第83話 青龍さんの攻撃は半端ねぇ
「山の平穏を乱す者よ、吾輩が成敗してくれる」
いきなり現われた青龍はこんなセリフを言い放つ。
なんと、この青龍は言葉を話すことができるらしい。
「ま、待ってくれ。大人しく帰るから、頼む攻撃はしないでくれ」
必死に頼み込んでみる。
どう見ても戦うべき相手でないのは明確だ。
「どうせ、お前らは、山の宝を持ち帰ろうとしているだろう。とにかく、今、持っている物をすべて出してみろ」
別に私は何も持っていない。山の宝なんて。
隠すことなく、持ち物をすべて広げてみた。
ただ、女剣士は別だ。あれ、もっているよね。
「べ、べつに、何も持っていないわよ」
おい。さっき、見つけたゴールドルチルはどうしたんだ?
まさか、この魔物を、ごまかそうとしているというのか。
「おまえ、山の宝を返すつもりはない様だな。それでは吾輩の力を見せつけるしかないようだな」
そう言うと、不思議な風が吹き天空が陰りだす。
そして、天空からいきなり、大きな雷光が落ちてくる。
やばい、シールドだ。
一瞬の差で、分厚い土シールドを作って防ぐことができた。
だいたい無理だよ、こんな魔物と闘うのなんて。
「ほう、土魔法を使うとは意外だな。だかな、吾輩はこの神山の主だ。それを忘れてもらっては困るぞ」
忘れるも何も、今、初めて聞いたんですが。
神山の主の方でしたか。
とても、かないません。勝ち目ないです。
だいたい、なんで、私をにらむのよ。
私が悪いんじゃないだろう。こいつだよ、こいつ。女剣士。
「どうかな。これでも土魔法が使えるかな」
この近辺にあるすべての魔素が青龍に集まりだす。
土魔法は、魔素を使って土等をコントロールする魔法だ。
まったく魔素がないと、何もできなくなってしまう。
「うわっ、土魔法を使えないなんて・・・どうしようもない!・・・詰んだ」
狼娘も女剣士も、小さくなっている。
戦う気持ちがなえている。
女剣士はそれでもゴールドルチルが入ったバックを抱え込んでいる。
どこまで自分中心なんだよ、お前。
「さて。状況は分かっているようだな。魔法を使えないおまえは、どれほどの強さなのかな」
あ、子供にも負けると言われた覚えが・・・。
青龍の横に近辺のすべての魔素が集まり、だんだんと槍の形になっていく。
その長さはなんと2m。
「魔素だけで造られた武器なんて!」
「そうさ。土のシールドなんかじゃ防げないぞ。もっとも、今はそれも作れないと思うがな」
無理だ。この状況、戦闘じゃどうしようもない。
あとは、青龍さんを、なんとか言いくるめるしきゃない。
「ごめんなさい。山の宝を持っているのは、この人です」
「仲間割れか。見苦しい。これを受けてみろっ」
魔素の槍が私の心臓に向かって一直線に飛んでくる。
なぜか、心臓を狙っているのが分かってしまう。
だけど、避けられない・・・これが蛇ににらまれたカエルって奴か。
終わったな・・・この人生も。
今日の4話目です。予定より1話多くなりました。
楽しく書いて、楽しく読めたらうれしいです。
ブクマと評価も待っています。




