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短編集

増え続ける同居者。

作者: 杉崎アリス

 始まりはほんの数日前。

 私はワンルームの小さなアパートに住んでいるのですが、そのお部屋に小さな居候が現れました。

 その名も、アダンソン君。

 アダンソンハエトリグモという家蜘蛛で、益虫の類なので、私は放置しておくことに決めました。


 二日間。私とアダンソン君の同居は、とても穏やかに続きました。

 しかし、三日目の朝から、どうも姿を見ることが無くなってしまいました。

 名前を付けたとはいえ、そこまで愛着が湧いてはいなかったので、

(外にでも逃げたのかしら? )

 と軽く考えただけで、私は直ぐに彼の存在を隅へと押しやりました。


 その翌日に、また別の蜘蛛が現れました。

 今度はアダンソン君よりも大きな(恐らく同じ種の雌)蜘蛛でした。

 二度目は流石に慣れてしまい、名付けることはせず、けれど追い出すこともしませんでした。


 その行動が、あのおぞましい事件を起こしたのです。

 ちょうど昨晩の出来事です。

 最新話の執筆をしていた私は、目の端に蠢く何かを捉えました。

 反射的にそちらへと目を向けると、その何かの正体を知ることが出来ました。

 それは家蜘蛛の子供でした。


 考えてみてください。

 数日前に見かけた蜘蛛は雄のハエトリグモ。

 その次に出会ったのは雌のハエトリグモ。

 そして昨日、私の前に現れたのは、子供のハエトリグモ。

 つまり、あの雌雄はこの部屋のどこかで子供を授かったということではないでしょうか。


 二匹とか三匹なら良いんです。

 益虫ですから、寧ろ有難い存在なのですし。

 けれど、それが何十匹もいたら?

 そしてそれがベッドの下なんかに住んでいたら?

 寝ている間に彼らが私の体を這いずり回っているのではないかと思うと、私は恐ろしくておちおち寝ることすらできません。


 今も尚、彼らは部屋のどこかに潜み、入ってきた害虫を駆除してくれていることでしょう。

 どうかどうか、彼らを間違えて踏み潰すことがないように、今日もビクビクとしつつ過ごしております。

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