はーむし、羽虫。羽虫はきょーも飛んでゆく。
とんで〜あ〜くれっど〜♪
きょーも、
金色のきれいな薄い羽ひろげて、
とんで〜あ〜くれっど〜♪
とんで〜あ〜くれっど〜♪
とんで〜あ〜くれっど〜♪
とんで…。
アレ?
アークレッド通りすぎちゃった。
「あら?ベル?どうしたの?」
大国リオンの王宮の中庭で、
大国リオンの可愛いお姫様。
じつは腹黒お姫様。
もどった羽虫に不思議そう。
腹黒だけど、優しいお姫様。
すぐに、気づいた、お姫様。
ため息ひとつ。
「もう真夜中よ?アークレッドは、どこも灯きえてるから、通りすぎちゃったんでしょ?」
だから、さっき、止めたのにとため息もうひとつ。
「乾草はふかふかにしてるから、あきらめておやすみなさいな」
王宮の中庭にでーん、とある小屋。
羽虫小屋。
「ウィル王子様も明日朝にしかベルがいないことに気がつかないと思うし、朝一番に帰ればいいでしょ?」
言われた言葉に地味に凹む羽虫。
羽虫の主人、羽虫いないの気づいてないのか。
落ち込み、羽虫。
目からポロポロ、竜の涙がおちていく。
ドスン、ドスン、と中庭に。
(あした、アークとレッドに売り込みしないといけないわね)
実は羽虫の涙を大商人からたのまれたお姫様。
羽虫の主人をこっそりと、羽虫の小屋にねかしてる。
藁のベッドくーかくーか、寝てる主人。
見つけた羽虫は大興奮。
炎吹き出し、藁を燃やしかけ、慌てて、吹雪で消化する。
一匹でワタワタしていたら、ふわーっ、と可愛いあくびのお姫様。
ゴソゴソ主人の粗末な藁ベッドに潜り込む。
「おやすみなさい、ベル」
ほどなく眠ったお姫様。
羽虫…ゴールドドラゴンのベルも眠ります。
ちゃっかり、婚約者と寝ようとしたお姫様は、こわ〜い顔した女官長に、連れさられたけど、
ペットに意地悪ダメです、だって。
眠りながら、羽虫は考えた。
ゴールドドラゴンの俺、ペットなの?
 




