表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/102

スキル研究所

 最近はやたらと知り合い関係の依頼が続いている。

 だが、ギルドの受付のお姉さんにああも頼み込まれてしまっては断るに断れなかった。


 ギルドは仲介手数料で利益を出している以上、高額の依頼を手放すわけがない。あのまま、受付のお姉さんの頼みをかわし続けても、時間を無駄にするだけだっただろう。


 それにスキル研究所を狙う何者かの正体は私も気になっている。




 そんなわけで、依頼を正式に受注した私はカンガード家が所有するスキル研究所に出向いていた。


「あなたが噂の赤フードの冒険者さまですね。どうぞこちらへ」


 大きな鉄門の前に立つ二人の警備兵に、依頼のことを伝えると、スムーズに敷地内へと通された。


 研究所はレンガ造りの巨大な建物だ。

 しかし、本当に危険な研究ーーあまり使用された記録データのないレアスキルの効果を試したり、人工的にレベルを上げた試験スキルの効果を測定する時には、地下を使うらしい。


 カンガード家のスキル研究所が持つ一番の研究功績は、スキルレベルの人工的な強化だ。


 いつもスキル名の後ろについているⅠ~Ⅴ(私の場合は最大Ⅹ)の数字がスキルレベルであり、スキルの効果の強さを表している。


 スキルレベルはスキルの使用によって、自然に通常限界のⅤまで上昇することもあれば、本人の適正に応じて早めに上昇限界がやってくることもある。どれだけ頑張っても、Ⅲあたりでスキルレベルの上昇が止まってしまうケースがそれだ。


 だが、近年のカンガード家の研究によって、人工的にそのレベルを上げられるという事実が発見された。


 かなり希少かつ高価な魔力鉱石を使用するため、一般人がスキルレベルをひとつ上げるのには、一ヶ月分以上の賃金が必要だと言われている。


 カンガード家はこの技術を独占し、外部秘としているため、魔力鉱石の販売とスキルレベルアップの施術で、莫大な利益を得ているらしい。


 そのスキルレベルアップに関する情報こそ、盗賊団が狙っているものだろう。


 研究所の中に通されると、そこには一人の少女がいた。小さな背丈に見慣れた、表情の変化の少ない顔。


 だが、彼女は私の正体には気づかない。


 彼女は挨拶をする。


「こんにちは、赤フードの冒険者。私はこの研究所の研究統括をしているエルス・カンガードと申します」


 そうやって、優雅に頭を下げた彼女からは、さっきお茶会で一緒に飲んだ紅茶の匂いがした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 『そうやって、優雅に頭を下げた彼女からは、さっきお茶会で一緒に飲んだ紅茶の匂いがした。』 この話はお茶会の翌日なので齟齬…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ