別世界
「い、いきなり何を言い出すんだよ…
べ、別世界の住人?どういう意味だよ?」
「ご、ごめんね…いきなり話したら誰だって困惑するよね…」
なぜ一人の女性にコクって失敗した後に、前にコクって失敗した女性にいきなり会ったと思えば、
意味がわからないことをきかなければならないのか…
本当に理不尽だったが今の俺には失恋のダメージでそんなことを変だと思うことはなかった。
「私は昔…この世界とは違う…別世界にいたんだよ…」
シオンが前にいた世界では、貧富の差によって富裕層と貧困層が対立し、毎日のようにデモは行われ、それを止めさせようとする政府の軍隊とぶつかり、死者も多数でているほど酷い世界だったと言う。
そんないつ命が失くなるかわからない世界は危険だと判断しこの世界に家族と一緒に逃げてきたらしい。
この世界に辿り着くと、なぜか知らない家のなかに着き、戸籍もありお金も一般家庭並みの分はあった。
親の仕事も決まられており、シオンは中学生ということになった。
そして、シオンの家族たちに平和な毎日が訪れた。
あんないつ死んでもおかしくない世界からいきなり命が脅かされることの無い、平和な町で暮らしているからだ。
そんなときに告白したのはこの俺。
まぁ、この世界の住人に愛されたのは初めてだったので、シオン自身はなにも「まだそういうことはわからない」と言っていたが、
実際のところ嬉しかったらしい。
「それでね?古谷くんに伝えたいことがあって…」
何か伝えること……?
シオンは自分の手をギューッと握りしめた。
「三年も待たせてごめん…古谷くん…
私もあなたのことが好きです…」
後ろの方で夕焼けが今まさにピークを迎えている。
誰にも邪魔されることがないこの景色をやっと見ることが出来た。
でも…本当にこれでいいのだろうか…
シオンの火照った顔見るたびを彼女の顔を思い出す。
「俺からも言わせてほしい…」
「…なに?」
「俺は…まだ君とは付き合えない…」
「…え?」
「だって俺は…君のことを…少ししか知らない…」
俺は人生で初めて自分を好きな人を振った。
自分が好きだった人を振った。
これで良かったのか…
今の俺にはわからない。
「…そうだよね…」
シオンはうつむいた。
しかしすぐに顔を上げた。
「…それなら!!
今日から私のことを知ってほしい…!」
シオンは俺に抱きついてきた。
俺はシオンがなぜここまで俺を必要とするのか…
まだわからない…




