表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/102

地下の秘密施設へ

「へ?」


 今まで真剣だったエルスの顔が、私の言葉を聞いてぽかんとなった。

 うん、そのくらいの自然な表情の方が絶対に可愛い。


 エルスはまだ16歳なのに、その高い能力から研究所を任され、それからは淡々とした表情しかしなくなった。


「それじゃ、始める」


「ちょ、ちょっと待ってください! 穴を空けるっていったいどうやってーー」


 しばらく取得スキル一覧を脳内で確認し、最適なスキルを探す。ここはどうやら『床貫通Ⅹ』のスキルが良さそうだ。


 ……ピンポイント過ぎて、使ったことがない。おそらく、巷でも取得する人間は稀だろうと思う。


 しかし、取得はされないものの、特定の場面においては非常に強力なスキルというのは山ほど存在する。そういうものが有効活用されないのはもったいないと思う。


 私はスキル『床貫通Ⅹ』を発動した。

 すると、私が持っていた剣が茶色に輝く。色もずいぶんとマイナーな感じだ。


 だが、効果は絶大だった。


 私は刃を地面に向ける形で、両手で剣を握り、そのまま、剣を地面に突き立てた。

 柔らかい感触。とても床に向けて振り下ろしたものとは思えない。


 見ると、剣は床を見事に貫通していた。布でも斬っているかのような容易さだ。


「あなた、そんなマイナースキルを取得しているの……?」


 エルスは戸惑ったように言った。

 私はもう少し慎重にやるべきだった、と若干後悔する。エルスはスキル研究をしていることもあり、かなり詳しい。


 だとすれば、『床貫通』のスキルを知っていてもおかしくなかった。


 仕方ない。ここはさっさと仕事をしてごまかすしかない。

 そう思って、私は返事をせず、そのまま剣に刺さった剣を持ったまま、エルスごと囲う形でぐるりと一周。


 そうすれば何が起こるかと言えば……切り離された床が抜ける。


「きゃあああああっ!!」


 エルスの叫び声。

 そうして、私とエルスは地下へと真っ逆さまに落ちたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ