はじまりはここから
ある日少年は夢で目を覚ました。
「あれ、またこの場所?」
何度目だろう。あの空、この野原___。
僕は何度も同じ夢を見ている。
いいや同じ夢を見ているのではない。
違う夢で同じ場所に来ているのである。
彼の名は優。文字通り優しい人間である。
「前ここに来たのはいつだったかな?前と全く変わんないなぁ。」
まずは今までのことを説明しよう。
1度目に来たことは彼自身あまり記憶に残っていない。
何故ならそれが「初めて」だったからだ。
最初はこれが何度も訪れるとは考えていないのだ。
まあここに来たことくらいしか覚えていない。
2度目も同じようにここに来てとりあえず歩いてみたものの面白いものは見当たらずなんと夢の中でふて寝するという暴挙に出た。結果それを繰り返しその後も何も得られなかった。
しかし今回は違う。
何故なら…
「わーー!!!誰かいませんかーー?」
なんだかワクワクしているからである。
前回も前々回も誰にも出会わなかった優は今回こそ誰かもしくは何か面白いものと出会いたがっているのだ。
優は10歳になったばかり。年齢が2桁になり少しお兄さん気分になった。
「こうやって僕が同じ世界に何度も転送…?されているのにはなにか訳があるはずだ。そうだ、そうじゃないと変だよ。」
小さい少年が必死に思考を張り巡らせながら広い野原をゆっくりと下っていく。
さあ彼の冒険の「はじまりはここから」