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なろうラジオ大賞2 • 3 • 4 • 5 • 6参加作品

下手だと思ってた鉛筆画に自信が持てた日


私は鉛筆で似顔絵を描くのが好き。


幼い頃からお絵描きは好きだった、母子家庭なので家で1人留守番してる時なんかクーパーで絵を描きまくってた。


下手くそな絵だったけど。


小学生の高学年になった頃、近所に住む私を可愛がってくれて遊んでくれたお姉さんの家で鉛筆画の似顔絵を描くユーチューバーの動画を見せて貰ってから、鉛筆で描く似顔絵の虜になる。


鉛筆の濃淡だけで描く白黒写真のような絵。


中学生の頃までは下手ってのもあって、学校で仲の良い友達や先生を描かせて貰ってた。


でも高校生になってからは下手っぴだけど勇気を振り絞って近所の公園に行き、公園にいる人たちを描かせて貰う。


もちろん下手の横好きだからお金なんて貰えない。


でも似顔絵を描きモデルになってくれた人たちに渡すと皆がお世辞だと思うけど、「上手いなぁー白黒写真みたいだ」と言いながら喜んでくれて、缶コーヒーやお菓子をお礼だよって手渡される。


今日も公園で似顔絵を描かせて貰おうと公園に向けて歩いていたら、後ろから声がした。


「この子だよ、この子。


あんたのお父さんの似顔絵を描いてくれたのはこの子だよ」


え? ってなって振り向いたら、以前モデルになってくれたお婆さんと目を真っ赤に泣き腫らした男の人が立っていた。


男の人は私の手を握り「ありがとう、ありがとう」と何度も感謝の言葉を続ける。


事情が分からず首を傾げていたらお婆さんが説明してくれた。


先々週の土曜日似顔絵のモデルになってくれたお爺さんの家が先週火事になり、その時お爺さんも亡くなられてしまう。


遠方に住む息子さんが葬式を執り行なおうとした時、家にあったアルバムなどが全て焼けてしまい遺影にする写真が無い事に気がつく。


近所の人の所にあった、3〜40年前に町内会の旅行で撮られた写真を使うしかないかと悩んでいた息子さんの所に、私が描いたお爺さんの似顔絵が届けられる。


火事になった日の前日お爺さんは通院している病院で、私の描いた似顔絵をお医者さまと看護師さんそれに他の患者さんたちに見せびらかしていたのだが、お爺さんはその似顔絵を病院に置き忘れてしまった。


お爺さんが火事で亡くなったと知らず、看護師さんがお爺さんの家に届けてくれたそうだ。


白黒写真に写された写真にしか見え無い似顔絵を、遺影に使う事が出来た事に対するお礼なんだよ、と。


それを聞いて私は、下手だと思っていた自分の描く鉛筆画に自信が持てるようになれた。








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― 新着の感想 ―
[良い点] 物語は優しい雰囲気のする、よいお話だなぁと思いました。全ての焼失だけでなく、写真さえも撮っていなかったことにご遺族はご自身を責めたかもしれないと思いました。きっと、鉛筆画の存在でご遺族の心…
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