はじまり
地球で一匹の猫と暮らしていた一人の女性が寿命を全うして穏やかに死んだら、なんか異世界転生しちゃってた!?初っぱなから、齢四歳にして森に捨てられてしまうという人生ハードモードの中、持ち前の楽観的考えを生かして、自分の好きなように人生を楽しもうとする話!
「今、この時を以て、ここに!
全民族が世界中の誰にも差別されることもなく!また、差別することもない!
海よりも深く山よりも大きな、暖かな愛情に溢れたやさしい国を建国すること
を記す!!!」
そう、一人の平凡な容姿をした女が声を大きく大きく張り上げると
ワアァァアアーーー!!!!!!!!!
と空気の震えるような、割れるような歓声に包まれた。
────これは、右も左も分からないような異世界に産まれてしまった、ある一人の女の人生を綴ったつまらない物語である。しかし、この物語は多くのこの世界の住人に影響を与えることになる────
「なんか普通に捨てられたんだが…………」
吾が輩は人である。名前はまだない。
地球という星の中にある、日本と呼ばれている島国に産まれた私は人並みの人生を送って、
独身であったため、たったひとりの家族である長年連れ添った猫と一緒に、穏やかに老衰で死んだはずだったが、
なぜか今、2度目の人生を歩んでいる。
もちろん不思議に思ったが、私は元々細かいことを気にしない性格だったので、そういうもんなんだろうと割りきっていた。自然の摂理自然の摂理。
そうして産まれて数年、ようやく言葉を理解できるようになり、喋ることもできる年齢になれたと無事に成長できて安心していたら、
いとも簡単に捨てられしまった…………
絶賛路頭に迷い中だ。やっぱり人間って油断したらいけないんだな。心に刻んでおくぜ。うん。ハハハ………。
まあ嘆いてもどうにもならんもんはどうにもならんからなぁ…。
さてさてどうやって生きていこうか。
前の人生でさんざん生きたからもう充分!……っとはならない。意外とね。
ババアはしぶといぜ!ハハハ!
今世はまだ四歳かそこらだろうけど。
私が捨てられてしまった理由は多分、私にスキルが無かったせいだろう。
まず、今持っているこの世界の情報を整理してみよう。
この世界には様々なヒト型の種族が暮らしている。これは大前提であり、そして地球と一番違うところだ。
主に有名所でいくと、長耳族や人魚、妖精族とかだろうか。
逆にマイナーというか、前世で聞き馴染みの無い種族もいた。
例えば、人形族や首無し族などだ。
簡単に説明すると、人形族なんかは名前の通りだな。誰かに作られた人形がまるで人間みたいに生きて、当たり前のように村を作って暮らしている。
その光景のなんと奇妙なことか。だからだろうか…人形族は名前に"族"とついている癖に、未だ生き物として認められていない。
彼らはまだモノ扱いだ。人が彼らを恐れこんな話まで流行るほどに。
前世でいう日本人形のような人形から、マネキンのような等身大の人形まで、色々な種類の人形がある日突然動き出して、どこかへ向かうように居なくなってしまう。
それが気になった一人の男が追いかけてみると、精巧な人形やガラクタのような人形の数々が人間のように村を作って暮らしている。さらに驚くことにまるで最初から"そう"であったかのように、自然と家族のように暮らしている。
そこからは、和気あいあいとした温かな家族の会話が聞こえてくるかのようである。だが、実際にはカタカタ、ギシギシと木が軋むような音が聞こえてくるだけで、間違っても会話など聞こえてこない。
それが余計にその光景の奇妙さを引き立てる。そして、その衝撃的な光景を目にした男は、あまりにもあり得ない景色に気をとられ、近づいていた一体、いや、一人の人形に気づけなかった。
人形が男の腕を引っ張って初めて、男はその存在に気づいた。
男は怯えたが、人形は優しく腕を引っ張るばかりで、こちらに危害を加えようとしている様子は微塵も感じない。
人形は、ついてきて、と言うように男の腕を優しく引っ張るだけである。男は一瞬考えたが、怖いもの見たさというか、よくない好奇心が顔を覗かせたばっかりに男はその誘いに乗ってしまった。
それが自分の首を締めることになるとは思いもよらずに───────
男が案内されたのは、その人形の家?と呼ぶべきだろう場所だった。
その中には、母親役だろうか。女性の体の人形が一体と、こちらは父親役なのだろう。男性の体をした人形がこれまた一体、寛いでいるという表現が正しいだろう。そんな様子で暮らしていた。
男の腕を引っ張っていた人形は子供役らしいことが、その時わかった。
2体の人形は男たちに気づくと、我が子を一目散に抱き締めた。そこに温度は感じられない。男はその光景に身震いしたが、意を決して声をかけた。
「あのっ!」
カタカタ、カタカタ
返事はない
「貴方たちはッ!」
カタカタ、ギシギシ
音はいっそう酷くなる
「!ッ貴方たちはッ、お前らは一体何なんッ、だ、?」
ガタガタガタガタ!!!
人形たちはさらに大きく音を立てる。
男はそこで、はたと気づく。音が大きすぎる、と。
自分の目の前にはたった三体の人形しかいないのに
男はそこで再度気づく、気づいてしまった。その音のほとんどが自分の後ろから聞こえてくることに
男は振り返ってしまった
そして見た
百を優に越えるであろう大小様々な人形たちが、人間ではあり得ない関節の動きをしながら
こちらを静かに見ていることに
その日、この世界から一人の男がいなくなり、一体の人形が増えていた。
こんな根拠の欠片もない、人形族に恐怖心を抱かせる為だけに存在するような話がこの世界の大多数のヒトガタ(この世界では人型の種族のことをまとめてこう呼ぶ)の人形族への共通認識である。
前世でも肌の色の違いや障害の有無などでの差別はあったが、多くの人はそれは有ってはならないものだと理解していた。
だがこの世界はどうだ?皆が皆、差別することを当たり前に享受している。こんな世界は間違っている!と、表だっていうことはしないが、やっぱり嫌な気持ちになるもので、これは慣れることはないし、慣れる必要もないだろう。
私は人間社会も結局、弱肉強食だと考えて何十年も生きてきたから、この世界の価値観や考え方についてあまり忌避感はない。
前世での差別にこの考え方を当てはめることはほぼほぼなかったけどな。障害は仕方のないことだし。それについてとやかく言えることはないだろう。
この世界の差別は、特に人形族は、見た目からもそうだが、どうやらあまり強くないことも差別されてしまう原因の一つらしい。
簡単にいえばナメられているから、こいつらなら反撃されても問題はない、こっちに被害がこないと思われてしまっているから、余計に歯止めが聞かなくなってしまう。
そして、ここが先程の話に私が否定的な理由である。人形族は弱い。それはもう、武器もなにも持たない生身の人間と同じく生身の人形族が戦ったとしたら絶対に人間が勝つと言えるぐらいに。
なら先程のようにわざわざ恐怖心を膨張させるような話をしなくてもよいのである。そもそも人形族は全種族の中でもかなり数が少ない方だ。
街中にいることなんてないし、少し森に入ったくらいじゃ出会うことはほとんどない。
だから、こんな話をするのは自分達が差別する方にいたいだけなのだろう。
差別することはダメだ。皆どこかで誰かの力を借りているのだから。
人形族に助けられた者も少なからずいるだろう。恩を返しても仇を返してはいけないというのは生きていく上で当たり前のことだ、と私は思う。
だが、いくら頑張って言葉を伝えても、私一人がどうこうした所でどうにかなる問題ではない。
つまり現実的な解決策としては人形族自体を強くして、まずはナメられないようにする。というのが今のところ最有力なんだが、ここで問題が発生する。
ずいぶん前に言った、私はスキルがないという問題だ!
正確にはスキルはあるがスキルはないのである。
なんか理解しがたい文章になってしまったが、これには歴とした訳がある。
始めに、遅くなったがこの世界の説明をしようと思う。
まずこの星の名前は繝?Ν繧ケだ。
良い名前だろう?
地球と違う最大の点は主に2つ!
一つ目はたくさんの種族がいて、摩訶不思議な動物がいること。
二つ目は全ての生き物がスキルを持っていること。
しかも、身体能力と精神能力という二種類の、スキルと呼ばれるものがあることである。
これまで私が言っていたスキルは精神能力の方だ。なぜ"スキル"とどちらにも当てはまるややこしい言い方をしていたかというと、この世界で重宝されるのは精神能力の方だからだ。
身体能力の方はどれもこれも似たり寄ったりなものばかりで、いまいちパッとしないので、あまり重要視されていないみたいだ。
そして最初に言った、
私はスキルはあるがスキルはないのであるという文章を正確にすると
私は身体能力はあるが精神能力はないのである
という文章になる。これで分かっていただけたと思うが、私はあろうことか重要視されているスピの方がなかったのである。
あっ、因みにこれから身体能力をフィジと、精神能力をスピと略させていただく。長いからな。
話を戻して、片方のスキルがないことがあるのかと疑問に思うだろうが、端的にいえばまぁまぁある。
例えばスピが"全ての系統の魔法が使える"というようなとても強いものだと、フィジが無くても充分生きていけるので無いし、逆もまたしかり。
少し違うかもしれないが、片方のスキルがあまりにも弱すぎて、有って無いようなものとか、可哀想なことも稀におきる。
私はどっちかというとフィジが強すぎてスピが無いという例に当てはまる。
じゃあどうして捨てられたのかと思うだろうが、これは実に簡単で、
フィジが弱いからである。
さっきと矛盾していると思うかも知れんが、考えようによっては強いけど、考えようによっては弱いみたいな曖昧なスキルだからあながち間違っちゃいないのである。悲しい。前世合わせて八十ウン歳ショックを受けました。
「う~ん、これから本当にどうしよう」
「『身体能力:寿命無限』かぁ~」
似たような話はありませんでしたか?もしあった場合は教えてもらえるとありがたいです。
こんなの初めて見たという方は、楽しめていただけたなら幸いです。これからも気ままに投稿していけたら嬉しいです。
全然話進まなくてごめんなさい。これからも多分こんな感じになってしまうと思いますが、
何卒よろしくお願いいたします。
文章書くの楽しい!




