表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今度は悪意から逃げますね!  作者: れもんぴーる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/39

聖女の誤算

 少ないとは言えない事故や自然災害は起こった。しかし、アリス達の働きにより、前回に比べて多くの災害を未然に防ぐことができていたため、人的にも資材、資金的にも今回は余裕をもって対応することができていた。

 1年ほど混乱が続いたが、次第に災害発生が減少し、少しづつ復旧が進んでいった。


 落ち着いたころ、被災地で救助・救援に携わった者たちへの慰労会が王宮で開催された。そこには騎士、兵士、魔術師、平民まで招かれていた。そして、隣国の教会使節団も滅私の精神で他国の民を援助したとして招かれていたが、話題は女神様一色でエレンたちが特別扱いされることはなかった。


 慰労会で女神の正体が判明し、その姿を見ることができると期待して参加した人々は落胆した。

 女神さまは姿を現さなかった。実際に女神さまと顔を合わせ、奇跡を目の当たりにした数少ない人々は、皆に囲まれ鼻高々にその時の奇跡を語った。

 女神さまと関係深いと思われるシルヴェストル公爵は慰労会には参加しておらず、女神の御使いと目されているイリークも同様に不参加だった。


「ほう、これが隣国の酒か。何とも言えん香りがするな。」

 エレンたちは王に謁見し、隣国の酒や食物を献上した。それは慰労会に参加している皆にもふるまわれた。

「こたびは、我がルーナ国に対する支援感謝する。」

「とんでもございません。当然のことです。」

 ですが・・・とエレナは声を潜めた。

「陛下、お話ししたいことがございます。お時間いただけないでしょうか。」

 横を見ると宰相が横に首をふる。隣国のものが滅私で援助してくれたとはいえ、それは当国の魔術師でも賄えた範囲である。感謝はするが、それを王家と縁を結ぶ材料にされると困る。何とかして王家とお近づきになろうとする者も多いのだ。


「国家に関わる重要なお話です。」

「ふ~む。ところで、そなたは女神と呼ばれている少女を知っているか?」

「いえ、噂を耳にしたことはございますが…」

「彼女はエルと名乗っているようだが、そなたの名前と似ているな。偶然か?」

「もちろんでございます。なぜそのような?」

「エル殿のことは何もわからぬのだ、ふっと現れて奇跡を起こして去っていくと。その噂があるところにそなたが現れた。そなたが女神だというものいれば、口さがないものがエル殿のふりをしようとしているのではないかという者もおってな。いやいや、そんなことはないと分かっておる。心配無用じゃ。」

 エレンたち使節団の表情が曇ったのを見て王は笑い飛ばした。

「まことに心外でございます。」

「わかっておる。直ちに対処しておく。今は時間がない、後で使いをやるのでそこで話を聞こう」

 まだ王へ挨拶しようと待つものが大勢いる。後で別に謁見する機会を得て、エレンたちは下がった。


「どういうこと?」

 エレンは使節団の神官たちに思わずごちた。

「私がエルとかいう女を騙るですって?!」


 何もかもうまくいっていない。ルーナ国を混乱に陥れるための呪いは倍以上仕込んだはずなのに、発現したのは半分程度だ。混乱が小規模だったためエレンたち使節団の価値が高まることがなかった。おまけに、女神と崇められる女の存在。エレンの治癒能力はその陰に隠れてしまった。

 おかげで王室へ近づくのに時間がかかった。この国を思いのまま操るにはもっと信用を得て、懐に入り込む必要がある。

「噂ではまだ少女らしいですね。聖獣の申し子とはその子ではないですか?」

「ええ、おそらく。でもどこのだれかわからないらしいわ。国王でさえ把握していない様子・・・何とかしなくては。」


 慈悲深いと称された美しい顔は見にくくゆがんでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ