敵の思惑
私は王城方面に走りながら、バルゴが最終的に何を狙っているのかを考えていた。
こんな風に自暴自棄に町を襲ったところで、ベルドロール家は破滅するだけだ。
だが、敵の集結場所から考えると、ひとつだけ方法があることに気づいた。
あの巨大な魔獣の身体で王城を破壊し、王族を殺してしまえばーー恐怖による国民の支配も可能かもしれない。
もちろん、そんな状態が長く続くとは思えないが、追い詰められたバルゴが取ることのできた選択は、そのくらいだったのだろう。
だから、バルゴや私兵たちの目標は王城の破壊と王族の打倒。
夢のような話だが、バルゴの魔獣化と魔法鎧兵によって、現に敵は目標に向かって進行している。
つくづく、ここに透明化石粒みたいな兵器が採用されていなくてよかったと思う。
ここで騎士や冒険者たちを片っ端から透明にされていたら、本当に一方的な負けもありえた。
だが、その最悪の状況は私が止めた。
そして、この騒動自体も止めてみせる。
そんな時だ。
私は足を止めた。自宅へと分岐する道に差し掛かったのだ。
『痕跡探知』のスキルに、魔法鎧兵の足跡が引っ掛かる。複数の兵がエルバルクの屋敷に向かったようだ。
「お父様……!」
まだ、バルゴたちは騎士たちに足止めされているだろう。
その間に、一瞬でエルバルクを狙う敵を排除する。
私は進行方向を変え、エルバルクの屋敷へと向かった。




