あなたは
「ねぇねぇ!」
シンヤと話しているとクラスメイトのマナが話しかけてきた。
「昨日坂の上にある公園にいたのって古谷くん?」
「あ、うん、そうだよ!
毎日家からあそこまで走って夕日見るんだ」
「そうなんだ!あそこの夕日とーってもきれいだよね!」
「でしょでしょ?」
マナは少し考え込んだ。
「そうだ!今度一緒に見に行かない?」
「あー…いいよ!!」
「オッケー!楽しみだなー!!」
そしてマナは友達の元へ話しかけに行った。
すると、シンヤは驚き話しかけてきた。
「お前…マナさんとはどういう関係なの!?」
「ただのクラスメイトだよ?」
「いやいやいや、あのスポーツ万能のスクールカースト最高にいるあの、マナさんがお前と夕日を見に行くって…おかしいだろ!」
「そうかなぁ…」
別に異性だからとかどうでも良かった。
ただ用事が出来て暇な毎日が変わってくれるのならそれもそれでいいような気がしたのだ。
「ホームルーム始めるぞー」
担任が入ってくるとシンヤとの話をやめて前を向いた。
そして六時間の授業を終えてシンヤと帰ろうとしたが、あいにくシンヤは部活らしく、帰ることが出来なかったため一人で玄関に向かった。
すると、玄関で一人でいたマナが俺の方を向いて手を振ってきた。
「待ってたよー!早く夕日見に行こー!」
そうだった。
彼女と約束していたのだった…
そして彼女と夕日を見た。
久しぶりに感動してしまった。
この夕日を俺以外の人と分かち合うことが出来たからだ。
それからマナが部活のない日は一緒に夕日を見た。
そして彼女のことを知り、俺のことも彼女に知ってもらい、
少しずつだが仲良くなっていった。
「ねぇー古谷くん?」
「なに?」
「古谷くんのしたのなまえでよんでもいいかな?」
「全然いいよ、!」
「じゃあ…マサ!」
そしてマナとはカップルのような関係になり、学校でもたくさん話したり、放課後は一緒に帰ったりもした。
彼女の笑顔を見るたびに心がギューンとなるのは何度もあった。
「なぁ?お前…マナといつ付き合うんだ?」
「…うーんまだ告白できてはいないな…」
「早くこくっちゃえよ!」
「…だよな!じゃあ今日…告ってみよう!」
そして二人で夕日をまた見に行った。
今日はいつもよりも緊張しているせいか心臓の鼓動が早い。
「今日もきれいだねー」
「…そうだね…」
「?…なんか今日はいつも以上に元気ないね…
何かあった?」
「い、いや?」
すると、マナが俺に近づいてきた。
「なんか言いたいことあるでしょ!」
(勘が鋭い…)
「お、おう」
「じゃあ早くいってよ!」
さらにマナは近寄ってきた。
「…マナ!」
「なに?いきなり大声だして…」
「俺は…俺は…」
人生で二度目の告白…出来るのだろうか…
いや、もう言うと決めたことを今さらやめるつもりは…ない!!
「マナのことが好きだ!!」
「…」
マナは頬を赤らめた…
「ま、マナ?」
「ごめん!」
「…へ?」
「わ、私彼氏いるから…気持ちは嬉しいんだけどね?」
「そ、そうか…」
(急すぎたー…!!マナの恋愛事情とかちゃんと聞いとけば良かった…)
「ご、ごめん!今日はもう暗いし先に帰るね?」
「お、おう、じゃあまた学校でな」
そしてマナは手を振って帰っていった。
俺は膝から崩れ落ちた。
恥ずかしすぎる。
彼氏がいる?そんなこと早く言ってくれよ…
何で、もう少し慎重にならなかったんだよ…
「これで…君の人生で二度目の失恋だね」
後ろから声が聞こえてきたので振り返ると、そこには見覚えのある顔がいた。