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大貴族の当主

 お父様は魔法鎧兵三人を相手に戦闘態勢を取る。

 だが、魔法鎧兵は剣を構えて叫ぶ。


「素手のお前に何ができる!!」


 そして、剣を振り上げて斬り下ろすーーだが、血が流れることはなく、魔法鎧兵は動揺しているようだった。


 無理もない。

 振り下ろされた剣、お父様はそれを指一つでそれを受け止めていたのだから。


 お父様の保有するスキル『一点強化?』は発動することで、身体の一点を一時的にとても強化することができる。


 お父様が使う武術との相性がよく、攻撃・防御ともに効果的に使用することが可能だ。


 ……というのも、実は当然のことだった。


 お父様は幼い頃に『一点強化』のスキル適正が出たことから、それを最大限に活かせる武術を探し、その結果、遠い異国まで足を運んで修行したのだという。


 自分が持てる数少ないスキルの特徴に合わせて、自らの肉体を鍛える人間は少なくない。

 

 が、貴族の人間がそこまですることはあまりない例だった。

 大貴族エルバルクの当主になるという自覚がお父様にあったからこそ、あそこまで戦闘に慣れた人物になったのだと思う。


 事実として、目の前でその努力の成果が出ていることからも、私の想像は間違っていないだろう。


 お父様は三人の魔法鎧兵が次々に振る剣を全て避け、受け止めて、隙をついてカウンターの拳を入れる。しかし、やはり魔法鎧の防御効果は強力なようで傷をつけることはできていない。

 

 このままでは決着がつかない。

 お父様の表情が次第に苦々しいものに変わっていく。


 もうそろそろ助けに入ってもいいだろう。

 お父様はあまり表に出さないが、意外とプライドが高いところもある。


 だから、あまり敵の人数も多くないこともあって、わたしは少しの間見守っていたのだが、これ以上は不毛だ。


 赤フードの冒険者として、エルバルク家の当主、セイリス・エルバルクを助けにいこう。

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