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転生者ナビゲーター  作者: 岩木 久四郎
3/5

一日の終わり

俺たちの仕事には、どうしても「転生者が来るのか来ないのか」という情報が必要になってくる。

その情報をくれるのは誰か、というと


「ふむ···、どうやら次に転生者が来るのは2日後のようだな」


この人、シャルク・エリザーである。

肩まである長さの白髪、透き通っている碧眼、

顔も整っているので、女性と間違われることも結構あるらしい。


シャルクは、世界を選択する場所、つまり

いくつかある世界から不意の死を遂げた者が集まる場所とやり取りができる。

いわゆる超能力者ってやつかな。


そこには神が何人かいるみたいだが、1つの世界の担当神が2人しかいないので、その2人でこの世界の死人が次の世界に転生する手助けをしているらしい。

神でも働かなきゃいけねーんだな···。


そもそも転生とはいくつかある世界の中から、本人がどこに行くかを選び、その世界の神の元へ送られ、転生の儀式を行うことになるらしい。

ただし非常に疲れるので、1人転生させるのに少なくとも1日はかかるらしい。


二人いる神とは別に、転生儀式担当の神が一人いる。

1人転生させては次の日は休み、希望者がいればまた転生させる、という具合のようだ。


まぁここまでの話は全部シャルクから聞いただけなんだけど


ちなみにそこでの記憶は都合が悪いとかなんとかで、全て消されてしまうらしい。

シャルクが許されているのは、この世界でお帰りいただいた者は、元の世で高確率でまともな奴になってくれるから、なんだそうな。


転生者の間の影響だと思うんだが、あそこがどういうものなのか、実は俺もよく知らないんだ。

作ったのが誰なのかもわからない謎だらけの場所だ。


まぁそれは置いといて、

「と、いうことは···休み!」

こうなって気分が高ぶらない者はいないだろう。

「フッ、えらく嬉しそうだな。神の方は、最近はチート能力がないと転生しないという奴までいる、とぼやいて大変そうだったがな」


「あはは···、まぁそこそこアニメ見る方の俺からしたら、何となく気持ちはわかるよ···」


「そうか、ヴァンも転生者だったな」


「ああ、まさかこっちでもアニメ見れるなんて思いもしなかったよ。とりあえずありがとう!みんなに休みの報告を入れてくるよ」


「ああ、早く行ってやれ」

微笑むシャルクに手を振り、俺は走り去る。


何を隠そう、俺は日本から転生してきたんだ。あまり思い出したくはないけどな···。


俺はいじめられていた影響で、高校を中退してしまった。そのせいでまともな職につけず、色々なバイトを転々としていたんだ。

途中からはもう就職する気すら半分失ってしまっていた。

死んでしまった瞬間は、ショックからなのかハッキリと思い出せない。不意打ちだったのは確かだが。それでも29歳までは生きていた。


ここから先は転生してからの記憶しかない。

転生した時の俺は15歳だった、恐らく俺が年齢も選んだんだろうな。世界が選べるくらいだし、そのくらいはできそうだ。

幸いにも、世界選択の場の記憶は消されても、元の世界の記憶は基本的には忘れないようだ。


元の世界のようになりたくないと思った俺は、

バイトでの経験を生かし、色々なところで働き、この世界の人々の役に立とうと考えた。


そんなこんなで必死に働いていた俺は、いつしか皆から信頼されるようになっていき、この世界で初めて世話になった、「ナビゲーター」になるという1つの夢を叶えることができた。

ちなみにヴァン、という名前は、ここで暮らすための手続きをする時に、自分で改名したものだ。

今ではヴァン・リーアスが俺の本名だ。


とまぁ脳内説明口調をしている間に、3人のもとへ帰ってきた。

「どうだった!!」と真っ先に聞いてくるルカ。

「次の出勤は2日後だそうだ」と答える。


「やったああぁあーーー!」と跳ね回るルカに

「落ち着け、危ないぞ」と窘めるアイル。

「よーし!思いっきりアニメ見るんだから!」と謎の決意を固めるクリス。


「あたしは他の子と思いきり遊ぶもんね!」とルカ

「俺は明日は実家の手伝いだな」とアイル


「さっきの唐揚げといい、アイルには頭が下がるよ…」


「好きでやってることなんだ、気にすんなよ」とアイルは気さくに笑う。


「ああ、ありがとな!···てぇことで、今日はこれで解散だな」

「うん!じゃあね!」しっぽを振りながら走り去るルカ。相変わらず速い。


「じゃあ、私も帰るね」と軽く手を振り、歩いていくクリス。


「俺も帰るか。またな、ヴァン」

「ああ、またな」


歩き去るアイルを見送ってため息を1つ。


(今回は説明ばっかだったような気がして疲れたし、帰ってゆっくりしますかぁ···)


そう思い俺は、静かに沈む夕日を見ながら、晩飯を何にしようか考えながら帰路に就くことにした。

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