表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/102

脱出

「な、なぜお前が『服従』のスキルを使えるんだ……っ!」


 使用人は明らかに狼狽していた。

 私は淡々と言葉を返す。


「私が『服従』のスキルを使えないなんて、一言も言った覚えはないけど」


 正直、『服従』はあまり好きなスキルではない。

 現に、今までも使おうと思ったことはなかった。


 紋章を刻み込むため、至近距離まで接近するのが難しいということもあるが、そもそも他人を無理矢理支配するのは、あまり良くないことだと思っている。


 だが、現実ではどんなことが起こるかわからない。

 取得可能なスキルは全て取っておくという方針が、今回は役に立った。


 私は使用人が自らの犯行を認めた後、こっそりと『スキル解除』を使用して、化け物鳥に刻まれた使用人の『服従』を解除していた。


 その時に念のため、私の『服従』の紋章を刻んでおいたのだ。

 使用人の力の底が読めなかったため、一応の保険だった。


 もちろん事件が終われば、すぐに化け物鳥にかけた『服従』は解除してあげるつもりだったのだが。

 

 結果として、その保険は見事に効果を発揮した。


 私は『スキル発動禁止』の牢屋に入れられたが、化け物鳥は外にいたため、その効力を受けなかった。化け物鳥にはあらかじめ「自分に何かあったら助けてほしい」という指示だけを与えていた。


 そのため、牢獄に閉じ込められた私に気づいた化け物鳥が敵を蹴散らして、ここまで来てくれたのだ。




 化け物鳥は使用人の仲間を全て倒し、私たちの牢屋の前まで到達した。

 そうして、使用人と対峙する。


「クソ! 私があれだけ使ってやったというのに、飼い主に牙を剥くのか!!」


「今のあなたは、その鳥にとってはもう支配者でもなんでもない。ただの敵の一人よ」


「ク、クソ!!」


 すると、使用人は思わぬ行動に出た。

 仲間の男たちや、私たちのことを放り出して、自分だけ一目散に逃げ出したのだ。


 あまりの逃げ足の早さに、化け物鳥が攻撃を加える暇もなかったようだ。


「化け物鳥……っていうのも、呼び方として酷いわね。アルメダ、このモンスターの種族名を知ってる?」


「これは、ビッグウィングと呼ばれる種ですわ。普段は温厚な性格をしていますが、その体格の大きさから、怖がられることも多いモンスターです」


「なるほど……じゃあ、あなたは今から『ビッグ』ね」


 そう名づけると、ビッグは嬉しそうに鳴いた。


「ビッグ、悪いんだけど、この鉄柵を破壊してもらえるかな」


 私がお願いすると、ビッグは強力な蹴りの一撃で鉄柵に穴を開ける。


「いくら温厚な性格といっても、これだけ強かったら、みんなから怖がられても仕方ないような……」


 そんなことを呟きながら、私は逃げた使用人を追うため、牢屋から出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ