第二話 初めてのスキル
王との会話が終わった後、兵士に連れられ武器庫のような所に集められた。
最後列の人が入り終わった。そして連れてきた兵士の一人が。
「君たちはここに来たときにスキルを獲得していると思う。皆『ステータス』と唱えれば、自分のスキルやスキルポイントが分かる。まあ、やってみてくれ」
言われた通りに『ステータス』と唱えると・・・視界の中に板が出てきた。
板に書いてある中のスキル欄という所を見た。
書いてある内容はユニークスキル『現夢』だけ。『現夢』の説明欄。
・短時間だが対象に夢(幻覚)を見させることができる、また夢(幻覚)を現実として押し付けることも可能。その場合、対象の効果は長続きする。しかし対象との長時間短距離にいるか接触が必要。夢(幻覚)の内容は使用者が設定でき途中で変更させることも可能。
なんかショボくない?他の皆は、『一刀』やら『煉獄』など、明らかに物理攻撃や魔法攻撃の名前だ。しかし俺だけ精神攻撃?直接殴りに行った方がいいと思う。
「樹!お前はどうだった?俺は『救世主』だったぜ」
「俺は『現m・・・、お前さっき何て言いった?」
「聞こえなかったのか。もう一回言うからな。俺が取得したのは『救世主』だ」
何となくだけど、これ翔が魔王を倒す感じじゃないですか。
スキル無しで異世界に放り込まれるよりは、マシだけど・・・なったことはしょうがないか。
「皆、自分のスキルが分かったな?ここには大量の武器や防具がある。自分に合う装備を選べ!」
俺は一体何を手に取れば良いんだ?他の皆はロングソードや弓、それに杖。俺は職業がよくわからん。とりあえず自衛できればいい、ちょうど視界の中に短剣があった、全員手に武器を持っているので、取る人なんていないだろう。
そう考えて武器を取ると・・・何これ、重い。短剣ってこんなに重いのかよ。でも振り回せはないことはない。これより、重い物を持ってる奴らどうなってるんだ!?
短剣を手に取って先に行ってしまった、仲間と合流した。
次は訓練場に連れられた。ここには藁でできた的があり、鎧を着ていた。
「君たちには今から、ここで自分のスキルを理解し、有効的な使い方を考えてくれ、君たちだって、死にたくはないだろうし、私たちだって死なれては困る。しかし戦場で最終的に自分を守るのは自分だ。一応、私たちも護衛を回しておくが、もしものことがあるからね」
有効的な使い方と言われても・・・幻覚を見させることは相手を封じることができるけど、アンチスキルとか効果がない敵にあったらおしまい、だし俺の武器は短剣一本。図体がデカくて暴れられたら、吹っ飛ばされて終わり。有効的な使い方なんてねえよ・・・いや幻覚で目や感覚を狂わせた後、接触して、幻覚を変えて現実にする。これならいけるか。他には・・・回復に使えるか?腕とかが欠損したら、腕とかが元に戻ってる夢を見せて、現実にする。以外に使い道あるな。問題は効果がない相手、そういう奴からは逃げるか・・・他のやつなら、さっさとやっつけれるだろう。
しかし訓練場には、感情がある的なんていない。俺の憶測だが、『現夢』は感情がないと作動しないと思う。感情がなかったら、幻覚なんて意味がないからな。
皆、武器なんて初めて触るから、いろいろと考えているようだが全く、鎧を破壊出来ていなかった。兵士の方々がレクチャーして、やっとできていた。流石は本職の人だ。しかし短剣を持っている兵士なんて誰一人いない。誰からどう教えてもらえればいいんだ・・・そうだ!この国だって暗殺者ぐらい、いるだろう。そいつらから短剣の使い方を教えてもらえばいいんだ!
俺は一番偉そうな、兵士の方へ行った。
「すみません、暗殺者に短剣の扱い方を教えてもらいたいのですが」
「ああ、我が国の暗殺者は魔王軍の行動を監視するために全員取り払っていてね。残念ながら今はいないよ」
マジかよ、なんでこんな時に・・・いやこんな時だからこそか、俺たちがこうやって戦場で戦えるようにしないといけない間、防衛するのはこの国の兵士だから、少しでも有利になるよう、動向を探っておくのがセオリーか。
「そうでしたか、ありがとうございます」
「すまないね、でも短剣はあまり魔物に対して効果がないと思うよ。倒せるとしたら、自分より体格が小さい相手、かな。他の奴は倒せないことはないと思うけど、難しいと思う」
確かに、短剣はリーチが短いし重さも・・・これはあるか。だけど重くたって、威力はそこそこだと思う。しかしこの剣は、厚さがあるので折れにくいと思う、でも刃の反対側にある、峰の凹凸はなんだろうか?
ふと、翔や修三の方を見ると・・・
「『聖剣』!!からの上段斬り」
「初弾発射・・・着弾、貫通。『収束』」
ふたりとも鎧をバラバラにしたり、的だったものが丸まっている。半数以上の人が的を壊している。
これ、勇者というか破壊兵器だろ・・・
一応、戦術は決め、全員決めたらしい。
「よし!これで戦場には行けるな。しかしもう日が暮れている、出発は明日だ。今日は腹いっぱい飯を食い、ぐっすり寝ろ!以上だ」
直ぐに食堂に連れられて、晩飯を取った。そういえば昼飯を食べていなかったな。と思いつつ、黙々とご飯を食べていた。味はまあまあ良かった。
そのあと、風呂に入り、提供された城の中の部屋の一角でぐっすり熟睡した。
異世界も悪くはないかもしれん。
一応、野分・樹が持っている、短剣はソードブレイカーというものです。説明すると剣を折るために作られた剣です。一応刺すために先端は尖っています。持っているのは折れないように厚つく、重さが短剣じゃなくなっています。(まあそれでも一キロぐらいだけど)
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