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転生者ナビゲーター  作者: 岩木 久四郎
4/5

それぞれの休日 1

「·········嘘だろ?」

目が覚めて、いつものようになんとなく窓の外を見る。俺の目に入ってきたのは、まばゆい光を放つ、もう半分ほど昇ってしまった太陽だった。

「···くそ、せっかくの休日が···。そりゃ休みだと思ってノーライフ・ノーゲーム一気見したけどさぁ…。面白いからやめられなかったけど···!いくらなんでも寝すぎだろ俺···」


「まぁいいか、飯食ったら次ははたらかない魔王様!でも見よう···」


ーーーーーー3時間後···


「さて、なぜかカツドゥーンが食べたくなってしまったし、材料買いに行くかぁ」

お金を持って外に出た俺は、近くにある

ユージュアルストリートに向かう。

いつも通りに賑わっている通りに、なぜか安心してしまった。


「おや、ヴァンじゃないか」

そう声をかけてきたのは、肉屋のおばちゃんだった。

「こんちは、相変わらず元気そう」

「そりゃそうさ!まだまだ若いよあたしゃ!」

「と、それよりあんたまたウチで働かないかい?旦那より働き者だしさぁ」

「あはは、手伝いたいですけど、ナビゲーターの仕事も楽じゃないんで···。最近は能力が何も無くても、1つの分野でとんでもなく強い、なんてやつも出てきましたし」

「そうかい…あんたも大変だねぇ。まぁ、死なないように頑張りなよ!」

「はい、ありがとうございます。おばさんも元気で!」

「······じゃなくて、トンカツ用の肉、貰えますか?」

「ああ、はいはい、ちょっと待ちなね·········。ほら、代金は500リンだよ」

「ありがとう!それじゃあ、今度こそ元気で」

愛想よく手を振るおばちゃんに軽く一礼する。


「さて、油と粉、卵はまだあるし、あれ?玉ねぎもあったな…。てぇことは、もう材料揃ってるじゃん。かーえろ」

家に帰ってすぐカツ丼を作ったが、

「あれ、こんなに黒かったっけな………ま、まぁ、食えるだろ」

まずかった。

この後は特にやることのなかった俺は、

はたらかない魔王さま!の続きを見て、風呂はいって武器の手入れして寝るだけだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

時間、朝に戻りましてぇ、クリスの一日を見てみよう


「お嬢様、朝ですよ、起きて下さい」

「うーん、あと5分……Zzz…」

「もう、昨日も遅くまでアニメ見てたんですね···」

と、フォラン家のメイド、ハイナ・ルーチスは呆れてため息をつく。


お嬢様にふさわしい広さの部屋の一面に貼られたアニメポスターや、綺麗に並べられたアニメグッズの数々

(それはいいんだけど、生活習慣が崩れるのはよくないなぁ···)

と思うハイナだが、この状態のクリスはなかなか起きないので、先に部屋の掃除をすることにした。


「んん……ふあぁ…あ、おはよう、ハイナ···」

「おはようございます。いつも通り先に部屋をお掃除させていただきました。」

「そう、ありがとう。今日は特に何も予定ないわよね?」

「はい、何もありませんが、何かやりたいことでもおありですか?」

「そうね···お昼から子供たちの所にいくわ」

「そうですか、わかりました。フフッ、お嬢様は本当に子供が大好きですね。園にはこちらから連絡しておきますね」

「ええ、お願いね。さて、それまではぁ!昨日のアニメの続きよ!」

「······ついでにアニメも好きですね···」微笑みが苦笑いに変わった瞬間だった。


ーーーー4時間後···

「ふぅ、アニメ見るのも楽じゃないわね。脳死になっていっちゃうし。ま、午後は子供たちとの時間だし、準備しよっと♪」


フォラン邸を出て10分も歩けばフォラン家が創立した、この街唯一の保育園、ナァールチャル保育園がある。

やはりこの世界にも種族差別はあったようで、昔の転生者が

「子供達を幼少期から一緒に学ばせ、差別意識を少なくすることが必要だ!」

と訴え、それをフォラン家が拾うことにしたらしい。

反対の声もあったようだが、今ではここのおかげか、差別はどんどん見なくなっていった。


クリスが園に足を踏み入れると、

「あ!クリス姉ちゃんだ!」

と、わらわらと様々な種族の子供が寄ってきた。

エルフや犬、鳥、猫などの獣人、ドワーフ、龍族、魚人族など、色々だ。


「こんにちは。みんな、元気にしてた?」

「うん!きょうもいっぱいたたかいごっこしたりしてあそんだ!」

「よしよし、いい子ね!子供は元気がいちばん!」

目の前にいた猫の獣人の男の子の頭をなでるクリス。と、その子は気持ちよさそうに手に頭を擦り寄せてきた。


「はぁ………!天使……」

顔が自然とにやけてしまうクリス。

「て、もうそんなに時間ないし、みんな、お姉ちゃんと遊ぼう」

とクリスが発言すると、子供たちの目は輝き、クリスの長い耳には様々な遊びの名が飛び込んできた。さすがに全部やる時間はないので、


「よーし!じゃあおにごっこ!お姉ちゃんが鬼になるから、みんな逃げてね!」

様々な声をあげて散っていく子供たち


それからも様々な遊びをしていたが、やがて親が迎えに来る時間となった。

「クリス姉ちゃん!またね!」と元気に手を振る子に、

「うん!また遊びに来るからねぇ!」と伝えるクリス。


家に帰り、ソファーに倒れ込むクリス。

「疲れたけど、楽しかったなぁ!やっぱり子供たちは私の癒しだ!これでまた、、明日も頑張れる………Zzz」



「······あ、お嬢様こんな所で寝て、おつかれだったんですね」

毛布を持ってきてクリスにそっと掛けるハイナ

「夕飯までですからね、お嬢様?」

クリスの幸せそうな寝顔を見て、思わず笑みがこぼれてしまうハイナだった。

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