんか動いてるみたいですけどどうすればいいのかねぇ……」



アイナが腕を組んで考える



「止め方が分からなければぶっ壊すのみだろ?」



テペバロクの考え方はいつもこうなのよねぇ……

と、アイナは思う



「それはあまりに無理矢理なのでは?」



ゼナスが一歩前に出る

とその時!



コツッコツッ……




「ん!?誰か来るっ!」



その一言で全員が身構える



コツッコツッコツンッ!



「誰だ貴様は!」



テペバロクが言い放つ



「お~っと。不法侵入者さん達に言われる筋合いは無いですけど……、驚かしてすみませんねぇ」



とてもゆっくり喋る執事みたいなこいつはどうやら魔人らしいが……

武器と判断できるものが何一つない、紫黒のマントを羽織っていて目が銀色をしている時点で魔法を使いそうなんだが、どうだろう。……そういえばミヴィのやつ。連絡無いけどどうしたんだろう?



「誰が驚いて「やめておけ、今は抑えとけ」ちっ……」



「随分、お利口さんね、見たところあなたたちはSZAK騎士団の方々ですね?私は魔人エルヘス。以後、お見知りおきを。まぁこんな自己紹介、意味ないですけどね」



「お前らの企む計画とやらを教えてもらおうか」

ギフェアがエルヘスの目を睨み付けた



「私たちの計画ですか……教えてあげてもいいんですが、どうせここで死んでもらいますし、必要ないかと」



「は~ぁ?お前ひとりなんかに負けるかってんだっ!!」

もう怒りが爆発したのかテペバロクが走り出した。



「そうですか。なにも、私一人など一言も言っていませんが……『ハルシネイションシャドゥ』(幻覚の影)」



……エルヘスが3人?

影にしては色までしっかりとついている

それから3手にわかれて戦いが始まった



「ちっ!」



「『リプカジャイヂフェレギ』(T魔法)」



「テペバロク!これをっ」



ルイセスに渡されたのはスペルの浮き出た手のひらサイズの碑石



「ありがてぇな!『エナジーリフレクション』!(魔法反射)」



パキィン!



「ほぉ。なかなかやりますね。T魔法を跳ね返すとは。『フィアフルエンジェル』(魔天使の裁き)」



「っ!?」



ザクッ!ザクッ!!



「ぐはっ!?」



黒と白の光の残像がテペバロクを切り刻む……



テペバロクが殺られた!?くっ!……目の前のこいつで手一杯なのに他のみんなの援護なんて到底無理だ



「テペバロクッ!……『フェルドカルト!』(W魔法)」



ルイセスが高速で呪文を唱えたが



「ふっ……W魔法など、笑わせてくれるっ」



埃を払うかのようにすぅっとかき消された



「援護します!『イラプション』(爆発)」



「こんな下級魔法、私には効か……!くっ煙幕か……」



「おい!大丈夫かテペバロク!」



ルイセスが煙幕に紛れ、テペバロクを治療しようとする



「あ?大丈夫だってんだよ!こんなかすり傷、余裕余裕!」



「そうか……無理するなよ。」



「あぁ。少し休めば、怒涛の快進撃の開始だ!」



「期待してるよ」



「なにをよそ見しているのですか?『マッディストリーム』(濁流)」



「くっ!!みんなっ!気をつけろ!」



怒号の勢いで迫ってきた濁流は何もかもを呑み込むように流れてきた。



「『クレイウォール』(強土の壁)」



濁流を完全に防いだ後、アイナはテペバロクの異変に気付いた。



「て、テペバロク!?」



アイナはテペバロクの元へと走って行った。

先ほどまで余裕そうだったテペバロクがなにかおかしかった

かすり傷だったところは骨が見えるほど深い傷になり

出血の量も半端ではない……

一体何が



「お……おう……アイナ……じゃ……ねぇか……どうした?…………涙なんか……ながしたりして…………」



「まさか、死ぬんじゃないよね……」



「ハハッ……死ぬはずないだろ?ほら!こんな風に立つことも……っ!!?」



体を起こした瞬間、全身に痛みが走った。



「ゴホッゴホッ……」



血の塊を吐き目が虚ろになっている

傷口の広がる進行が速い



「あ、安静にしてないと!そんなに動いちゃ「この人は毒にやられています。しかも、やっかいな副作用の活発化で血が止まることは無いでしょう」…………そんな!」



「先ほどの魔法はそういう効果をもたらす悪魔魔法の部類です」



アイナは絶望した。テペバロクの命はすでに時間の問題だった。



「ア……イ……ナ…………の……」



「ん?どうしたの!?言う事があるなら早く言ってよ!?なんでも叶えてあげるからさっ!」



「つくっ……た……りょう…………り……を……また……たべた……かったな…………」



「私の作った料理なの?私の作った料理ならいつでも食べさせてあげるから、ほら、元気出してよ……男なんだから……いつまでも寝てないで立ちなさいよっ!目を開けてっ!…………こんなところで寝てたら風邪……引くわよ…………」



やるせない気持ちが彼女の心をかき乱した……




すでにテペバロクは息をしていなかったが

生き返ることを信じたかった。幻でもいいから声を聞きたかった……

しかし、現実は現実。目の前にはあの元気な男は居なかった




隙を与えない攻撃、魔法もほとんど通じない

そんな魔人たちとこれからも戦い続けることなんてできるんだろうか……

ましてや魔人ギーヴァが相手となると勝ち目は無い



なにか突破口は無いのだろうか……



そしてこれ以上死人を出すことなんてあってはいけない



煙幕の中、短い休憩時間のなかでブレイクは一生懸命、攻略を探っていた……








次回もシリアスになりそうです

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