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天地の円舞曲  作者: 成瀬くま
地界編 第二幕「暗躍する星」
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地界編6話「もう一つの異空間」

 二人も入るスペースの無い家だと思っていたが、二人は一緒に入ることが出来ていた。


「いてて、急に押すなよ!」


「ごめんごめん。どれだけ時間経っても入る気無さそうやったから」


「確かに入る気無かったけども...」


 急に押したことに対し、ミシェルはエイジに謝ったが、そんな事はどうでも良くなるような、目を疑うような光景がエイジの目の前に広がっていた。


「え?なんか、広くね?」


 外見からは推測する事が出来ない程の広さ。そこはまるで、ポセと一緒にいたあの空白の異空間の様であった。


「やから、見た目で判断したらあかんって言うたやろ?」


「いや、そんな次元の話じゃ無いだろ。外見だと人一人くらいしか入れないのに、実際これ無限に人入れるだろ。端まで見えてないから分からんけど、見えてないって事はそれだけ広いって事だろ」


 この家——別の意味で家だと言えなくなってしまったこの場所は、端が見えない。それだけでなく、天井も無い。言葉の通り次元の違う、異空間の様だ。


「実際ここは無限に広がっとうで。なんせここは、僕の作った四次元の異空間やからな。あ、褒めてくれてもえんやで?」


 異空間の様だと思ったら、本当に異空間であった。この様な四次元の空間は、現実に存在出来ない為、分かりきっていた事と言えば分かりきっていた事だが。


「流石に凄過ぎる。いや、でもミシェルの祝福(ギフト)でそんなの作れるのか?」


「ああ、さっきは外やったから言えんかったけど、僕のほんまの祝福(ギフト)——正確に言えば祝福(ギフト)ちゃうけど、『時間操作』じゃ無くて『時空操作』や。嘘ついてほんまごめんな~。あ、因みに『去来視』はほんまやで」


 『時空操作』。その祝福(ギフト)——正確に言えば祝福(ギフト)じゃ無いと言っていたが、それなら、この様な異空間を作る事が出来るかも知れない。

 だが、何故外だったら言えないのか。本当は祝福(ギフト)では無く何なのか。


「なんで外なら言えないんだ?正確に言えば祝福(ギフト)じゃなくて何なんだ?」


 質問攻めのような言動だが、エイジは疑問を晴らしたいだけだ。それはミシェルも承知しているだろう。


「それはやな...」


 ミシェルは、少し溜めてその問いに対する回答をしようとした——が。


「『時空操作』が、只の祝福(ギフト)じゃなくて、それの上位互換。神の寵愛(ディオギフト)やからや。神の寵愛(ディオギフト)の詳細は本来、神の寵愛(ディオギフト)を持ってん人に話したあかんのやけど、ここ見たいな異空間やったら話してもええっていう縛りがあんねん」


 想定外の回答がきた。神の寵愛(ディオギフト)。当然の如く、エイジは初めて耳にする言葉だ。地界に来て一時間も経っていないのに、ポセから聞いたことのない言葉が出てきた。


「その、神の寵愛(ディオギフト)はどうやって手に入れたんだ?」


 聞いて良いのか分からないが、エイジは気になった為、聞いてみることにした。


「それはまだ言えんな。時が満ちるまで待ってくれ」


 ミシェルは若干厨二病くさい発言をしたが、まあ何か深い訳があるのだろうとミシェルの発言の真意を理解し、もう一つ気になった事をミシェルに尋ねる。


「もし、その神の寵愛(ディオギフト)を持ってない人に言ったり、異空間以外の場所で話したらどうなるんだ?」


「そうなった場合は、『神の呪縛』によって、詳細を聞いた相手の存在がこの世から消えるんや。消えるっていうのは、死ぬのと違ってほんまに消えるで。おまけに、他の人の記憶からも消されるで」


 エイジは、もしもの事を訊いてみたが、中々に恐ろしい事が起きるようだ。特に、おまけの部分が恐ろし過ぎる。


「因みに、『神の呪縛』によって俺の存在が消えるって事は?」


「今の所は大丈夫や」


 今の所と、心配そうな言葉が聞こえてきたが、仕方なくエイジは今の状況を受け入れて、話を切り出す。


「今の所か。今の所じゃ無くて、一生大丈夫なように『神の呪縛』を解く方法はあるよな?」


「心配せんでも、あるから大丈夫やで。詳細は神の寵愛(ディオギフト)手に入れる方法と一緒にまた今度話すな。(ちょっと難しいかも知れんけど)」


 ミシェルは、最後の重要そうな部分だけ声を小さくして答えた。


「なんか不安なんだけど」


「ま、まあ、エイジなら大丈夫や!(た、多分)」


 またしても、ミシェルは最後の部分だけ声を小さくして答えた。

 それに対し、エイジは呆れ返ってため息を吐く。そして、話を変えようと、エイジはミシェルに尋ねる。


「ところで、俺をこの異空間に連れて来て、神の寵愛(ディオギフト)の説明までしたってことは、何か理由があってのことだろ?」


「やっぱりエイジは頭ええな~。察しが良くて、羨ましいわ」


 ミシェルはエイジを茶化すような発言をして、話を逸らすかのように思えた——が、違った。


「——ほんなら、本題に入ろか」


 先程までの空気が虚であったかのように、少し重い空気が異空間に漂う。ミシェルは何か重要な話を切り出そうとしていた。

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