表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/102

新しい依頼

 定例のお茶会は終了し、アルメダとエルスは帰っていった。私はリンと二人で、大きな庭を眺めながら一息ついていた。


「リン。嫌だったら、別に来なくても大丈夫なのよ? 私がきちんとみんなとの関係は保ってあげるから」


「えへへ。ありがとう。でもそういうわけにはいかないよ。私も一応は貴族の娘、家の利益になるためにできることはしなくちゃ」


 悪口を言われても、リンは気にしない素振りをする。だが、心の中では傷ついているのが、私には手に取るようにわかった。


 これはスキルの効果じゃない。幼馴染みとしての勘だ。


「アルメダとエルス、どっちも根は悪い子じゃないんだけどね」


「うん、私もそう思うよ」


 リンは強く同意するように頷く。

 彼女の優しさがもっとみんなに広く知られればいいのにと私は思う。


「そう言えば、キリナは聞いた? エルスさんの家のスキル研究所のこと」


「カンガード家のスキル研究所? それがどうかしたの?」


「なんかね、最近、誰かが研究所の周辺を調べている痕跡があるんだって。研究データを盗もうとしている盗賊団の仕業じゃないか、って言われてるの」


「へえ……だから今日はエルス、余計にピリピリしてたのか」


「え? エルス、ピリピリしてた? いつも通りに見えたけど」


「あ、えっと……何となくそう思っただけよ」


『敵意把握』のスキルでわかったなどと言えるわけもないので、そうやってごまかす。


「それにしても盗賊団、ね。あり得ない話じゃないけど……よくそんな話知ってたわね」


 私がそう聞くと、リンは少し誇らしげに胸を張った。


「城下町では話題になってるんだよ! わたしが町を歩いていた時に、知り合いのお店の人が教えてくれたの。貴族の間にはまだ広まってないみたいだけど、時間の問題だと思う」


「城下町の話題はやっぱりリンが一番強いかぁ。そういう強み、今後もっと生かせるといいね」


「うん!」


 そうして、私とリンは別れた。




 翌日、赤フードを被った私が冒険者ギルドを訪れると、受付のお姉さんが飛んできた。


「あ、赤フードさんっ! ちょうどよかった!」


「どうしたの、落ち着いて」


「カンガード家が所有するスキル研究所から、赤フードさんをご指名の依頼が届いたんです!」


 嫌な予感がした。


「どんな内容?」


 そう聞くと、受付のお姉さんは答える。


「盗賊団から研究所を守る警備任務だそうです! この依頼なんといってもですね、報酬金がすごいんですよ!!! 受けてくださいーーー!!! ギルドのためにもっ!」


 受付のお姉さんの必死さに押し負ける。


 はぁ、と私は息をついて、詳細を聞くことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ