第88話 青龍さんとご対面
「もうちょっとです。がんばってください」
幼女姿の狼娘。
少女のミント。
そのふたりは余裕なのに、私と大神官さんは山登りがきつい。
青龍の鎧を着たミントはなかなか凛々しくみえる。
その青龍の鎧の効果だろうか。
魔物とまったく出くわすことなしに頂上近くまで登ってきた。
「よく来たな」
「お久しぶりです」
おいおい、ふたり。知り合いか?
なんでミント、青龍さんとそんな挨拶なの?
「あ、私、神様や神獣さんのことは、前世からの記憶が続いています」
「って、ことは生まれる前のことも覚えているってこと?」
「神様や神獣さんのこと、限定ですが」
うーん、巫女ってそういうことできるのか。
横を見てみると、大神官さん、土下座状態。
青龍さんを初めて目にして、感動しきり。
「それでは、巫女、神様の言葉を」
「はい」
そう言うと、ミントは目をつぶり、しばらくすると、身体が大きく揺れ始めた。
頭をぐるんぐるんとまわして、怪しい雰囲気。
大丈夫か?
「久しぶりだな、青龍よ」
「ははー。お久しぶりです」
ミントが目を開けて頭の揺れが止まった。
表情がすごく偉そうになる。
もしかして、龍神様が入ったってこと?
「なぜ、150年もの間、留守にしていたのだ?」
「すみません。勇者に負けてしまいまして・・・」
「なさけない。神獣であるおまえが人間に負けるとは」
「誠にその通り。しかし、この男のおかけで復活を果たしました」
「そこの、土魔法使い、わしからも礼を言うぞ」
えっ、私?
「青石の青龍像、よくできておったぞ。勇者に倒された青龍の魂を入れる身体として使えたぞ」
「えっ、じゃあ、なんて攻撃したんですか、前の時?」
「すまん。いきなり侵入してきたから、気が付かなかった。復活したばっかりだったしな」
「おかげで存在が消し飛ぶとこだったんですよ」
そんな会話を聞いているミント、いや龍神様が口をはさむ。
「ところで、そこの者、ドラゴ大神の大神官よ」
大神官さんをご指名する。
「さいきん、供え物もお祈りも貧弱だが?」
「す、すいません。ほかの神様に人気を取られてしまい・・・」
「人気か。人の気持ちはすぐ変わるからな。それでは人気を取り戻すにはどうしたらいい?」
「えっと」
アイデアないのかな。
それなら、私が口出してもいいかな。
「この山に神殿を作るのはどうでしょう」
「ならぬ。この山は神域なるぞ」
「神域だからこそ、パワーを感じる者がいるはず。7合目までに限定して人を入れることを許してもらえませんか?」
「7合目以上を神域とするということか。実際ふもとの方はもう人間が入ってきているからな」
「はい。3合目以上は、龍神様を信仰している者だけ入れるようにしていただきたいのですが」
神殿の奥宮を7合目に作り、神殿自体は3合目に作る。
そんな話を龍神様と話していると、大神官さんが乗ってくる。
「それができれば、きっと龍神様の人気はうなぎのぼりです」
「うなぎレベルか?」
「あ、言い間違いました。龍が天を駆けるがごとしです」
「うむ」
それだけ言うと、龍神様は納得したのか、帰っていった。
ミントはガクンと身体を前に倒した。
「大丈夫か」
「はい。龍神様はお帰りになりました」
龍神様と青龍さん、そして私の話でこの山に神殿が作られることに。
どうやってつくるのか。
どうも、それも私に丸投げになる可能性が高いな。
青龍さんが仲間に加わった・・・なんてね。
楽しく書いて、楽しく読んでもらいたいです。
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