第68話 ドラゴ大神の神殿
「青石は青龍の鱗が石になったものと言い伝えがあります」
舞台でひとりの神官が集まった人に話をしている。
ここは、神の集う丘。
いろいろな神様の神殿が建つ、スピリチュアルパワー全開のスポットだ。
多数ある神殿の中ではちょっと小さめな神殿がこのドラゴ大神の神殿だ。
今、一番人気のテラス女神の神殿に比べると大きさは1/4くらい。
あんまり手入れもされていなくて、ちょっと寂しい限りだ。
そのドラゴ大神の神殿で今日、イベントがあるというから女剣士と一緒に参加した。
集まった人は50名くらい。
テラス女神の神殿のイベントなら優に10倍の人が集まるはずだ。
マイナーな神様なのね、ドラゴ大神って。
なぜ、そんなマイナー神様のイベントに参加しているかというと、女剣士と一緒に採取した青石が関わっているから。
ミントと一緒に参加した。
あの青石は、ドラゴ大神の大神官の依頼だったらしく、採取した青石は神殿の舞台に使われた。
たしかに、舞台は青石が張ってあって、美しく青色に輝いている。
「私達が採取した青石、役立っているみたいね」
どんな宗教であっても、やっぱり目で見るイメージって大きな要素になる。
くすんだ青よりは、光り輝く青。
だから、高額な依頼料を使っても青石が必要な訳だ。
「今日は集まってくれた皆さんのために、今年の五穀豊穣を祈願してお祈りをしたいと思います」
ドラゴ大神は、太古から農業の神様として祀られてきた。
今は農業よりも、戦いの神様や産業の神様の方が人気がある。
この国の形が大きく変化している証拠だ。
それでも農業は国の大切な一要素として存在している。
だから、ちょっと人気は落ちたけど毎年祀りごとは欠かさず行われているのだ。
「おい、ドラゴの神官さんよ。何かひとつ。奇跡を見せてくれないかよ」
最前列に立っている男がいきなり、大神官にむかって話しかけてきた。
どうも酔っぱらっているらしい。
「だいたい奇跡が起こせないからって、舞台の石を新しくしたらしいじゃない。無駄なんじゃないの?」
なんかムカつくな。
私達が苦労して採取してきた青石をバカにされた気分。
なんとか、してほしいな、あいつ。
「神様はただのショーみたいな奇跡など見せたりはしません。毎年の収穫こそ、神様が起こしている奇跡なのです」
あー、そういうの。駄目じゃないかな。
ああいう、神様を敬う気持ちのない輩は、説教を聞くとは思えない。
「どうせ、奇跡なんて起こせないだろ。そんな舞台いらないじゃないか。私が壊してあげましょう」
やばい。こいつ、本気で舞台を壊す気でいるぞ。神罰を恐れない奴だな。
私がなんとかしちゃっていいものだろうか。
「なんとかして」
こそっと、ミントが言う。仕方ないか、なんとかしましょう。
青石は貴石だから奇跡が起こせるんだぁ。。。とか言いません。
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