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相手は年上の彼
結婚の口約束をした時、既に娘ではありませんでした。海千山千の私は経験者でした。うぶに見えたわけです。うぶに見えただけです。
その実、十代の時から、私は阿婆擦れでした。清楚可憐な生娘に見えたのでしょう。その実、悪魔的な経験を重ねた悪魔的な女でした。
私の相手は年上の彼氏。ずっと年上の男性。はるかに年上。七十年も年上の彼氏と付き合っていました。おまけに、彼は長いこと死んでいました。墓に葬られて久しい彼でした。そう。私は死人を恋人に持っていたのです。死霊と付き合い、関係を結び、エッチを楽しんでいました。
そのような私が地方名士のぼんぼんと「婚約」したのです。うまく行くはずがありません。壊れるに決まっている話でした。