【配信】『決闘、月夜の光』(前編)
「みなさん、こんばんは。柚月八代です。今日はなんとあのSランク内ランク探索者の『月夜の光』の方々に来てもらいました」
“こんばんはー”
“今日の八代たんはかわいいな”
“八代ちゃんだ!”
“まさかのコラボ!?”
“タイトルが不穏だな”
“きっと平和的にワンパンだ”
僕たちと向かい合うように『月夜の光』の三人が並ぶ。
「僕はリーダーの如月伊月だ」
「俺は後衛担当の伊藤水樹」
「私は姫乃二葉」
三人とも緊張しているのか、言葉が少なかった。
“あれっ、緊張してる?”
“月夜の光の方がベテランなのに”
“おまいら、最凶の魔物たちが隣にいてみろ。どう思う?”
“逃げる!”
“だよなw”
「今回は公平を期すために審判には探索者協会の人に来てもらいました。僕の専属の天瀬さんです!」
「あ、天瀬です。よ、よろしくおねがいします……」
“1番の被害者だw”
“この前ご褒美に改築してもらってただろ”
“むしろ詫びだな”
“休日返上かw”
「ちなみに今回は僕もあまり出ません。その……景品なので」
“景品草”
“俺も出たいぞ!”
“一瞬で消されるぞw”
「ということで早速戦う順番を決めていきましょう」
それぞれに順番が書かれたボールを取っていってもらう。
『月夜の光』側
如月:1
伊藤:3
姫乃:2
『ダンジョン』側
ミィちゃん:1
ティナ:2
ルシル:3
「それじゃあ早速第一試合……は放置して第二試合から行ってみましょうか」
“ミィちゃんは別格だよなw”
“さすがに単独で勝てるやつはいないよなw”
“消化試合か”
“お前ら、賭けしようぜ。俺はミィちゃん様に賭けるぜ”
“俺もミィちゃん様だ”
“ミィちゃんだな”
“賭けにならないじゃないかw”
「ちょっと待て! これから僕の見せ場なのになんで飛ばすんだよ!?」
「えっ、やるのですか?」
「当たり前だろ?」
「その……、天瀬さん。ミィちゃんもやる気みたいだから……」
ぐるぐると腕を回してやる気をアピールするミィちゃん。
「よし、いつでも来ると良いのだ!」
「こんなちっこいドラゴンに負けてたまるか!」
“あっ、死んだな”
“月夜の光にリーダーなんていなかった”
“殺る気のミィちゃんと戦いたくないな”
“はい、つぎつぎ”
“ティナちゃんと姫乃か。意外と良い勝負しそう?”
“可愛く見えてもティナちゃん、Sランク上位だぞ?”
“あっ、ダメだw”
「仕方ないですね。では死なない程度によろしくお願いしますね」
天瀬さんのその言葉で試合が始まる。
剣を抜く如月さん。
その瞬間にミィちゃんの拳が如月さんを襲おう。
「うおっと」
紙一重でそれを躱す如月さん。
頬には一筋の血の痕がついていた。
“マジか!?”
“やっぱトップ探索者なだけはあるんだな”
“日本だと一二を争うらしいよな”
“知らなかった”
“そもそも知名度ないのはなんでだ?”
“本人の性格じゃないか?”
“配信、最後まで見ていられなかったよなw”
「嘘っ、あれ躱せるんだ……」
僕の目には突然ミィちゃんが如月さんの隣に移動したように見えた。
それほどの速度が出ていたにもかかわらず如月さんが躱していたことに驚きの声を上げてしまった。
「言葉が少々残念だけど、やっぱりSランクは別格ですね。人を辞めてる動きでした」
「本当にSランク探索者だったのですね」
“草”
“何気に八代たんがひどいw”
“残念な言葉をもろに浴びたんだろうな”
「面白いのだ。少しスピードを上げるのだ!」
しかし、一回は運良く躱せたもののミィちゃんからしたら挨拶代わりの軽いジャブだったようでそれから次第に速度が上がっていき、そして――。
「ぐはっ!!」
ついに当たってしまった如月さんはそのまま壁まで吹き飛ばされ、更に壁すらめり込みながら倒されていた。
“あぁ、やっぱり負けた”
“でもかなり健闘したな”
“Sランクの威厳は見せたな”
“人ってあそこまで強くなれるんだな”
「勝ったのだ!!」
ミィちゃんは嬉しそうにVサインをしていた。
「思ってた通りの結果でしたね」
「意外とミィちゃんさんの攻撃を耐えてたのは驚きでした」
「それはありますね」
好き勝手言われている如月さん。
今ティナによって回復が行われていた。
“相変わらずとんでもない回復だな”
“国がなにか言ってきそうw”
“下手に触れるとその国ごと滅ぼされるぞw”
「さて、気を取り直して第一試合を行いますj」
「さっきのは前哨戦ってことですね」
「えぇ、これからが本当の勝負です。次は姫野さんとティナちゃんの対戦です!」
「ティナちゃんのおうち作る動画見たよ。すごかったよね。うちの時もよろしくね」
「あっ、ありがとうなの。頑張るの」
“なんだろう、ほのぼのするな”
“女の子同士だからじゃないか?”
“ここから血で血を洗う戦闘が……。”
“瞬殺じゃね?”
“だなw”
向かい合う二人。
ティナがかなり小柄なのでその身長差は相当なものになっていた。
「一応みんなに見てもらってるから本気で行くよ」
「ティナもお兄ちゃんのために頑張るの」
何だろう。さっきの戦いと違って安心して見てられる気がする。
ただそれが気のせいだったことはすぐに気づくことになった。
「では、開始!」
その言葉の瞬間に木の蔓が姫野さんに巻き付いて身動きを封じてしまう。
“一瞬w”
“エロいなw”
“ミィちゃんが頭おかしいだけで他の魔物たちもやばいんだよなw”
「ま、参ったわ」
「勝負あり! 勝者、ティナちゃん!!」
ティナは嬉しそうに僕に飛びついてくる。
「お兄ちゃん、ティナ勝ったの!」
「うん、よく頑張ったね」
僕はティナの頭を撫でてあげる。
“癒やされる”
“このために見に来た”
“もう決着か”
“開始十分だなw”
「えっと、これで勝負は付いちゃったけど、一応第三戦もするってことでいいのかな?」
「ルシル、どうする?」
「私は主様のご命令のままに」
「えっと、伊藤さん? はどうしますか?」
「このまま負けたままだと動画的にもいまいちだろう? 俺がその悪魔を倒して終わらせようぜ」
「二人ともやる気のようですね。それなら最後は三ポイントということにしたらどうでしょうか?」
「いいですね。ではそれで第三回戦いきましょう!」
“まさかの最終決戦w”
“人類の存亡はルシルの手に”
“いや、逆だろ?”
“でもあの月夜の光に任せられるか?”
“無理だなw”
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