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グラズ家の悪事

「……誰?」


 私は警戒して振り返る。そこには三人の男。


 全員が特殊な装飾が施された鎧を着ていて、手には採掘道具を持っている。


「この鉱石を堀りに来たわけ? かなり危ないからやめといた方がいいよ」


 すると、男たちは大きな声で笑った。


「知ってるよ、んなこと。だから、俺たちは姿を消されねえように、防御用の魔法鎧を着てるんだ」


 その言葉を聞いて、目の前の男たちが何者かを悟る。


「あなたたち、グラズ家に雇われた人間ね」


「お見事、正解だ。その透明化鉱石はお前の言うとおり、かなりやばい代物だが、魔法アイテムを作る時、いい材料になるんだ。魔力たっぷりだからな」


 ――グラズ家。


 それは魔法工業を独占している大貴族の名前だった。

 私が使っている追尾魔法照明もグラズ家傘下の魔法工場の製品だ。


「やっぱり、このダンジョン買い取った方がいいんじゃないっすかね? こうやって迷い込んできた冒険者が透明になる事故が結構起きてますし」


「バカ野郎。グラズ家の当主はケチで有名なんだよ。その辺の冒険者が透明な姿になっちまったって、関係ねえって。声も聞こえなくなるみたいだし、口封じする必要もなくて楽でいいじゃねえか」


 男たちの会話を聞いて、私は憤る。


「グラズ家はここに危険な鉱石があることを知っていて、何も対処してこなかったのね……それでこのダンジョンに潜った何も知らない冒険者たちが透明化の被害にあった」


 だが、私の指摘を上回る答えが返ってきた。


「お前、変異した鉱石がこれだけだと思ってんのか? ちげえよ、このダンジョンの中には大量の変異鉱石がある。お前はたまたまその一つを見つけただけだ」


 そう言われて気づく。

 私はモンスターの足跡を辿って、この鉱石を見つけたが……。


 今まで普通の鉱石だと思って、いくつもの鉱石を特に調べずに通過していた。

 もし、その中にもたくさんの変異鉱石があったのだとしたら。


 このダンジョンは、私が思っているよりも何倍も危険な場所ということになる。

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