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貴族の流儀

 城下町で襲ってきた男を脅して聞き出した情報をまとめるとこうだ。


 私を誘拐するように依頼をしてきたのは、ベルドロール家を名乗る黒装束の男だった。

 町の酒場でくすぶっていた男たちは、即金で渡された事前報酬に踊らされ、私を捕まえにきたということらしい。


 ベルドロール家としても、私が異様に強いのは誤算だったのだろう。

 だから、酒場の男たちを安く買い叩いて使った。


 エルバルク家の一番の弱そうな部分から突き崩そうとしたのだろうが、その思惑は見事に失敗した。


 私を捕まえるなら、遠い土地にすむドラゴンを数頭ほど連れてきて、完璧に調教するくらいの意気込みは見せてほしい。もっとも、そこまでするのなら、ドラゴンたちにエルバルクの屋敷を直接襲わせた方が効率的だと思うけれど。


 私は情報を聞き出したあと『錯覚』と『催眠』のスキルを使用し、全ては酒に酔って見た夢の話だと認識させることにした。


 ベルドロール家の人間が再度接触してきたら思い出すかもしれないが、そもそも、明らかに様子がおかしくなった男たちに黒装束はもう近づかないだろう。


 下手に接近して、敵の罠にかかることを恐れるはずだ。これでなんとか私の正体はバレないで済むはずだ。


 しかし、実際に相手が動き出した以上、こちらも手を打たなければならない。

 だが、何も力で解決する必要はない。


 私たちは貴族だ。


 貴族には貴族の流儀がある。


 私は冒険者と貴族の身分を使い分けて戦うことができる。

 しかも、貴族の分野であれば、友人たちの家も助けてくれるだろう。


 ベルドロール家が何を考えているかは知らないが、王国一の貴族、エルバルク家に手を出したことを後悔することになるだろう。

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