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非現実的な人生  作者: ゆうさん
魔人王ギーヴァ
12/69

第七章    魔神王ギーヴァの出現


今回はいよいよ例の人?との対決です。



――――ヴェセア城・3階廊下――――



あの質問攻めにされていたギフェアが俺のところに戻ってきたあとこの世界についていろいろ教えてもらったのだが、ふと疑問に思うことが……


「ん?……ミーレが何か言ってたような……って!!夕飯忘れてた!!!アイシェス姫、ギフェアさん、お先に失礼します!!」


俺はギフェアと姫様に挨拶を済ませ急いで城から出た


タッタッタッ


「はぁはぁ……ヤベェ…かなり……待たせちゃってるよなー……きっと」


城からミシェルの家まで少なくとも5キロはある。俺が生きていた頃の体力は標準だった

どうでもいいことだが持久走大会でも280人中150位という結果で……

要するに……ノーマルな人間だった。

まぁ、キルティのおかげでかなりマシになったと思うけど。


カツッカツッカツッ

コンクリで出来た道を走り


トントントントン

木で出来た橋を渡り


シャトッシャトッ

砂利道を走り……


「さすがに……ハァハァ……疲れたなぁ……」


それからまた少し走り家の前まで来て


「ミシェルごめんっ!!」


勢いよく扉を開けたが部屋の中が真っ暗だった……


「ミシェル?……」


周りを見渡したが物音一つしない……

いろんな部屋を探し、居間まで行くとテーブルに腕枕をしたミシェルが寝ていた

その隣にはおいしそうなご飯が置いてあった


「悪いことしたな……」


俺はミシェルを抱え寝室まで運び、寝かせた。


「ムニャムニャ……いつになったら帰ってくるのよぉ~……ムニャムニャ……」


俺は寝言を言いながら少し顔をしかめてるミシェルに「ほんとごめんな」と一言謝りごはんが置いてあるテーブルを見て思った。


「見たことの無い食べ物ばかりだな……」


さすがに異世界だしそれぐらいの覚悟は出来ていたはずだが、お粥の件でテッキリ何もかもが普通だと思い込んでいた


しばらくして椅子に座ってご飯を食べ始めた……

居間だけが電気が点いており、一人でずっと待っていたミシェルのことを考えながら……

一人がこんなに寂しいなんてな、と今日二回目の言葉を呟きながら想像以上に美味しいご飯を食べ一夜を過ごした。







・ブレイク帰宅後のアイシェス姫&ギフェア・


――――ヴェセア城・3階廊下――――




ブレイクが急いで城を出て行った後、アイシェス姫はギフェアに尋ねた


「あ、あの……ミシェルという人はブレイクさんとどんな関係なんでしょうか?」


私はとっても気になってしょうがなくて、でもどうしようか悩んで必死に悩んだ挙句に質問してしまった。


「いや~、それは分からないですね。いつから知り合ったのかも、もしかしたら、もう、そんな関係になっているのかもしれませんね」


「え!えぇ~!?もうそんな関係って何なんですか!?」


そんな関係とは…そんな関係とは一体なにをなさっているのでしょうか?

も、もしや…もう既に、お、お付き合いをなさって……


「姫様。そんなに大声を出してどうかなさったんですか?(!?もしや……姫様は……)」


「べ、別にどうもしてませんよっ」


あ、危なかったです。私のブレイクさんへの気持ちがバレてしまうところでした。


「そうですか……(言動に少し乱れが見える……と言うことは、やはり……)」


「はい、そうですよ、何でもありません」


冷静に冷静に……。感情を表に出さずに…


「…………」


「ん?どうかしたのですか、ギフェア?」


なんでしょう。ギフェアの様子がおかしいです。

何かを考えているような?


「……………」


な、何か言ってくれないと、わ、わたし……


「ギフェア??」


「姫様……」


「はい?なんでしょう」


「もしや……ブレイクのことがお好きではないでしょうか?」


「ふぇっ!?」


いきなり…い、いきなりなんてことを訊くのでしょう。

せっかく感情を表に出さずに冷静でいたというのに


「やはりそのようですね(急激に顔が真っ赤になったなら確実といっても……)」


「そ、そんな!そんなことはありませんのことですわ!!」


「姫様。言動が乱れていますよ。それは図星ではないかと・・」


そ、そんなにブレイクさんへの気持ちをはっきりさせてはっ

わ、わたし、今にもブレイクさんで頭がいっぱいに~~


「わ、私がブレイクさんのことをぉ~・・・バタンっ!!」





ひ、姫様が頬を両手で押さえ顔を真っ赤に染め倒れてしまった。


「大丈夫ですか!!?姫様?姫様っ!?」


これはかなり重度な恋の病にかかってしまったようだな……







――――ミシェルの家・居間――――



「ふぁ~あ。よく寝た」


俺はいつの間にかソファで寝ていた。

それはいいとして目を開けたらすぐ目の前にミーレがいた。


「ブーレーイークーっ!!」


「あ……ほんと昨日はごめん……」


「ごめんじゃないでしょ!!!!もう、どんなにさみ…退屈だったことかっ!!」


さみ……なんだ?さみしい?……んなわけないか……

でもほんと悪いことをした


「悪かった、ほんと悪かった」


「はぁ……もういいよぉ~。」


ため息をつき肩をおとす


「ほんとに悪いと思ってんだからな」


「もう大丈夫だって、……あれ?今日はお城に行かないの?」


「あ!そうだ、今日は能力テストがある日だったな」


「能力テスト?」


「ギフェアが言ってたんだよ。騎士団に入団するには必ず能力テストを受けなきゃならないってね。入団する時以外でも定期的に行うらしい。そして、出来の良さによってランクが決まり下はAから最上がSSSだって」


現実世界での中間テストやら期末テストのことと同じだろうな。

そういえばこの世界に来てから勉強はまったくしてないし、気が楽だな。


「最下位ランクがAって……その能力テストかなりランクが高いんだね。さすがセル騎士団」


「そうだな、俺がどこのランクになるか分からないけど、行って来るよ」


「ブレイクならSSSランクなんじゃない?」


笑いながら話すミーレ


「そんなランク獲ったらびっくりだな」


「そうよねぇ~~」


そんな会話に二人して笑う、しばらくし、ブレイクはヴェセア城に向かった









――――岩石街道――――




「そういえば、この長い道のりを自分の魔法かなんかでどうにかできないかな~。ゴツゴツした場所とか走りづらいし疲れるし……」


その時、聞き慣れた声が頭に響いた


(剣を地面に置いてその上に乗った後、剣の持ち手に丸い穴が開いてあると思いますのでそこにシオラ石をはめてみて下さい)


「シオラ石って何だ?……ってかいい加減名前教えてくれないか?」


(それはいずれわかると……)


「いずれじゃなくて今知りたいんだが……」


(……。マーシャです。私の名はマーシャ・ミヴィアスです)


「マーシャ・ミビアス?」


(発音が少し違います。……正確にはヴィです」


「あぁ。ごめん、マーシャ・ミヴィアスな」


(はい。その剣、ヴェーアに宿る精霊みたいな者です)


「んじゃ、これからはミヴィって呼ぶよ」


(ミヴィですか……はい。どう呼んでくれても構いませんが……)


「まぁーしかし、この剣の精霊だったとはなぁ、なんとなくそんな気はしてたけど」


(そうですか? あ、早くしないと遅れるのでは?)


「あ!やべぇ!!え~っとシオラ石だよなぁ~ってどこだ?」


(あなたのポケットに入っているはずです)


「ポケット?」


疑問に思いながらポケットを探ると何か固い石みたいなものを掴んだ。


「これか?(こんな物が入ってるとは全く気付かなかった)」


それは緑色で500円玉くらいの大きさのビー玉だった。


(それをはめて、飛ぼうという意識を集中させてみてください。飛べるはずです)


「飛ぼうという意識を集中……」


剣を地面に置きその上に乗ってみたが……バランスがとりづらい。

これがどのくらいのスピードが出るかわからないが自転車くらいのスピードでも落下しそうだ。

いやいや、今はそれ以前の問題だ。


「落下しないよな?」


(そうですね。どんなにスピードを出したとしても決して落ちることは無いでしょう)


「そうか、ならよかった」


それが分かったなら安心だ。軽く集中したぐらいで簡単に浮き上がった。


「おっ!この浮遊感はなんか楽しいな」


(そうですか、スピードも自分の意思で変えられますので……)


「了解!」


あの時城からミシェルの家まで帰るのに30分くらいかかったが

ヴェセア城に到着した時は5分もかからなかった


「結構早く着くもんだな……」


テレパシーが途絶えているためミヴィとは話は出来なくなっていたが

今は特に聞くことも無いし心配無しだな


そういって城の門をくぐると何か黒い渦が空中に浮かんでいた


「なんだあれ?」


そう思うと次第に黒い渦は消えそこに居たのは何やら怪しい人が……


「フフッ……お前がブレイクか。その強さ、なかなか興味をそそる所があるな」


銀髪で方目を覆うほど長い。ところどころ赤髪がちらちらと見える。

外見は20そこそこのところかな?着てる服も銀や黒などを主に作られている


「なぜ俺の名前を?」


「なぜか?それはとてもお前に興味があるからだよ、十分に調べさせてもらった」


調べた?何故そんなことが……?


「何しにここまで来たんだ!?」


推測だがコイツはテレポートスキルを使ってここまで来たっぽいよな

そうすると、ただ者ではない筈だ。テレポートスキルはスリーマジックマスターの1つでありその魔法を使っている人はとうに滅びているとギフェアに聴かされた

以上の点からコイツは人ではないと判断できるんだが……


「……ん?私が人では無いとでも思ったか?」


「もちろんだ、そのテレポート魔法を使える人材はとうに滅びているはず」


「なかなか分かる奴だなぁ~ククッ…面白い」


「何が面白い!?」


「まぁまぁ、それじゃあ手ほどきでも……」


そういうと地面から赤黒い剣が出てきた。

そのおびただしいようきを漂わせていた剣は


「準備はよろしいかな?」


「かかって来い!!」


そういうと目にも留まらぬ速さで走ってきた

その剣の振りを瞬時に判断し避ける事が出来た。はずだったが……


「っ!?」


「クックッ。どうした?」


ポタポタ……


肩から血が滴り落ちる……

そんなはずはっ。確かに攻撃を避けたはずだが……


「なかなかいい回避だな。まあ俺の足元にも及ばないが」


少し口を歪めて笑う、その笑みは見ている者を凍りつかせるような冷笑だった。


(ソードスキル、エアロウェーブ)


「なんだそれ?」


(スキルの1つでさっきのは剣のスキルをつかったものです)


「剣でスキルが使えるのか?」


(これもある程度の訓練が必要になってきますが、それにしてもそれだけの怪我で済んで不幸中の幸いですよ。普通なら片腕が飛んでます)


「片腕が飛ぶって……おいおいまた死ぬのかよ」


(この様子では勝ち目はなさそうですが……)


「ですが…?なんだ?」


(少し誰かの気配を感じるのでこの気配が味方なのなら勝算はあります)


「すぐに来てくれないのか?」


(まだ少し距離が遠いですね。しかし敵なら最悪な状態になりますよ)


「んじゃ、味方だということを信じて何とかしのぐか」


「ほほぅ、テレパシーを使ってるな?随分暇を持て余してるみたいだな……」


何故分かったんだ?相手との距離は4、50m……

人じゃない=魔人となるこいつは視力・聴力共に抜群にいいのか


「グラヴィティストームインフィニティ」


そういって魔人は空中に紋章を描き始めたのだがこれは一体?


(・・・T結合!?逃げなさいブレイク、ここは私にまかせて)


急に大きな声を出され驚いたけどT結合ってなんだ?


「この間の防御魔法でどうにかならないのか?」


(ソーサリーフレクトは結合魔法を抑えることが出来ないのです)


「結合魔法?」


(そうです、結合魔法とは2つ以上の魔法を同時にかつ絡めて攻撃する魔法です。この間のではランクが低すぎます。)


「そうなのか?ギフェアさんが出した、あの魔法より強力とは、魔法はなんと恐ろしいものか……」


(ですから、逃げてください、私が食い止めますから)


「おいおい、それって、この魔法を食い止めて私も消えます的なあれだろ?」


(それしか手段は無いでしょう)


おいおいドラマじゃねぇんだしさぁそういうのは駄目だ。


「それは無理なお願いだな」


(なぜですか?そうしないと貴方まで巻き込まれますよ)


「いや~、ミヴィの顔、まだ見てないだろ?だからさぁ、なんか悔いが残るようなことは出来ないんだよな、だから死なせるわけにはいかないんだ」


俺自身はまだよくわからないけど不死身みたいなもんだ

そりゃ痛みは感じるけどミヴィが死んだらそれでおしまいだ。


(そんな理由でなぜ?このままじゃ……)


「……まぁ死ぬわな」


(なら……)


「特攻あるのみ!!」


(やめなさいっ!!)


「クククッ。いい度胸だな、死ねぇ!」


そう言うと片手を上げ紋章と共鳴し始めた


「久しぶりに楽しませてもらったよ」


「おりゃあああああ!!」


思いっきり剣を振り上げたが……


「――っ? くっ!? 邪魔が入ったな……」


そう言った奴の姿は急に消え、その剣は空を切っていた


「命拾いしたな。次に会うときまで精精楽しくな」


既に奴のいない空から聞こえてきたこの声は、静かなこの場所に響き渡った。


「ん?なんだか分からないけど助かったな……」


(そうですね、この感じは結界……そしてさっきのは魔人ギーヴァ王)


「ギーヴァ王って、王って言うぐらいだから魔人の中で一番偉いとか?」


(その通り。ギーヴァは魔界で魔族37564人の内の第一位)


「魔人ってそんなにいるのか……不吉な数字だし」


(正確には居るのではなく、居ましたという過去形です。今ではだいぶ数が減り427人になっています。しかし、魔人だからといってその427人全てが最強と言うことでもありません)


「あ、そうなんだ。それはよかった……ってよくないわっ!!そんな人たちが人間界に攻めてきたらどうするんだ?」


(まず、それはないでしょう。この世界の掟を決めているラウワールドセンター通称『RWS』これは魔術でできている掟でそう簡単には壊すことなんてできない。例えこの世界が粉々になろうとも。魔界書第2170条『魔人が人間界に入ることは決してあってはならない』というふうにも書かれているので)


え~~・・・思いっきり破ってるじゃん……アイツ


(そうなんです。RWSの監視は世界一小さい虫。ムニルの動きすら全て把握するぐらいの力を持っている筈なんですが……。しかし、考えられるとするならば……)


「魔人の気配を消した?」


(そうです。それなら十分考えられますが、そんなことをどうしたら……。このことはまた後で考えるとして、向かって来ていた人物のことですけど)


「そうそう、こっちに向かって来てる奴がどうとか言ってたよな?」


(しかし、その気配はもう無くなっています。ですがこれだけすごい結界を張るということはかなりの大魔術師ではないかと思います)


「そうだよな、あんな強い奴を蹴散らすほどなんだからな」


(まぁここらへん一帯もこの結界のおかげで、しばらく安全になるでしょう。怪我が無くてなりよりです。さぁ試験に挑みましょう)


「そうだった!完全に忘れてた!」


俺は急いでヴェセア城へと走っていった。





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