予想外の援軍
「ナニヲシテル……!! オマエタチは城へ突入シロ!!」
バルゴは足元で変わりゆく主人の成り行きを見守っていた魔法鎧兵たちに指示を出す。
そして、ようやく動き出した魔法鎧兵たちは破壊された城壁跡から城内になだれこもうとする。
「くっ、このままじゃ……!」
魔獣バルゴに遅れを取るとは思っていない。
だが、確実に時間が必要だ。
すでに魔力汚染によって、様々な魔法的強化がなされ、バルゴは一撃で倒せるような生物ではなくなっている。その間に、兵たちが城内に侵入してしまったら、今どこかに姿を隠しているはずの王族たちを守れない。
しかし、今のバルゴを放置しておけば、城ごとなくなってしまうだろう。
どうすればいい……?
私が焦る中。
「……父上は嘘つきだ」
強い憎悪のこもった言葉とともに、魔法鎧兵たちの前に人影が現れる。
「タルク……?」
敵の前に立ち塞がったのは、タルク・ベルドロール。
ベルドロール家の魔法戦力強化の一環として生み出された人工的な『魔法使い』。
私との戦闘のダメージは魔法で治癒したのか、タルクは元の姿で杖を振りかざす。
「僕はどうやら最強の魔法使いじゃなくて、ただの使い捨ての実験道具だったみたいだね。なら、もうそんな家なんていらない。ベルドロールは今から僕の敵だ」
「タルク、心を入れ替えたの!?」
私は驚いて叫ぶが、
「違う!! 赤フード、お前のことはもっと嫌いだ! お前さえいなければ、僕は今、こんな場所に立っていなかったはずだから」
タルクはそれを強く否定した。
「それは……」
「でも、物事には優先順位がある。早く復讐しないと、ベルドロールの人間は赤フードに全て倒されてしまいそうだからね。だから、まずは、魔法鎧兵を一人残らず倒す」
壊された城壁の前に立ち、中に誰一人入れないとばかりにタルクは両腕を広げる。
「正直、父上を直接倒すことは僕には難しい。その役目は赤フード、お前にくれてやるよ。その間、僕がここで妨害を続ければ、父上の目論みは崩壊する。それで僕の復讐は完了だ」
そうして、魔法使いタルクは数十人の魔法鎧兵を相手に戦闘態勢に入る。
「かかってこいよ、雑魚ども。ひどくプライドを傷つけられた僕だけどーーそれでもまだ、この城下町で二番目に強い『魔法使い』だぞ」




