第78話 結婚式の招待状
「だれから?」
ミントが持ってきた招待状。
私が留守していたときに届いたらしい。
新郎と新婦。
どっちの名前にも見覚えがない。
招待状には、手紙もついていた。
読んでみた。
「なんだ、ミモザか」
ミモザというのは本名じゃないんだ。
源氏名だったんだ・・・あ、天使名か。
今はミモザではなくなった女性からの手紙。
感謝の言葉が綴ってある。
何も分からず返品された時のちょっとした恨みごとも添えて。
そして、結婚式にぜひ来てほしいとのメッセージ。
「絶対いかない」
ラブラブなふたりの姿なんて、みてやるものか。
でも、よかったね、ミモザ。
それができるだけのお金を用意した。
だけど、どう使うかは、何も語らないで渡した。
関わりがあった人が幸せになる。
嬉しいことではある。
嬉しいことではある・・・でも、ムカつく。
だから、絶対、結婚式になんかいかない。
幸せな顔なんてみたりしない。
いいんだ。
幸せになっていると私のイメージの中で思っていればね。
「だけど、彼はまだ知らない世界があるんだよな」
結婚。
それは、幸せの絶頂にあるイベント。
ただし、そのイベントの数年後にあるのは、天国か地獄か。
結婚するということは、ミモザは天使をやめたはず。
そこから先は天使ではなく人間に戻る。
なにが起きるかは、人間には分からない。
「もしかしたら、ひどいことが起きたりして」
子供が一杯できて、ミモザはぷくぷく太って、旦那さんはガリガリにやせて。
「稼ぎが悪くて大変なのよ」
そんな元ミモザの愚痴くらいなら聞いてあげてもいいかな。
幸せを告げる招待状を見て、ぐふふと笑っている私。
自分でもちょっと・・・と、思うけどね。
結局、あのふたり。結婚するらしい。よかったのか、悪かったのか。主人公にとっては微妙かな。
楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。
ブクマと評価も待っています。




