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終わりの始まり。

今回の小説はちゃんと考えて書いていく前提ですので、更新頻度は遅いです。(それ以前に前の二つも書きたいのもありますが⋯⋯)



「う⋯あぁ⋯⋯」


 何がどうしてこうなってしまったのだろうか⋯⋯。


 俺、坂砂(さかさ)冬夜(とうや)は、教室で呆然とその光景を見ている事しか出来なかった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ーー数週間前ーー


 突如、前触れもなく地球を覆う程の太陽光フレアが襲ってきた。


 世界中の電子機器などの機械に加え、人体の影響など各々がどうなるか想像できると思う。


 殆どの人が『使用不可』と思うのではないだろうか? だが、実際にはそうはならなかった。


 そうならなかったとはいえ、影響がなかった訳ではなく、現在判明している大きな異変は確実に2つあったのである。



【で、あるからでしてね? 我々としては、これぐらいの被害で済んでよかったのだとおもうのですよ】


 連日、テレビなどのニュースではこの話題で持ちきりである。


【それでも、ゲームは感動を与えてくれましたよね? 綺麗な映像に感情移入ができ、下手な映画より遥かに号泣もできましたよ】


【それは書籍でもできるでしょう? 1つ前の時代に戻ったと思えばよろしいのでは?】


 1つ目は⋯⋯あの日、太陽光フレアが襲った時からゲームというものが全て消え去った。


 新しく開発しようにも新規データーを入力すると飲み込まれていくように消えていく。バックアップをとっても接続時に消え、現状⋯この世界においてテレビゲームというのは消滅したのであった。


 もちろんテレビゲームと言っている通り、クレーンゲームなど物理的なゲームは健在であり、テレビで言うように一昔前に戻ったと言えば、昔の人間ならすぐに理解ができたのである。



【では、話の最中ですが、もうすぐ15:00になりますので、本日の放送はここで終了さしていただきます。では、皆様また明日お会いいたしましょう】


 15:00になるとテレビの画面が真っ暗になり『放送中止』の文字が現れる。


 これが2つ目である。


 この世界は夕方17:00になると世界が黒く暗転する。それは光も通さぬ暗闇になり、それはまるで家に帰ってゲームをつける前の真っ暗な画面のようにに感じた。


 ただ、ゲームが始まる訳でもなく気づけば朝になっているのである。太陽フレアから数日後、いつも通りの仕事をしていても17:00に暗転し、翌朝には家のベットで目覚めていた。

 この話題はすぐに広まり調査が始まったが、ビデオ、街のカメラなどにも何も映ることがなく、何を調べてもヒントすら出ない事から、謎を解くことはできないとされ、15:00制度を法律としてすぐに可決された。





【15:00制度】

 仕事・学校などの行事は最長15:00とする。17:00には家に戻り外出は控える事。これを破った者、この問題が解決するまで、政府が管理する管理所の投獄とする。

 ちなみに管理所に入って更に罰則を喰らうと、刑務所行きである。




 この2つが現在の大きな異変であり、それ以外は特に何か変わった事はなかった。



「ただいま」


 誰もいない家に帰る。親は両方とも海外に出ており俺は一人で過ごしている。


「さてっと、今日もオンラインゲームでもするか」


 オンラインゲームと言っても、『MMORPG』『MOBA』『RTS』『FPS』などではなく、ノベルゲームである。


 俺がやっているのは完全自由型ゲームで、広大な選択肢と会話を自分達で描いていくのがウリとしている『多元幻想鏡オンライン』と言うゲームだ。

 世界観はすでに運営側から用意されているが、細かなキャラクタークリエイトや職業、容姿、出生、スキルポイントなどは全て自分で入力する。

 戦闘は、地形効果、職業効果、スキルなどを使わなければダイス勝負である。出たダイスからお互いの素早さなどを差し引いて命中率、攻撃力と防御力を差し引いて相手にダメージを与えるというワケである。お気づきだろうか? そう、完全に俺つえぇなどはできない運要素が高いのである。


 クリエイトが終われば、最初の国を選ぶ。


 そこから、勇者になり栄光を手に入れてもいい。


 魔王となり栄光を手に入れた勇者を殺すのもいい。


 スライムやゴブリンなどになり、家族(ファミリー)を増やしながら村を蹂躙していってもいい。


 農民のまま最強になってもいい。


 創作料理で世界の料理を覆すのもいい。


 育てたキャラの転生を繰り返し強くてニューゲームをしてもいい。


 選択肢は星の数ほどあるのである。メインストーリーもキチンとあるのだが、ほとんどの人はストーリーそっちのけで、自らの道を進み強い武器を手に入れたりしていた。


 ストーリー自体も選択肢が多く、俺は攻略班のHPを見て予習しながらスローペースで進めていた。


 ちなみに攻略班のHPを見ながらスローペースで進めていたのは訳がある。


 それは後半ストーリーでの分岐点『運命の選択』というイベントが発生するのだが⋯⋯この選択肢でゲームの難易度が急激にかわる。



 大まかに言えば、魔王を倒す為に色々助けてくれていた謎の『幻老』と呼ばれるNPCを殺すか殺さないかの選択である。


 殺すを選んだ場合は、巨大な街を全て餌にして連鎖爆発で辺り一帯を消滅させて殺してしまう。そして、その後は魔物実験が項目に追加され奴隷化やキメラを作ったり更には使役も可能となる。それに加え、人間の領地奪取などのシステムが解禁され、ゲームの幅は更に広がるが平和モードから戦争モードに入っていく。


 殺さない場合は、幻老に伝える任務から始まるのだが⋯⋯人間側、モンスター側の全てが敵となり指名手配から追われる身になる。

 幻老のいる場所へはかなり遠く、街の施設は使えず、HPを回復するのは外で休憩するしかないのに、問答無用で捜索NPCが集まってくる。

 それと同時に指名手配を殺し報酬を得ようとする冒険者達もNPCを目印にすぐに集まってくる。

 要は無理ゲーと化すのである。この指名手配で殺された場合、ゲームは最初からとなる。転生も封じられ記憶も消されて消滅させられるという設定なのだろうと噂が飛び交っているが⋯真相は未だ不明である。


 だから、ここで殺さない方を選ぶ人間はいなかった。今までやってきた時間とレアのアイテムも全て水の泡と化すからであるが、俺はあえて殺さない方を攻略したい為、スローペースで進めて十全に用意をした。



 用意を全て完了させて時間は15:30。


「よし、やるか」


 この日の為に用意し、告知していたイベントを全て解放する。


【予告通り、最高レアが眠るEXダンジョンを無料解放します。デスペナルティなしですので皆様ふるってご参加して下さい!】


【最高回復薬エリクサーの無料配布致します。お配りするのは1つですが、また後ろに並び手に入れても問題ありません! 在庫は山程ありますので全てなくなるまで配布いたします!】


【武器の強化・改造を無料で行います。更に必要な素材も配布致しますのでお気軽にお並び下さい!】


 俺が今まで貯めた全財産を放出して餌とする。

 逃走経路まで遠からず近からずにして、イベントをした後でも間に合う雰囲気に漂わせながら俺は装備品を全て外し重さを軽くして、暴走馬車を走らせるように指示をしてイベントを入る。


 殺さないに選択肢をすると画面の周りは赤く警告(アラート)に入り、画面が切り替わり、世界発言のログがイベントなど混ざり凄い勢いで流れていく。


 暴走馬車が時間通りに前にいくつも現れて、その一台に乗り込みNPCを混乱させる。


 街の外に出ると、馬車が攻撃対象になり、次々と壊されていくが、その前にこの軽量を活かし俺は移動スキルを使い馬車よりも早く軽快に走り抜ける。


 森に入ると、イベントの良さを理解していない初心者冒険者達が待ち構えていたので、できる限り見つからないように気配を消しながら移動していく。


(数が多いな)


 進んでいくと、徐々に多くなる冒険者に違和感を覚える。


(これ⋯⋯もしかして)


「当たりだ。俺が仕組んだのさ!!」

 お互いのダイスが回り攻撃を躱す。

「ちっ! 軽量かつ速さが極値になってるのか」


「イベントでもしてろよ⋯⋯何のために全財産を捨ててると思ってんだよ」


 腕に赤色の糸がくくりつけられていた。


(粘着スキルか⋯⋯面倒だな⋯)

 粘着スキルとは、一対一などに使われる戦士特有スキルであり、戦闘が終わらない限り位置情報が筒抜けになる。


(あと一区間なのに⋯⋯)


 こいつを連れて一区間の移動は、他の仲間も呼ばれる可能性も考慮して多分不可能だ。


(⋯⋯なら!)


 別の方向に逃げる。


「にがさねぇよ!!」


 追われる身を考慮して、エリア移動をした。


 先程より短距離の区間ではあるが、敵の強さがフル装備した18人パーティでどうにか進める程の超高難易度区間なのである。


「おいおい! 捕まるぐらいならあえてここで死のうってか?! 諦めろよ! どうせこれで全て消えるんだ。全権利を俺に譲るなら命だけは助けるように取り計らってやるよ!」


(指名手配されたのだから、交渉ができる訳ないだろうが)


 俺は何も言わずに、奥に入っていく。


「ちぃ!! 本気で入りやがった」


 男も追いかける。


 モンスターを気にしながら先行する俺の方が遥かに遅く、見つかった場合、一撃でも喰らえば俺は間違いなく終わりである。


 徐々に距離を詰められていく。


「見つけたぜ!! 観念しろや!」


 俺と対峙するとそう叫ぶが、俺は何も言わず木に背中を当て隠蔽スキル『カモフラージュ』を使う。


「俺が見ている目の前で隠蔽スキルなんぞ意味があるわ⋯⋯⋯け⋯」


 俺の木の後ろからモンスターが現れる。


 携帯(しんぞう)がドクンドクンと振動(バイブレーション)する。


(この振動だと見つかる可能性は半々か⋯⋯)


 隠蔽スキルは精神状態で確率が変わる。鼓動が早く振動が早ければ30%、今ぐらいなら50%、振動や音がないなら100%である。


 目の前にいる餌に(こう)がさしたのか、見事にモンスターは男に向かっていき、男は必死に逃げようとしたが、少し離れたところで大きな悲鳴と共に粘着スキルが消滅した。


 そのまま、幻老のいる区間に入ったところでブツンと暗転し、気づけば朝になっておりスズメの声で起こされた。


 時計を見ると朝の7時。


「目的地に着いた所で、17時になってしまったのか⋯」


 携帯を見ると『unknown』と映されていた。それ以上何をやっても画面は変わらず、タスクを切っても一緒であり落胆するしかなかった。


「⋯⋯まじか〜⋯⋯」


 やるせない気持ちをどこにも発散できず⋯⋯手の施しようがなかったので、運営にメールを送り学校へと向かった。

頻度は遅いですが、今回も書きたいパターンはできているのでよろしくお願いします。

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