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32 来ないと思ったでしょ?来るんだなぁ……ビーム

 城からの帰り道。途中で商店街に寄って、師匠用の食材と砂糖を多めに買って帰った。

 次の薬草園に行く日は本当は明後日なんだけれど、薬草園のお家が完成する日が明日だから一日早めて行く事にした。完成した家を早く見たいという私の勝手な都合だ。


 買い物を終えてお店を開けて、客足が落ち着いてきたところでルビス様がやってきた。


「こんにちは、ヴィリアさん。」

「こんにちはルビス様。どうされたんですか?」


 むくみの解消に何か問題でも起きたのだろうかと聞くと、全然関係ない話が振られた。


「今日、魔王様のところに行ったのは本当ですの?」

「……はぁ。」

「まぁ!本当ですのね!まぁ!まぁ!」


 あまりにもむくみと関係ない事と、今朝の事がルビス様に知られている事に驚いて思わず生返事になってしまった。


 そんな私にはお構いなしに、ルビス様は一人で盛り上がっている。一体何がそんなに盛り上がる要素になっているのか……。


「レイさんにお願いがあって行ったのですが、忙しくていなかったので代わりに魔王様が対応してくださったんです。」

「……まぁ、まぁ!そうなんですのね!レイ様の代わりと言ってわざわざ会って下さったのですわね!」


 ……なんか噛み合っていない気がする。


「あの魔王様が女性に会われるなんて……これはあれですわね!」

「……あれ?」

「うふふふふふふ……。」


 一体なんなのか……。はっきり言ってくれないところに何か企みを感じる……。


「ルビス様は何故、私がお城に行った事を知っているんですか?」

「それはですわね、今日はわたくし王城の書庫に用事がありましたのよ。それで用事を済ませていたら、セニャスが教えてくれたのですわ。」

「セニャスさんが……。」


 セニャスさんなら、いるだけでお城の中の情報を全て把握しそうだ……。何せ、重鎮でホープな執事なのだから。よく分からないけれど。


「うふふふ……。あら、わたくしったらセニャスに聞いて、思わずヴィリアさんのお店に突撃してしまいましたわ!」

「いえまぁ……今は忙しくなかったので、来ていただくのは構いませんが、あれって……。」

「では、わたくし今日はこれで失礼しますわね!今度、わたくしの家に是非来てくださいませ!招待状をお出ししますわ!おほほほ!」

「え、あの、あれって……行ってしまった。」


 最初にあった時にも結構な強引さがあったけれど、今回の突撃もなかなかな勢いだった。

 結局、私が魔王様に会った事を確認して帰っていくという謎行動だった。


 ……家に来てって言っていたけれど……何をしに?招待状?何故だろう……寒気が……。



 その後はいつも通り、なんの問題もなく閉店時間になった。


 二階に上がって、師匠用のご飯を作って今日のやる事は終了。

 薬草園の家に冷蔵魔庫も設置してもらおう。そうしたらもう少し食料を置いておけるだろう。


 薬草園の水を出す魔道具がどのくらい持つのかもう一度確認しないといけないな……。四日以上持てば、その分私が行く日にちも減るし。なんだかんだで四日周期でここまで来てしまったけれど、そろそろ見直そう。


 そんな事を考えながら、眠りについた。



 次の日、早くに家を出て、薬草園に向かう。


 いつもの如く、テントがリズムよく蠢いている。師匠はまだ夢の中のようだ。

 今日完成予定の家は、全体にシートがかけられていて見えないけれど、家の前の空間は見えるようになっていた。


 白い石で組まれた小さな花壇があり、すでにいくつかの花が植えられている。

 入り口へは階段を上る形なのだろうか、少しだけ足場が見えていた。その足場はこげ茶色で、花壇の白色が目立って花達に目がいくように出来ているのだろうと思われる。


 家の横手には井戸も掘られている。魔王様が気遣ってくれたのだろうか。これなら師匠は干からびない。私が来れない日があったとして数日は生きていられるだろう。

 ……ご飯は一切作れないので、結局持っても数日なのが残念なところだ。


 家の周りを見ていると、いつの間にか頭を隠しながらペコペコしている責任者さんが来ていた。

 良かった。今日はレーザーを受けなくて済むようだ。


 目覚ましレーザーがない代わりに、僭越ながら私が師匠を叩き起こさせてもらいましょう。


「師匠、そろそろ起きて下さい。今日はお家の完成日なんですよ。」

「うにゃ……。」

「うにゃとか気持ち悪いです。師匠ほら、さっさと起きる!」

「うぐっ!いっ!いたい!いたい!え?ヴィリア!?起きます起きますー!」


 なんとか師匠を起こし、大工さん達が揃ったところでお披露目となった。


「んだらば、ごらんくだせぇ!」

「わーい!」


 責任者さんの合図で取り払われるシート。


 そこには、立派な……とても立派な二階建てのログハウスがあった。


「すごーい!大きいねー!」

「そうですね。村の師匠の家の三倍はありそうですね。」

「三倍は言い過……うーん、三倍あるかもー!」

「喜んでいただけたようで、ようござんした。」


 焦げ茶色の大きく立派なログハウス。丸太を隙間なく綺麗に組み上げて作られている。

 正面には一階と二階にベランダがあり、一階のベランダには横になれるベンチも置かれている。日を浴びながらゆっくり出来そうだ。二階は洗濯物を干すのに良さそう。


「中もよくみてくだせぇ。何か直して欲しい箇所がありやしたら遠慮無く言ってくださいねぇ。」

「わーい!ヴィリア!早く見に行こう!早く!」

「師匠、落ち着いて……。」


 子供のようにはしゃぐ師匠。家の中へと突進していきそうな勢いを服を掴んで抑える。

 まぁ、私も早く見たいのでそこまで力任せにはしないけれど。


 ログハウスに入ってすぐは広い空間で、リビングになっていた。ベランダの窓が大きいので、光が入ってとても明るい。部屋の奥にはキッチンがあり、冷蔵魔庫もちゃんと設置されていた。

 更にドアが二つあって、そちらはトイレとお風呂場になっているようだった。

 水回りには魔道具が付いていて、スイッチでオンオフを切り替えられるようだった。私の魔力を込めておけば師匠も使えるようだ。村の家よりも確実に生活しやすくなっているだろう。


 二階には部屋が二つ。

 どちらも寝室になっていて、すでにベッドが設置されている。師匠がベッドの上で飛び跳ねて喜んでいた。若干涙がちょちょぎれている。


「最近ずっと固い地面の上だったから……うぅーー嬉しいよぉーー!」

「綺麗に使って下さいよ、師匠。」

「うん!大事に使う!」


 すでに外の生活で汚れた服を着たままベッドに横になっているのだけれど……これは言った方がいいのだろうか?後で洗濯させればいいか……。


 二階にもトイレが設置してあって、一人で暮らすには十分すぎるというか、大きすぎるくらいだった。


 ログハウスを見終わって外へ出ると、責任者さんが待っていた。


 ……あ。もしかして今?



 ピカーーーーー!


 ……ぐっ!


「なんか輝かしいー!?」

「ああ!すんません!すんません!今日は油断しないと決めてたんですがーー!」

「びっくりしたー!新築祝いに光らせる風習があるのかな?って思ったんだけど、違ったんだねー。」


 師匠は何故そんなに余裕そうなのか……。謎だ。


 責任者さんには直して欲しいところなどないという報告と、こんなに早く建ててくれたことに感謝をした。

 お礼として私の作った湿布類と、ドリンクを人数分渡すと、とても喜んでくれた。


 大工さん達が帰った後、魔道具に魔力を込め、食料を冷蔵魔庫に入れ、師匠には綺麗に使うように再三注意した。


 ……きっと無駄だろうけれど……。



 木の家に戻って、店を開店させると、ドアの前で待っていたのかと思うほどすぐに客が来店した。


「ごめんくだしゃいー。」

「ここが新しく出来たという薬師の店かいのー?」

「ほっほぅ、なかなか綺麗な造りの店じゃー。」


 三人のご老人だ。

 ヨボヨボとした動きで、忙しなく店の中を見回している。


「……いらっしゃいませ。」

「にゃんとまぁ、若いじょうしゃんやー。」

「お嬢さんが薬を作っとるんかいのー?」

「ほっほぅ、お店と同じく綺麗な嬢さんじゃー。」


 ニコニコニコニコ……。

 ヨボヨボでニコニコした老人三人は、私に詰め寄って来た。


 ……詰め寄るときの動きは全然ヨボヨボしてなかった。


「しょうだんがあるんよー。」

「相談、聞いてくれるかいのー?」

「ほっほう、わしら三人、同じ悩み持ちなんじゃー。」


 ……とりあえず、話を聞くことにしよう。

いろいろ書きたいものを書いていたら、患者さん来るところまでしか書けなかった……。

次は生活習慣病?編です。

三人のご老人の口調を変えるのしんど……笑

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