EXⅢ 恨み
――――魔王城・王部屋――――
「ファンベル……」
ギーヴァ様はそう呟いた。
「何かあったんですか?しかし、懐かしい名ですわね……」
ギーヴァの不満そうな顔を見るエルウェールはどうにかしてあげたいと思っていた。
「奴に結界を張られた。にしても俺をその場から立ち退かせるほど強力な結界を張るとはいまだに衰えというものを知らないようだな……」
表情は変わってないがエルウェールには分かっていた
悔しさと喜びが混じった感情を………
そう、昔はギーヴァ様とファンベルは気の合う仲だった
「ファンベルに結界を張られた…ということなら」
「そうだ。結界を張るにはある程度の範囲内にいないと発動は不可能だ。そして、その範囲は決して遠いものではない」
「そうですわね、と、いうことはついにギーヴァ様の目標が」
ギーヴァ様は魔人と騎士団との両方の血を受け継いでいることを許せなかった、全てはあの時のせい。
「そう。長きに渡り奴を追い続けてきた。今こそ裏切り者の首を刎ねるぞ!……と、言いたいところだが。今は、この計画を先に実行しなければな……」
そう言いマントを翻して部屋を出て行った。
「私もお役に立たなければならないわ」
かつては、とても優しい方だった。表情も豊かでとても充実した生活をおくれた
あんな事件さえ起こらなければこんなにも変わることは無かったはず
でも、私はどんなにギーヴァ様が変わろうとついていく決心があります。
あの時助けてくれた恩を返すために……
そして、エルウェールも急いで準備を始めた。
大いなる魔法破壊計画を進めるために……