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アルレアの剣撃

 スキル『騎士剣の奇跡』の内容は『筋力向上Ⅴ』、『俊敏性向上Ⅴ』、『防御向上Ⅴ』、『魔法耐性Ⅴ』、『剣技威力向上Ⅴ』を同時に発動させるもの。


 それはスキル枠が五つしかない他の騎士から見れば、とても強力だろう。


 だが実のところ、私から見るとあまり意味のないスキルでもあった。

 私はすでにそれらのスキルを限界突破させたものを、全て取得している。


 たとえば『筋力向上Ⅹ』、『俊敏性向上Ⅹ』といったように。


 しかもアルレアのようにスキルを毎回発動する必要もなく、パッシブで常に発動している。

 そのことからも、この世界において、スキルを無限に持てるアドバンテージの大きさは知れるだろう。


「うぉぉぉぉ!!!」


 アルレアは正面から紫獣人に斬りかかった。振り下ろした剣の一撃目は相手の爪に弾かれたが、二撃目は腹を浅く斬る。


 彼の連撃は止まらない。さすがは騎士団長。

 日頃の鍛練によって、元の身体を鍛えているためか、スキルによるパラメーター向上の恩恵も大きいようだ。


 紫獣人の殺意のこもった爪がアルレアを狙う。しかし、アルレアは一般人ならば目で追えないほどの速さで回避し、すぐにカウンターで攻撃を繰り出した。


 私は『動体視力強化Ⅹ』を取得しているため、アルレアの素早い動きを見失うことはなかったが、対面している紫獣人は明らかに困惑していた。


 ――このままなら、アルレアが一方的に勝って終わりだろう。


 だが、私は妙な違和感を覚えた。


 本当にこれで終わるなら、そもそも外部の助けなど必要ないだろう。

 王国騎士団員たちで十分制圧できたはずだ。


 うーん? と私が首を捻ったとき、その答えをわざわざ教えてくれるかのように、


「ウガァァァァァ!!」

「ウガァァァァァ!?」

「ウガァァァァァッ!」


 似たような叫び声がいくつも同時に、洞窟の最深部のそのさらに奥へと伸びている細い道から聞こえてきた。


 現れたのは、新しい三体の紫獣人。

 それを見て、戦闘中のアルレアの顔色が変わった。


 私を呼んだということは、最初から突然変異モンスターが複数体いる可能性をアルレアは想定していたのかもしれない。だが、ここで一斉に現れるのは予想外だったみたいだ。


 アルレアは紫獣人一体を相手にするだけでかなりきつそうだった。

 ここは――。


「やっと私の出番ね」


 私は小さく呟いて、三体の紫獣人の前に立つ。


「赤フード! さすがの君でも突然変異したモンスター三体を同時に相手をするなんてーー」


「アルレアは目の前の敵に集中して」


 心配してくれるのは嬉しいが、今は戦いの最中だ。


 私はアルレアを無視して剣を構える。


「さぁ、かかってきなさい。紫獣人たち!」

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