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バルゴ討伐戦

 魔獣バルゴは、裏切った自らの息子を少しの間見つめていた。

 

 まだ何か考える真っ当な意識が残っているのだろうか。

 しかし、私が地面からバルゴを見上げると、彼もさっきまでの狂暴性を取り戻し、


「ゴァァァァァッ!!!」


 巨大魔獣にふさわしい咆哮を放つ。


 これは推測だが、バルゴにとっても、ここまでの巨大化やモンスター化は予想外だったのではないかと思う。


 鉱石液の大量摂取がどういう結果を引き起こすのか。それを知っていたら、もっと量を調整するなり、手を打っていただろう。


 ここまで化け物と化してしまえば、ベルドロールの悲願も何もない気がした。

 私が不必要に追い詰めてしまったことも、原因の一端だったかもしれない。


 エルバルク家の私がベルドロールの屋敷を訪れた時点で、バルゴは手段を選ばず、悲願を果たす決意をしていたのだろう。


 そして今、彼は巨大なモンスターとなって、この国の中枢である王城を破壊しようとしている。


「バルゴ、私はあなたを倒す。そうしてあなたを怨念の呪縛から救うわ」


 腐っても、ベルドロール家はこの国の発展を担う大貴族だった。こんな状況など、本当は誰も望んでいないに違いない。


 だが、もう暴走を止められる当主はいない。

 だから、私が倒して止めるしかないのだ。


 遠くの空から、鳴き声が聞こえた。

 魔獣バルゴは王城よりも先に、私を排除するべきだと判断したのか、大きな爪を振り下ろす。


 しかし、それが到達する寸前で、私はその場を離れ空中へと舞い上がった。

 バルゴの爪は地面をえぐり、ものすごい砂埃が舞う。


「おかえり、ビッグ!」


「きゅるる!!」


 私を拾って背中に乗せ、上空へ飛び上がったのはビッグだった。

 タルクにやられたエルバルク家の護衛を治療施設に送ってから、合流しにきてくれたのだろう。


 正直、ビッグの存在は助かった。バルゴの巨体と戦うためには、空中を自由に移動できた方が有利だろう。


 しかし、いったいどこから攻撃すればいいものか。

 あまりの巨体に、私は悩んでしまう。


 普通の攻撃では、魔力によって強化されたバルゴにそこまで効かないような予感がある。


 もう少し何か足掛かりがあれば……。


 私がそう思った時だった。

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