プロローグ
即席で書いてみました。
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
清少納言は、そんな霜が降りるその光景をみてこの様な趣を得たのだろうか。
そんなどうでもいいような思考に耽ていると、もう定時だ。
僕にとっての朝は一日の中でも特に憂鬱で、一生朝が来なければと思う日も多々ある。
さらに、今日からは進級して高校二年生。進学校である、新潟県立菖蒲高校ではこの時期から受験を意識する輩も少なくはない。
因みに、僕は進学する気はないし、職につく予定もない。
ただつまらないと思った、この世界は。
ただ、給料のために勉強をし、議員にでもなれば適当に発言でもすれば二千万も容易く稼げてしまう。
そんな世界に飽きていた。
「なんか面白いことねぇーかなー。」
ふと呟くと、炊飯器が僕を呼んだ。
玄関を出てすぐに甲高く威勢の良い声が僕を振り向かせた。
「やぁ、合くんは二年生にもなるのに、いつも通り憂鬱そうだね。」
「結はげんきそうでなりよりだよ。」
こいつは、僕の隣の家の住人であり、幼なじみでもある。
いつも一緒に登校しているわけだが、カップルと思われているか心配だ。
あ、そこのリア充さん。どうぞ爆発してくださいー。
結は容姿端麗、才色兼備、そして天真爛漫のなかなかキャラの濃いやつだ。きっといいお嫁さんになる。
なんて考えているや否や。
「合くんは相変わらず部活とは疎遠だよね。何が入る気にはならないの。」
その言い方では、いつまでそうしてニートしてるの。としか聞こえないので敢えてスルー。
「ま、いいけどさ。」
その彼女の姿はなぜか凛々しい姿で、何かがあったわけではないが、頼もしいものに感じた。
「そういえば、ニュースみた?また、紐が落ちてて、人が失踪してたんだって。これで六人目。」
「最近の世の中、かなり物騒だな。早く解決するといいが。」
そんな他愛ない話をしていると、校門で先生や生徒会やらの生徒が朝の挨拶を交わしていた。
「おはよう、合。相変わらず憂鬱そうで、こっちは一安心だよ」
「人のステイタスをどうこう口を突っ込むなよ。」
生徒会長である優は、毎日の如く朝のにこやかイケメンスマイルであらゆる女子生徒を誘惑している。
イケメンタヒね。
「いつもお疲れさん。まぁ、なんだ。これやるよ。寒いだろ。」
寒いのがいやなのは僕も重々承知しているので、仕方なくポケットにあった使い捨てカイロを渡した。
「ありがとう!カイロくれるなんて、気が利くじゃん。」
「ばーか。気が利くからこの世を支配しないでやってるんだよ。」
なんて冗談を交わし、玄関へ向かった。
人波は昇降口へと吸い込まれ、廊下は騒々しい場所となる。
部活の話やゲームの話、または、今朝のニュースの話がちらほらと見受けられた。
青春なんてぶっ壊れればいいのに…。
特になーし。