第89話 大工コラボでお家づくり
「この家なんですけどね」
この図面を前に話しているのは、街で有名な大工の親方。
何人も弟子がいて、街の家づくりに邁進している方。
その大工の親方が書いた図面を見せてもらう。
同時に前に作った家も案内してもらい、見せてもらう。
「図面だと2階建てなんですが、これを3階建てにしたいんです」
「それだと木造は難しいと?」
この世界の建物は平屋が多い。
だけど、街中は土地が少なくなって、2階建ての建物も増えてきている。
「3階建ては作ったことはあるんですが、いろいろと問題が多くて」
「一階が木造だと重さに耐えるためには、相当太い柱が必要でしょうね」
「そうなんです。だけど太い柱でも風がふくと揺れたりするんです」
難しいものだなぁ、木造住宅は。
その点、魔法で作る石づくりの家は3階でも4階でも問題なく作れるから便利だ。
「だから、1階を基礎も含めて作っていただいて、2階の基礎部分も一緒に作ってもらえたらなと」
なるほど。
1階を耐重性の高い石造りにして、その上が2階分の木造とする。
それはいいアイデアだ。
「すると1階はどんな図面になるんでしょうか」
「それがこれなんですわ」
うん。これはシンプルだ。
1階部分の大枠だけ作ればいいらしく、あとは大工さん任せ。
「わかりました。やりましょう」
「いつ、やっていただけますか?」
「えっ、これだけ準備ができているなら、今からじゃどうですか?」
「なんと!それができるなら最高です」
すでに解体を予定している古屋があるから、1階部分の材料には事欠かない。
設計もしっかりとやってもらっているから、それに準ずればいい。
最初のパターンだから準備に1時間かけて、解体に15分。1階くみ上げに45分。
全部で2時間。
「さぁ、できました」
「すごい。もうできてしまったんですか」
「あとは、お任せします」
「あ、ところで料金の方は・・・」
いけない。
リーダーにいつもたのまれているのはだいたい金貨70枚だけど、このパターンは決まっていなかった。
「金貨30枚でどうでしょう?」
「そんなに安く。いいんですか」
「いいんですよ。簡単だから」
笑っていうと、微妙な顔をされてしまった。
ここからの大工仕事は数カ月かかるんだろうな。
「もし、別の物件も出てきたら、お願いできますか?」
「それは、またリーダーに言ってくださいな」
あちこちから仕事を取ると収拾が取れなくなる可能性がある。
リーダーにまとめてもらいましょう。
こうして、大工コラボの3階建て住宅ができて、人気を博することになった。
大工さんとは仲良くが土魔法使いのキーポイントです。
楽しく書いて、楽しく読んでもらったらうれしいです。
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