表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

例の如く何も考えていません……

既になんでこうなったかよくわからないという。

流れにまかせて書く予定。

主人公より作者が流されている。


12/04

菁 犬兎様から頂いた絵がとてもイメージぴったりなので、扉絵に使わせて頂きました。

菁 犬兎様、ありがとうございました!!

挿絵(By みてみん)



──マイペースだ、と人は言う。私のことを。



『マイペース』……全く意味のわからない言葉だ。

他人に合わせてみたところで所詮は他人だろう。

自分を動かしているのは自分だけだ。


もっとも実際使用されるこの言葉に含まれるものはペースなんぞではない。


大概の場合、揶揄。


だから私はこの言葉が嫌いだ。




──ガタン、ゴトン


線路の通る高架下……そこに私の職場はある。


日本の電車は世界一優れているという。

ストで停止したりしないし、安全で、なにもなければほぼダイヤを守った時刻に発着する。


この音を煩わしく思う人もいるけれど、私は好きだ。

私の日々のルーティーンなんかよりも、しっかりしているモノを守っている誰かの勤勉さを思うと……なんだか頑張れる気がして。




「……まだ残ってたの?」

「課長……」


終わらない書類整理。

こういった地味で面倒な仕事を片付けるのは、いつの間にか私の役回りになっていた。

グループに属そうとしない私への軽い嫌がらせのつもりなのだろうが、何故ああも余裕でいれるのだろうか不思議だ。


──こういうことは想定しないのだろうか、と。


そんな金曜日の夜。

時刻は19時を少し回っている。


「これ、君の担当じゃないよね?」

「ええ……まぁ……」




最近業績悪化及び、コンプライアンスにより残業とサービス残業に厳しくなった。同時に職場の人間の馴れ合い的な癒着にも。


想定するのが当然だろうに、残業をしないからわからないのだろうか。

頭が悪すぎる。勤務態度も悪いが。


私は人畜無害そうな、地味で大人しそうな顔をしている。

こういう場合それは有利に働くのだ。


「……申し訳ありません。 なかなか断るのが難しくて……」

「いや、君は良くやってくれている……付けてないんだろ? 残業。 もうそれは放っておきなさい。 月曜中にやらせればいい」


そう言うと課長は私を優しく諭し、今後このようなことがないようにすると約束してくれた。


ただし、実のところは全て想定通りに事が運ばれたに過ぎない。

だって彼女らと違い、私は想定済みだったのだから。


「断るのが難しい」と課長には言ったが、実は今まで上手いこと理由をつけては断っていた。

その一方で『金曜日なら空いている』ことを匂わせておいたら、アッサリ引っ掛かった。ちょろい。

よもや私が課長の予定と行動をチェックし、こうなることを予測していたなんて露程も思わず、仕事を溜め込んで渡してくるという阿呆共。

私にこんな風に見られていることも、まるでわかっちゃいないのだろう。


(ああ、馬鹿馬鹿しい)


──ガタン、ゴトン


替わりのきく、私の仕事。

馬鹿馬鹿しいのは私も同じだ。

こんな馬鹿げたことに労力を割いている。




「よう」


着替えて入口に行くと、何故か課長が待っていた。


「お疲れ」

「お疲れ様です……」


どうでもイイ人達の中で、彼だけは違う匂いがしている。

……なんというか、怖い。


課長は本社から派遣されてきた人間だ。業務の見直しがメインの仕事で、同時に監査と立て直しも行っているという。

……下っぱOLの私はよく知らないが、給湯室でくちさがない子等が話していたのを耳にしたことがある。

だからこそうってつけの人間だった訳だが、積極的に関わりたいとは思っていない。


「食事、まだだろ?」

「……ええ、まぁ」


課長に食事に誘われた。

断りたかったが、上手い理由が思い付かず、流される形で食事を共にすることになった。




そして流れ流され、気が付くと同じベッドで朝を迎えていた。

なんでこうなったのか、よくわからない。


──ガタン、ゴトン


「…………」


遠くに電車の音が聞こえる。


「ああ、ここ防音しっかりしてるんだけどさ……やっぱり煩い?」


大きなマンション。5階角部屋。


「いえ……素敵なお部屋ですね」

「いい場所だがね、この部屋だけは線路が近いから安かったんだ」

「……そうですか」

「まだ早いよ? ゆっくりしよう」


そう言って、課長は私を抱きしめる。

やがてその腕の重みが増し、頭頂部あたりにかかる柔らかな寝息を確認すると、ゆっくり腕をほどいてその場から逃げだした。




駅のホームは人で溢れていた。

人身事故があったらしい。


ダイヤが乱れている。


「なんつータイミングだよ……」と後ろでごちる、誰かの声。


……全くだ。


閲覧ありがとうございます。


キャラ名出てない(つけてない)事に今気付いた……



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] たまき様、新連載おめでとうございます! 勝手にドキドキしながら読ませていただきました!!! 群れない主人公、かっこいいです! 女子のあれこれ。あるあるですね。作戦は様々に変わりながら、ど…
[一言] また面白そうなの始まった!!!www いいですねこの主人公〜。 砂臥主人公って感じで私は大好きですよ!!ww むしろ個人的にはこのまま固有名詞は出さないで進んでほしいくらいですねw 課長のキ…
[良い点] おとな! いいねー!頭良くてやさぐれてる女の子! そして健康な課長さん! ツッコミどころがなくてすすっと読めますね! 2人がどうなるのか……楽しみですwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ